JP2000119871A - 遮熱コーティング部材、その製造方法および高温機器部品 - Google Patents

遮熱コーティング部材、その製造方法および高温機器部品

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JP2000119871A
JP2000119871A JP10292616A JP29261698A JP2000119871A JP 2000119871 A JP2000119871 A JP 2000119871A JP 10292616 A JP10292616 A JP 10292616A JP 29261698 A JP29261698 A JP 29261698A JP 2000119871 A JP2000119871 A JP 2000119871A
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thermal barrier
barrier coating
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metal
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JP10292616A
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English (en)
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Kunihiko Wada
国彦 和田
Masashi Takahashi
雅士 高橋
Masahiro Saito
正弘 齋藤
Masayuki Ito
昌行 伊藤
Keizo Honda
啓三 本多
Kazuhide Matsumoto
一秀 松本
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発電用ガスタービンおよびジェットエンジンな
どの高温機器部品に適用される部材であり、この部材の
耐熱性を向上させて、燃焼温度を上昇させて高温機器部
品の効率向上を図った遮熱コーティング部材およびその
製造方法を得る。 【解決手段】金属、金属間化合物、セラミックスまたは
複合材料からなる基材2と、この基材2表面に被覆層と
を有する遮熱コーティング部材1において、被覆層がセ
ラミックスからなるセラミック相4と、金属酸化物を金
属で割り算した体積比が1以上となる金属元素または金
属元素の合金からなる合金相5とから構成されることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発電用ガスタービ
ンおよびジェットエンジンなどの高温機器部品に適用さ
れる遮熱コーティング部材およびその製造方法に係り、
遮熱コーティング部材の耐熱性を向上して、燃焼温度の
上昇により高温機器部品の効率向上を図った遮熱コーテ
ィング部材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンおよびジェットエンジンな
どの高効率化を達成するためには、エネルギーロスを低
減させると同時に、燃焼ガスの高温化が不可欠である。
このため、燃焼ガスの高温化を図る必要があるが、高温
化に際して問題となるのは、高温の燃焼ガスにさらされ
る動翼、静翼または燃焼器などの高温機器部品に用いら
れる材料の耐用温度である。
【0003】従来より、材料の耐用温度を向上させるた
め、2種類のアプローチがなされてきた。
【0004】まず1つ目は、材料自体の耐熱性向上であ
り、化学組成の最適化のみならず、一方向凝固および単
結晶化などの組織制御により耐熱性を改善する方法であ
る。
【0005】2つ目のアプローチは、冷却技術の向上で
ある。冷却技術として、例えば、冷却空気を冷却孔から
吹き出して部材表面を冷却する吹き出し冷却、また部材
内部を冷却空気の対流により冷却するインピンジ冷却な
どの様々な方法が考え出されている。
【0006】さらに、これらの方法のほかに、遮熱コー
ティングが開発されている。遮熱コーティングは、部材
表面に熱伝導率の低いセラミックスを被覆し、かつ部材
内部を冷却して金属基材の温度を耐熱温度以下に抑制す
る、という方法であり、燃焼温度が1300℃を超える
高効率の発電用ガスタービンにおいて、この技術の適用
は不可欠である。
【0007】遮熱コーティング最表面のセラミック材料
として、最も一般的にはジルコニアが適用されている
が、これは、熱伝導率の低さと熱膨張率が金属に比較的
近いなどの理由からである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ジルコ
ニアは1200℃を超える温度領域において、焼結が進
