JP2000110946A

JP2000110946A - 密封装置

Info

Publication number: JP2000110946A
Application number: JP10283954A
Authority: JP
Inventors: Shinichi Obayashi; 新一大林
Original assignee: Koyo Sealing Techno Co Ltd
Current assignee: Koyo Sealing Techno Co Ltd
Priority date: 1998-10-06
Filing date: 1998-10-06
Publication date: 2000-04-18

Abstract

(57)【要約】【課題】リップに対して異物が噛み込まれることを防
止可能であり、シール寿命の延長を容易に実現すること
ができる構成とされた密封装置を提供する。【解決手段】本発明に係る密封装置は、回転軸と接触
しているリップ３で潤滑油の漏出を阻止する主シール１
と、この主シール１の潤滑油封入側に組み込まれた補助
シール２とから構成されており、この補助シール２が前
記回転軸と接触しているリップ６で前記主シール１側へ
の異物の侵入を阻止するものであることを特徴としてい
る。そして、この際においては、主シール１のリップ３
が締付けスプリング５で回転軸に圧接させられており、
補助シール２のリップ６が前記回転軸に対して自然接触
させられていることが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は密封装置に係り、特
には、減速機などの回転軸部分で使用される密封装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、ギヤードモータなどのような
減速機の回転軸部分においては、ギヤボックス内に収納
された潤滑油（オイル）が外部大気側へと漏れ出してし
まうことを阻止するため、図７で示すような構成とされ
たオイルシール３１を密封装置として使用することが行
われている。すなわち、このオイルシール３１は回転軸
（図示省略）と接触しているリップ３２でオイルの漏出
を阻止する構成とされたものであり、合成ゴムなどのよ
うな弾性素材を用いて作製されたうえで芯金（金属環）
３３の外周面に沿って被着されたリップ３２はガータ形
バネともいわれる締付けスプリング３４で回転軸へと圧
接させられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来構
成のオイルシール３１においては、ギヤボックス内にお
けるギヤ同士の噛み合わせによって発生したギヤの摩耗
粉（鉄粉）などがオイルに混入していることがあり、漏
出しようとするオイルに異物として混入している鉄粉が
リップ３２に対して噛み込むことが起こるため、比較的
短期間のうちにリップ３２の摩耗や回転軸の摩耗が発生
することになり、その結果としてシール寿命の短縮化や
オイルの漏出というような不都合が生じることになって
いる。

【０００４】そして、この種の不都合を回避すべく、図
８で示すように、２個のオイルシール３５，３６を互い
に重ね合わせたうえで密封装置とすることが考えられて
いるが、このような構成を採用した場合であってもオイ
ル封入側（図では、右側）に配置された第１のオイルシ
ール３５のリップ３７に対して異物である鉄粉が噛み込
むことは阻止できないのが現状である。また、オイルシ
ール３５の外部大気側（図では、左側）に位置する第２
のオイルシール３６では、そのリップ３８の潤滑が両オ
イルシール３５，３６間に封入されたグリースのみによ
って実行されており、さらには、封入されたグリースが
オイルシール３５のリップ３７からオイル封入側へと向
かって流出することもあるため、オイルシール３６のリ
ップ３８が潤滑不足となり、リップ３８の摩耗が進行す
る結果としてやはりシール寿命の短縮化が避けられない
ことになっていた。

【０００５】本発明は、これらの不都合に鑑みて創案さ
れたものであって、リップに対して異物が噛み込まれる
ことを防止可能であり、シール寿命の延長を容易に実現
することができる構成とされた密封装置の提供を目的と
している。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に係る
密封装置は、回転軸と接触しているリップで潤滑油（オ
イル）の漏出を阻止する主シールと、この主シールのオ
イル封入側に組み込まれた補助シールとから構成されて
おり、この補助シールが前記回転軸と接触しているリッ
プで前記主シール側への異物、つまり、鉄粉などの侵入
を阻止するものであることを特徴としている。本発明の
請求項２に係る密封装置は請求項１に記載したものであ
って、主シールのリップが締付けスプリングで回転軸に
圧接させられており、補助シールのリップが前記回転軸
に対して自然接触させられていることを特徴とする。