行してしまい、この焼結により体積収縮が生じ、コーテ
ィング層が剥離してしまうという問題を有していた。
【0009】このため、ジルコニアの焼結による体積収
縮を防止するため、遮熱コーティング表面温度の低減が
種々図られてきた。
【0010】具体的には、冷却空気量を増やして冷却空
気を冷却孔から吹き出して部材表面を冷却していたが、
冷却空気量を多くすると燃焼ガス温度の低下を引き起こ
してしまい、ガスタービンの効率低下が生じることか
ら、冷却空気量に限界を有していた。
【0011】また、内部冷却の効果を高めた場合におい
ても、セラミックス層内の温度勾配は増加するものの、
セラミックス層表面温度は基本的には燃焼ガス温度によ
って決定される。このため、セラミックス層の焼結の問
題は少なくともその表面近傍において不可避の問題とな
っていた。
【0012】即ち、遮熱コーティング層の最表面にセラ
ミックス層を有する遮熱コーティングにおいて、燃焼温
度がセラミックスの焼結温度を上回った場合、焼結によ
る体積収縮が生じ、セラミックス層が剥離するという問
題を有していた。
【0013】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、高温機器部品に適用される遮熱
コーティング部材の耐熱性を向上させて、かつ、高温の
燃焼ガスにさらされた場合においても、遮熱コーティン
グ部材の剥離を防止して、最終的には燃焼温度の上昇に
より高温機器部品の効率向上を目的としたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
金属、金属間化合物、セラミックスまたは複合材料から
なる基材と、この基材表面に被覆層とを有する遮熱コー
ティング部材において、前記被覆層はセラミックスから
なるセラミック相と、金属酸化物の体積を金属の体積で
割り算した体積比が1以上となる金属元素または前記金
属元素の合金からなる金属相とを含有する混合層を有す
ることを特徴とする。
【0015】本発明において、基材として、Ni基、C
o基およびFe基の合金、NiAlNiAlおよびT
iAl等の金属間化合物、SiC、SiN4、SiA
lON、AlおよびSiO等のセラミックス、
または炭素を主成分とする複合材料等が用いられる。ま
た、この基材表面に少なくとも一層の被覆層を有し、こ
の被覆層がセラミック相と、金属酸化物/金属の体積比
(P/B比)が1以上となる金属元素またはこの金属を
含む合金相とを含有する混合層とすると良い。
【0016】このように被覆層に混合層を含有させるこ
とで、高温の燃焼ガスにさらされた場合においても、セ
ラミック相の焼結に起因した体積収縮と金属相の酸化に
よる体積膨張により被覆層全体の極端な体積変化を抑制
することが可能であり、この効果により被覆層の剥離を
防止できる。
【0017】また、基材合金は特に特定されるものでは
ないが、高温構造用材料として一般的に用いられるRe
ne80、IN738LC、HastelloyX、C
M247、CMSX−2およびCMSX−4などのNi
基超合金、またはFSX414に代表されるCo基合金
などが好ましい。また、金属からなる層と金属基材との
間には、両者の熱膨張係数の違いによる熱応力を抑制す
ること、および耐食および耐酸化性の向上を目的とし
て、MCrAlY(MはFe、CoまたはNiのいずれ
かの元素)と呼ばれる金属層を形成することが一般的で
あり、本発明においてもこの金属層を中間に設けた方が
好ましい。
【0018】請求項2記載の発明は、請求項1記載の遮
熱コーティング部材において、金属相の50%以上が酸
化されていることを特徴とする。
【0019】金属相の全体に占める金属酸化物の割合が
50%以下であると、その後の使用の際、酸化による熱
膨張が剥離要因となり得る。このため本発明において、
金属相の50%以上が酸化されると良い。なお、さらに
好ましくは、セラミック相の焼結が十分進んだ段階で、
金属相全体の80%以上が酸化されるとよい。
【0020】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の遮熱コーティング部材において、金属相における
金属酸化物の体積を金属の体積で割り算した体積比をR
とし、セラミック相における体積収縮率をs、金属相に
おける体積率をVとしたとき、Vが
【数2】V=(1−(1−s))/(R−(1−s)) の式であらわされる値を基準として、±50%の範囲内
にあることを特徴とする。
【0021】本発明においては、金属酸化による体積膨
張分とセラミックスの焼結による体積収縮分とが相殺さ
れることが重要であり、このような観点から金属相を球
形と仮定した場合、前述したような式を導き出すことが
可能である。本発明において、金属相の体積率も、この
式によって決定されることが好ましい。金属相の体積率
が上述した式から算出される値より少ないと金属相の量
が不足するため、セラミックスの焼結に起因した収縮が
著しく、これにより剥離が生じる可能性がある。一方、
金属相の体積率が上述した範囲より多いと、金属の酸化
による体積膨張が著しく、これに起因した剥離が生じ
る。しかし、金属相が完全な球状にはならないこと、層
内に気孔が存在すること、製造上の制約等があることな
どのため、実用上は上式から算出された値を基準とし
て、この値の±50%程度に入っていれば、金属の酸化
による体積膨張を効果的に防ぐことができる。
【0022】請求項4記載の発明は、請求項3記載の遮
熱コーティング部材において、金属相を形成する元素
は、アルミニウム、ニッケル、コバルト、シリコン、チ
タン、亜鉛、クロム、鉄、銅またはタンタルから選ばれ
る少なくとも1つの元素であることを特徴とする。
【0023】これらの元素についての金属酸化物の体積
を金属の体積で割り算した体積比、即ちPB比は、それ
ぞれ、Al:1.28、NiO:1.65、Co
O:1.86、SiO:2.15、TiO:1.7
3、ZnO:1.55、Cr:2.07、Fe
O:1.7、CuO:1.64およびTa
2.5となっており、いずれの金属元素においてもPB
比が1を超えることから、本発明の金属相に適用する金
属元素として用いることが可能であると考えられる。し
かしながら、高温でのこれら酸化物の安定性および蒸気
圧の関係などを考慮すると、アルミニウム、ニッケル、
コバルト、シリコン、クロムおよび鉄から選ぶことが好
ましい。また、これらの元素を含む合金であっても、そ
の表面には上述した酸化物の形成が可能であり、本発明
における金属相に利用することができる。
【0024】請求項5記載の発明は、請求項3記載の遮
熱コーティング部材において、セラミック相を形成する
物質は、チタニア、カルシア、アルミナ、シリカ、ジル
コニア、マグネシア、窒化アルミ、窒化ケイ素、炭化ケ
イ素、ムライト、サイアロン、セリアまたはハフニアか
ら選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする。
【0025】本発明において適用されるセラミックスは
比較的高温で安定であり、かつ強度も実用に耐えうるも
のである。しかし、熱膨張係数が比較的大きく、金属と
の相性が良いこと、または熱伝導率が低いことなどを考
慮すると、実用上、セラミック相としてジルコニアを用
いることが好ましい。
【0026】請求項6記載の発明は、請求項4記載の遮
熱コーティング部材において、金属相は網目状に連結し
た組織を有することを特徴とする。
【0027】本発明においては、金属相がネットワーク
状に被覆層内部から被覆層表面まで3次元的につながっ
ている形態を示すものである。本発明の作製過程では、
金属相の酸化過程が重要であると考えられるが、酸化す
るためには、雰囲気中に含まれる酸素が被覆層内部に存
在する金属相にまで到達することが不可欠である。本発
明は、この酸素の侵入経路を確保するための1つの形態
を示したものであり、金属相を網目状に配置した形態と
することにより、金属元素は表面側から酸化し、この生
成された酸化物を介してさらに内部の金属相に酸化が生
じ、結果として被覆層内の金属相の完全な酸化が引き起
こされる。
【0028】請求項7記載の発明は、請求項5記載の遮
熱コーティング部材において、セラミック相における気
孔率は体積率にして5%以上であり、かつ球状の金属相
が被覆層内に均一分散したことを特徴とする。
【0029】本発明は、請求項6記載の発明と同様に、
酸素の被覆層内部への侵入経路を確保するための1つの
形態を示している。セラミック相の気孔率が高い場合に
は、この欠陥を介して酸素の進入が生じる。このため、
球状の金属相を均一分散することにより被覆層全体で均
一な体積変化を引き起こし、かつ局所的な応力集中を避
けるという意味から実用上好ましいと考えられる。
【0030】請求項8記載の発明は、請求項5記載の遮
熱コーティング部材において、セラミック相内部に割れ
を生じた組織を有し、かつ球状の金属相が均一分散した
ことを特徴とする。
【0031】本発明も前述した発明と同様に、酸素の被
覆層内部への侵入経路を確保することを主眼としてなさ
れたものであり、セラミック相の気孔率が低い場合にお
いても、割れを通過した酸素によって金属相の完全な酸
化を促進することが可能となる。
【0032】請求項9記載の遮熱コーティング部材の製
造方法は、溶射法、電子ビーム物理蒸着法、ディッピン
グなどのスラリー法、化学蒸着法またはこれらの組み合
わせを用いて、金属、金属間化合物、セラミックスまた
は複合材料からなる基材表面にセラミック相と金属相と
を含有する混合層を被覆して遮熱コーティング部材を得
ることを特徴とする。