【０００７】本発明の請求項３に係る密封装置は請求項
１または請求項２に記載したものであり、補助シールの
リップが、磁性を有する弾性素材を用いて作製されたも
のであることを特徴としている。本発明の請求項４に係
る密封装置は請求項１ないし請求項３のいずれかに記載
したものであり、補助シールのリップの回転軸と接触す
る接触面上には、回転軸線に対して傾斜する向きとされ
たうえで対向しあう突条部または溝部が形成されている
ことを特徴とする。

【０００８】本発明の請求項５に係る密封装置は請求項
１ないし請求項３のいずれかに記載したものであって、
補助シールのリップの回転軸と接触する接触面上には、
微小な凹凸が形成されていることを特徴とする。本発明
の請求項６に係る密封装置は請求項１ないし請求項３の
いずれかに記載したものであって、補助シールのリップ
の回転軸と接触する接触面上には、多数の凹部が形成さ
れていることを特徴とする。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１は本実施の形態に係る密封装
置の概略構造を簡略化して示す半断面図、図２はその第
１の変形構造を示す半断面図、図３はその第２の変形構
造を示す半断面図、図４はその第３の変形構造を示す半
断面図、図５はその第４の変形構造を示す半断面図であ
り、図６はその第５の変形構造を示す半断面図である。
なお、これらの図１ないし図６で示す密封装置のそれぞ
れは、従来の形態と同様、ギヤードモータなどのような
減速機の回転軸部分において、ギヤボックス内に収納さ
れた潤滑油（オイル）が外部大気側へと漏れ出すことを
阻止する際に使用されるものである。

【００１０】本実施の形態に係る密封装置は、図１で示
すように、従来の形態に係るオイルシール３１，３５，
３６と同様の主シール１と、この主シール１のオイル封
入側（図では、右側）に対して組み込まれた補助シール
２とから構成されている。そして、主シール１は、回転
軸（図示省略）と接触しているリップ３で主シール１の
オイル封入側から外部大気側（図では、左側）へと向か
ってオイルが漏出することを阻止するものであり、合成
ゴムなどのような弾性素材を用いて作製されたリップ３
は芯金（金属環）４の外周面に沿って被着されたうえ、
締付けスプリング５で回転軸へと圧接させられている。

【００１１】一方、補助シール２は、合成ゴムなどのよ
うな弾性素材を用いて作製されたリップ６と、このリッ
プ６が内周面に沿って被着された芯金７とを具備して構
成されたものであり、芯金７の外周面が主シール１を構
成する芯金４の内周面に対して嵌合されることによって
主シール１と一体化されている。また、この際における
補助シール２のリップ６はオイル封入側へと向かって屈
曲しながら延出されており、このリップ６はその内周面
が回転軸と接触する接触面とされたうえで回転軸に対し
て自然接触、つまり、締付けスプリングが設けられてい
ないために強制的な圧接ではなくて自然な状態として接
触させられている。

【００１２】そのため、この構成にあっては、補助シー
ル２のリップ６で鉄粉などの異物が主シール１側へと侵
入することが阻止されることになり、異物が混入してい
ないオイルのみが補助シール２のリップ６で通過を許容
されたうえで主シール１側へと供給されていることにな
る。すなわち、本来の目的である密封装置の外部大気側
に対するオイルの漏出を主シール１のリップ３で確実に
阻止しつつ、補助シール２のリップ６で異物の侵入を阻
止しながらオイルを僅かずつ通過させることが容易に実
現可能となる。

【００１３】従って、この実施の形態に係る構成を採用
すれば、ギヤ同士の噛み合わせによって発生したうえで
オイルに混入している鉄粉などのような異物が補助シー
ル２のリップ６を通過して主シール１側へと侵入するこ
とが起こり難くなり、これらの異物は主シール１のリッ
プ３へと近づかないよう、補助シール２のリップ６で主
シール１のリップ３から離間させられていることにな
る。その結果、これらの異物が主シール１側へと侵入し
たうえでリップ３に噛み込むことは起こり難く、比較的
短期間のうちにリップ３の摩耗や回転軸の摩耗が発生す
ることも起こらなくなる。

【００１４】以上の説明においては、本実施の形態に係
る密封装置が、回転軸と接触しているリップ３でオイル
の漏出を阻止する主シール１と、この主シール１のオイ
ル封入側に組み込まれた補助シール２とから構成されて
おり、この補助シール２が回転軸と接触しているリップ
６で主シール１側への異物の侵入を阻止するとしている
が、このような構造に限られることはなく、図２ないし
図６のそれぞれを参照しながら説明する以下のような構
造であってもよいことは勿論である。なお、これらの図
２ないし図６において、図１と互いに同一となる、ある
いは、相当する部品、部分については同一符号を付し、
ここでの詳しい説明は省略する。

【００１５】すなわち、第１の変形構造に係る密封装置
では、図２で示すように、主シール１のオイル封入側に
組み込まれた補助シール２のリップ６が、単なる弾性素
材を用いて作製されたものではなくて磁性を有する弾性
素材、いわゆる磁性ゴムなどを用いて作製されたもので
あることになっている。そして、このような構成であれ
ば、補助シール２のリップ６が磁性を帯びているので、
異物である鉄粉を補助シール２のリップ６に付着させた
うえでオイル封入側に留めておくことが可能となる結
果、異物がリップ６を通過したうえで主シール１側へと
侵入することを有効に阻止し得ることになる。なお、こ
の際においては、磁性を帯びたリップ６が金属からなる
回転軸に引き付けられることとなるので、リップ６がへ
たってしまうことを抑制し易いという付随的な利点も確
保される。

【００１６】また、第２の変形構造に係る密封装置は、
図３で示すように、回転軸線に対して傾斜する向きとさ
れたうえで互いに対向しあう突条部８、つまり、回転軸
線回りの両方向に沿った回転動作にも対処可能となる突
条部８が補助シール２のリップ６の回転軸と接触する接
触面上に形成されていることを特徴としており、このよ
うな構成である際には、回転軸がいずれの方向に沿って
回転動作するかに拘わらず、対向するようにして形成さ
れた突条部８によって補助シール２のリップ６を通過し
ようとするオイルをオイル封入側へと押し戻す作用、い
わゆるポンプ作用が生じる。その結果、オイルに混入し
ている異物までもが補助シール２のオイル封入側へと押
し戻されることとなり、主シール１側へと異物が侵入す
ることは有効に阻止される。

【００１７】ところで、ここでは補助シール２のリップ
６の接触面上に突条部８を形成するとしているが、突条
部８に限定されることはないのであり、第３の変形構造
を示す図４のように、回転軸線に対して傾斜する向きと
されたうえで対向しあう溝部９を補助シール２のリップ
６の接触面上に形成しておいてもよいことは勿論であ
る。そして、溝部９を形成しておいた場合にも、突条部
８を形成しているのと同様のポンプ作用が得られること
になり、オイルに混入している異物までもが補助シール
のオイル封入側へと押し戻されることとなる結果、補助
シール２のリップ６を通過したうえで主シール１側にま
で異物が侵入することは有効に阻止されることになる。

【００１８】さらに、第４の変形構造に係る密封装置に
おいては、図５で示すように、補助シール２のリップ６
の回転軸と接触する接触面上に対し、微小な凹凸１０を
全面にわたって形成することが行われている。そして、
このような構成を採用している際には、補助シール２の
オイル封入側から主シール１側へと漏出してくるオイル
をリップ６の接触面上に形成された凹凸１０が溜めるこ
とになり、かつ、オイルに混入されたうえで侵入してく
る鉄粉などの異物も凹凸１０によって溜め込まれたうえ
で移動することが阻止されることになる。従って、この
ような構成を採用している際には、ギヤ同士の噛み合わ
せによって発生したうえでオイルに混入している鉄粉な
どのような異物が補助シール２のリップ６を通過して主
シール１側へと侵入することは起こり難くなり、主シー
ル１のリップ３に対して異物が噛み込むことは起こらな
いことになる。