【0033】本発明によれば、遮熱コーティング部材で
用いられる比較的厚膜の形成が容易である。そして、金
属相とセラミック相とを含有する混合層を形成する方法
としては、まず第1に、高速のプラズマ流内に粉末の被
覆材料を投入して、部材表面に付着させるプラズマ溶射
法が挙げられる。特に、本発明においては、成膜過程で
の金属相の酸化を防止する目的から、真空室内で溶射を
行う減圧プラズマ溶射法が好ましい。
【0034】また、電子ビームにより被覆材料のターゲ
ットを溶融および蒸発させて部材表面に付着させる電子
ビーム物理蒸着法(EB−PVD法)を用いても良い。
【0035】さらに、比較的多孔質なセラミック相をプ
ラズマ溶射法およびEB−PVD法などで作製した後、
金属のスラリー中にディッピングして混合層を形成する
方法を用いることができる。
【0036】請求項10記載の発明は、請求項9記載の
遮熱コーティング部材の製造方法において、セラミック
相と金属相とを含有する混合層を作製した後、少なくと
も1回、セラミック相の焼結開始温度以上の温度により
熱処理を施すことを特徴とする。
【0037】本発明においては、遮熱コーティング部材
を使用する前に、大気中または酸素を含む雰囲気中で遮
熱コーティング部材の使用温度以上の温度において熱処
理を施して、セラミック相の焼結と、金属相の酸化を起
こした方が、使用段階での体積変化を抑制することがで
きる。この熱処理温度は、セラミックスの焼結温度以下
では不十分であるが、極端に高い温度では焼結による収
縮が過剰となり、熱処理の過程で剥離等を生じる可能性
がある。このため、熱処理温度は、セラミックスの焼結
開始温度から+150℃程度の範囲とすると良い。
【0038】請求項11記載の高温機器部品は、請求項
1から8までのいずれかに記載の遮熱コーティング部材
を、燃焼器、動翼、静翼または燃焼ガスパスなどを構成
する部品に適用したことを特徴とする。
【0039】本発明によれば、発電用ガスタービンまた
はジェットエンジンなどの動翼、静翼、燃焼器またはそ
の他のガスパスなどの構成部品に遮熱コーティング部材
を適用することにより、その性能を発揮することができ
る。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
〜図8を参照して説明する。
【0041】第1実施形態(図1、図2) 本実施形態においては、被覆層にセラミック相と金属相
とを含有する混合層を設けて、セラミックスの焼結に起
因する被覆層の剥離を防止した遮熱コーティング部材に
ついて、実施例および比較例を用いて説明する。
【0042】実施例(図1) 本実施例においては、セラミック相に金属相を含む混合
層を有する遮熱コーティング部材を用いた。
【0043】図1は、混合層を有する遮熱コーティング
部材の断面を示す模式図である。
【0044】図1に示すように、遮熱コーティング部材
1は、Niを主成分とした合金CMSX−2からなる基
材2上に、耐食および耐酸化性に優れるMCrAlY合
金層3(MはFe、CoまたはNiのいずれかの元素)
が被覆される。そして、このMCrAlY合金層3の外
表面には、さらに、ジルコニア(ZrO)に8wt%
のイットリア(Y)を含有するセラミック相4中
に、球状のAlおよびNiの合金相5(以下、Ni−A
l合金相とする。)を均一分散させた混合層6が設けら
れる。なお、MCrAlY合金層3は、基材2と最表面
層である混合層6との熱膨張係数差に起因する熱応力を
緩和する。
【0045】混合層6はプラズマ溶射法により形成し、
その後、遮熱コーティング部材1を大気中1100℃の
温度で熱処理して試験体を得た。
【0046】比較例(図2) 本比較例においては、セラミック相に合金相を含まない
遮熱コーティング部材1を用いた。
【0047】図2は、金属相を含まない遮熱コーティン
グ部材の断面を示す模式図である。
【0048】図2は、図1とほぼ同様の構成であるが、
ジルコニア(ZrO)に8wt%のイットリア(Y
)を含有するセラミック相4中に合金相5が含まれ
ていない。これを比較例の試験体とした。
【0049】このようにして得られた実施例および比較
例における遮熱コーティング部材1の焼結過程を比較す
るために、実施例および比較例の試験体を温度1300
℃で1時間加熱して、熱膨張計を利用してひずみの時間
的な変化を測定した。また、耐熱サイクル性を比較する
ため、室温から1300℃の温度範囲において1サイク
ル1時間の加熱および冷却試験を実施した。
【0050】その結果、ひずみの時間的な変化について
は、比較例では加熱前後で1.3%の体積収縮が認めら
れたが、合金相5を有する実施例では0.2%の体積収
縮しか観察されなかった。また、耐熱サイクル性を評価
した結果、比較例では32サイクルで表面ジルコニア層
の剥離が観察されるのに対して、本実施例では100サ
イクル後においても被覆層の剥離は観察されなかった。
【0051】従って、本実施形態によれば、セラミック
相4中に合金相5を均一分散させることにより、高温で
のセラミックスの焼結に起因する体積変化を小さくする
ことができ、焼結温度を超える高温での加熱下で遮熱コ
ーティング部材1を健全に保つことができる。
【0052】第2実施形態(図3、図4) 本実施形態においては、混合層における合金相の体積率
を変化させて、遮熱コーティング部材を作製した。
【0053】遮熱コーティング部材の構成は、図1に示
した遮熱コーティング部材1とほぼ同一である。本実施
形態においては、Ni−Al合金相5の体積率を0%、
5%、10%、15%、20%および25%と変化させ
て、6種類の試験体をプラズマ溶射法により作製した。
得られた6種類の試験体を、大気中1300℃の温度で
100時間、連続加熱試験に供した。
【0054】この結果、Ni−Al合金相5の体積率が
0%と5%との試験体では、図3に示すように、最表面
層である混合層6の端部から剥離が生じた。これに対し
て、Ni−Al合金相5の体積率が25%の試験体で
は、図4に示すように、混合層6がフレーク状に飛散し
て脱落した。
【0055】また、本実施形態の試験体を用いて、ジル
コニアからなるセラミック相4について、1300℃の
温度で10時間の暴露による体積収縮率を別途測定し
た。この結果、体積収縮率は約5%であった。この結果
とAlのPB比が1.28であることを考慮して、下記
し示した式から最適な金属相の体積率を算出した。
【0056】
【数3】V=(1−(1−s))/(R−(1−s)) なお、Rは金属相における金属酸化物の体積を金属の体
積で割り算した体積比、sはセラミック相における体積
収縮率、またVは金属相における体積率を示す。この結
果、最適な金属相の体積率は、約15%であった。
【0057】従って、本実施形態によれば、合金相5の
体積率が15%である試験体を中心として良好な結果が
得られていることから、合金相の体積率を上記した式か
ら得られる値から一定範囲内に抑えることが重要であ
る。
【0058】第3実施形態(図5〜図8) 本実施形態においては、セラミック相の気孔率と金属相
の形態との相関を調べるため、試験体1から試験体4ま
での4種類の試験体を用いた。なお、いずれの試験体も
プラズマ溶射法により作製した。
【0059】図5は、試験体1の遮熱コーティング部材
の断面を示す図である。
【0060】図5に示すように、試験体1は、CMSX
−2からなる基材2上にプラズマ溶射法によりMCrA
lY合金層3が形成され、このMCrAlY合金層3上
にさらにジルコニアからなるセラミック相4中にNi−
Al合金相5を3次元的に網目状配置した混合層6が形
成される。
【0061】図6は、試験体2の遮熱コーティング部材
の断面を示す図である。
【0062】図6に示すように、試験体2は、CMSX
−2からなる基材2上にMCrAlY合金層3が形成さ
れ、このMCrAlY合金層3上にさらにジルコニアか
らなるセラミック相4中にNi−Al合金相5を均一分
散した混合層6が形成される。また、混合層6における
セラミック相4には気孔7を有するが、気孔率は9%と
した。
【0063】図7は、試験体3の遮熱コーティング部材
の断面を示す図である。
【0064】図7に示すように、試験体3は、図6とほ
ぼ同様であるが、混合層6におけるセラミック相4の気
孔率を4%とした。
【0065】図8は、試験体4の遮熱コーティング部材
の断面を示す図である。
【0066】図8に示すように、試験体4は、混合層6
におけるセラミック相4中に縦方向の貫通き裂8が形成
される。
【0067】試験体1から試験体4までの4種類の試験
体について、表面側を1300℃、100時間の連続加
熱試験に供した。
【0068】この結果、図7に示す試験体3だけは最表
面層である混合層6の剥離が生じたが、他の試料では剥
離は観察されなかった。剥離した時点で試験体3の断面
組織を観察した結果、合金相5の酸化が十分ではなく、
合金相5の中心部分では金属状態を保ったままであり、
このことが体積変化のバランスをくずし、剥離に至った
ものと考えられる。
【0069】従って、本実施形態によれば、セラミック
相4の焼結に起因した体積収縮と合金相5の酸化による
体積膨張により被覆層全体の極端な体積変化を抑制する
ことができ、これにより被覆層の剥離を防止できる。
【0070】なお、合金相5の形状および合金相5まで
の酸素の侵入経路の形状は、一つの形状に限定されるも
のではなく、雰囲気中に含まれる酸素が被覆層内部に存
在する合金相5にまで到達する形状であれば良い。
【0071】その他の実施形態 第1実施形態から第3実施形態までにおいては、Ni基
を主成分とした合金を基材としたが、本実施形態におい
ては、基材材料をCo基を主成分とした合金を用いた。
【0072】Co基超合金であるFSX414を基材2
として、この基材2表面にMCrAlY合金層3をプラ
ズマ溶射施工し、さらにジルコニアをプラズマ溶射法で
形成した後、AlとNiとのスラリー中に浸漬して合金
相5を形成した試験体を得た。
【0073】一方、Co基超合金であるFSX414を
基材2として、この基材2表面にMCrAlY合金層3
をプラズマ溶射施工し、さらにジルコニアをプラズマ溶
射法で形成して、合金相5を含有しない比較例の試験体
を得た。
【0074】これらの試験体の片面を冷却し、もう一方
の面を1300℃とした連続加熱試験に供した。
【0075】この結果、合金相5を有する試験体では表
面層の剥離は観察されなかったが、比較例における試験
体では50時間程度から剥離が発生した。
【0076】次に、遮熱コーティング部材1を製造する
際、混合層6を被覆した後に施す熱処理の影響について
調べた。
【0077】FSX414を合金基材として、この表面
にプラズマ溶射法によってMCrAlY合金層3と、ジ
ルコニアからなるセラミック相4とNi−Alの合金相
5とからなる混合層6を作製した後、1350℃で1時
間の熱処理を施した試験体を得た。
【0078】また、1350℃で1時間の熱処理を施さ
ない試験体とを作製し、両者を1200℃の温度で10
0時間の連続加熱試験に供した。
【0079】この結果、試験前熱処理を施さなかった試
験体は70時間で剥離が生じたが、試験前熱処理を施し
た試験体では100時間試験後も剥離が生じることはな
かった。
【0080】従って、本実施形態によれば、基材2の材
料はNi基を主成分とする合金に限定されるものではな
く、Co基を主成分とする合金を用いてもよい。また、
熱処理を施すことにより、セラミック相4の焼結と合金
相5の酸化を起こすことができ、使用段階での体積変化
を抑制でき、被覆層の剥離を防止できる。
【0081】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による遮熱セ
ラミック部材によれば、焼結による体積収縮を抑制する
ことで被覆層の剥離を防止して、遮熱コーティング部材
の耐熱性を著しく向上でき、この遮熱コーティング部材
をガスタービン翼などの高温機器部品に適用すること
で、システムにおけるエネルギー効率の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における、遮熱コーティ
ング部材を示す断面模式図。
【図2】本発明の第1実施形態における、比較例の遮熱
コーティング部材を示す断面模式図。
【図3】本発明の第2実施形態における、Ni−Al合
金相の体積率を0%と5%とした場合の混合層の剥離形
態を示す断面組織図。
【図4】本発明の第2実施形態における、Ni−Al合
金相の体積率を25%とした場合の混合層の剥離形態を
示す断面組織図。
【図5】本発明の第3実施形態における、試験体1の遮
熱コーティング部材を示す断面模式図。
【図6】本発明の第3実施形態における、試験体2の遮
熱コーティング部材を示す断面模式図。
【図7】本発明の第3実施形態における、試験体3の遮
熱コーティング部材を示す断面模式図。
【図8】本発明の第3実施形態における、試験体4の遮
熱コーティング部材を示す断面模式図。
【符号の説明】
1 遮熱コーティング部材 2 基材 3 MCrAlY合金層 4 セラミック相 5 合金相 6 混合層 7 気孔 8 き裂
フロントページの続き (72)発明者 齋藤 正弘 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 伊藤 昌行 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 本多 啓三 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (72)発明者 松本 一秀 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 4K029 AA02 BA64 BB01 BC10 BD03 CA01 DB21 GA01 4K031 AA02 AB08 CB10 CB31 CB41 DA04 FA01 4K044 AA01 AA09 AA13 BA01 BA02 BA06 BA10 BA12 BA13 BA14 BA18 BB11 BB13 BC11 CA11 CA13 CA14

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属、金属間化合物、セラミックスまた
    は複合材料からなる基材と、この基材表面に被覆層とを
    有する遮熱コーティング部材において、前記被覆層はセ
    ラミックスからなるセラミック相と、金属酸化物の体積
    を金属の体積で割り算した体積比が1以上となる金属元
    素または前記金属元素の合金からなる金属相とを含有す
    る混合層を有することを特徴とする遮熱コーティング部
    材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の遮熱コーティング部材に
    おいて、金属相の50%以上が酸化されていることを特
    徴とする遮熱コーティング部材。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の遮熱コーティン
    グ部材において、金属相における金属酸化物の体積を金
    属の体積で割り算した体積比をRとし、セラミック相に
    おける体積収縮率をs、金属相における体積率をVとし
    たとき、Vが 【数1】V=(1−(1−s))/(R−(1−s)) の式であらわされる値を基準として、±50%の範囲内
    にあることを特徴とする遮熱コーティング部材。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の遮熱コーティング部材に
    おいて、金属相を形成する元素は、アルミニウム、ニッ
    ケル、コバルト、シリコン、チタン、亜鉛、クロム、
    鉄、銅またはタンタルから選ばれる少なくとも1つの元
    素であることを特徴とする遮熱コーティング部材。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の遮熱コーティング部材に
    おいて、セラミック相を形成する物質は、チタニア、カ
    ルシア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、
    窒化アルミ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ムライト、サイ
    アロン、セリアまたはハフニアから選ばれる少なくとも
    1種類であることを特徴とする遮熱コーティング部材。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の遮熱コーティング部材に
    おいて、金属相は網目状に連結した組織を有することを
    特徴とする遮熱コーティング部材。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の遮熱コーティング部材に
    おいて、セラミック相における気孔率は体積率にして5
    %以上であり、かつ球状の金属相が被覆層内に均一分散
    したことを特徴とする遮熱コーティング部材。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の遮熱コーティング部材に
    おいて、セラミック相内部に割れを生じた組織を有し、
    かつ球状の金属相が均一分散したことを特徴とする遮熱
    コーティング部材。
  9. 【請求項9】 溶射法、電子ビーム物理蒸着法、ディッ
    ピングなどのスラリー法、化学蒸着法またはこれらの組
    み合わせを用いて、金属、金属間化合物、セラミックス
    または複合材料からなる基材表面にセラミック相と金属
    相とを含有する混合層を被覆して遮熱コーティング部材
    を得ることを特徴とする遮熱コーティング部材の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の遮熱コーティング部材
    の製造方法において、セラミック相と金属相とを含有す
    る混合層を作製した後、少なくとも1回、セラミック相
    の焼結開始温度以上の温度により熱処理を施すことを特
    徴とする遮熱コーティング部材の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から8までのいずれかに記載
    の遮熱コーティング部材を、燃焼器、動翼、静翼または
    燃焼ガスパスなどを構成する部品に適用したことを特徴
    とする高温機器部品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013144833A (ja) * 2012-01-16 2013-07-25 Shimane Prefecture セラミック溶射材料、セラミック溶射被膜の形成方法および機能性セラミック溶射被膜
JP2016540122A (ja) * 2013-11-19 2016-12-22 スネクマ 遮熱材の微小亀裂および耐壊食性のための統合された焼結方法

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