【００１９】さらにまた、第４の変形構造では補助シー
ル２を構成するリップ６の接触面上に微小な凹凸１０を
形成することを行っているが、このような構成のみに限
定されることはなく、第５の変形構造に係る密封装置を
示す図６でのように、補助シール２を構成するリップ６
の接触面上に対して多数の凹部１１を形成しておくこと
も可能であり、このような構成を採用していれば、リッ
プ６の接触面上に形成された凹部１１のそれぞれが侵入
してきたオイルを溜めるオイル溜まりであると同時に、
鉄粉などのような異物を移動させないように溜め込む異
物溜まりとしても機能することになるので、主シール１
側へと異物が侵入することを有効に阻止し得ることにな
る。なお、このような構成を採用するに際しては、多孔
性の弾性素材、例えば、多孔質ゴムなどを用いたうえで
リップ６を作製することが行われる。

【００２０】

【発明の効果】本発明の請求項１に係る密封装置によれ
ば、主シールのオイル封入側に対して補助シールを一体
的に組み込んでおり、この補助シールのリップで異物の
侵入が阻止されるので、異物が混入していないオイルの
みが補助シールのリップを通過したうえで主シール側へ
と供給されることになる。従って、主シールのリップに
対して異物が噛み込まれることを防止可能であり、シー
ル寿命の延長を容易に実現することができるという効果
が得られる。請求項２に係る密封装置によれば、本来の
目的である外部大気側に対するオイルの漏出を主シール
のリップで確実に阻止しつつ、補助シールのリップで異
物の侵入を阻止しながらオイルのみを通過させることが
容易に実現可能であるという効果が得られる。

【００２１】本発明の請求項３に係る密封装置であれ
ば、補助シールのリップが磁性を帯びているので、異物
である鉄粉を補助シールのリップに付着させたうえでオ
イル封入側に留めておくことが可能となる結果、異物が
主シール側へと侵入することを有効に阻止し得るという
効果が確保される。請求項４に係る密封装置では、回転
軸線に対して傾斜させられたうえで対向しあった突条部
または溝部によって補助シールのリップを通過しようと
するオイルをオイル封入側へと押し戻す作用が生じるの
で、オイルに混入している異物までもが補助シールのオ
イル封入側へと押し戻されることとなり、主シール側へ
と異物が侵入することは有効に阻止されるという効果が
得られる。

【００２２】本発明の請求項５に係る密封装置によれ
ば、補助シールのリップの接触面上に形成された凹凸が
オイルを溜めるとともに、異物を溜め込んだうえで移動
させない機能をも果たすので、主シール側に対する異物
の侵入が有効に阻止されるという効果が得られる。請求
項６に係る密封装置においては、補助シールのリップの
接触面上に形成された凹部のそれぞれがオイルを溜める
オイル溜まりであると同時に、異物を溜め込んで移動さ
せない異物溜まりとしても機能するので、主シール側へ
と異物が侵入することを有効に阻止し得るという効果が
得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施の形態に係る密封装置の構造を簡略化し
て示す半断面図である。

【図２】その第１の変形構造を示す半断面図である。

【図３】その第２の変形構造を示す半断面図である。

【図４】その第３の変形構造を示す半断面図である。

【図５】その第４の変形構造を示す半断面図である。

【図６】その第５の変形構造を示す半断面図である。

【図７】従来の形態に係る密封装置の構造を簡略化して
示す半断面図である。

【図８】その変形構造を示す半断面図である。

【符号の説明】１主シール２補助シール３リップ４芯金５締付けスプリング６リップ７芯金８突条部９溝部１０凹凸１１凹部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】回転軸と接触しているリップで潤滑油の
漏出を阻止する主シールと、この主シールの潤滑油封入
側に組み込まれた補助シールとから構成されており、こ
の補助シールは前記回転軸と接触しているリップで前記
主シール側への異物の侵入を阻止するものであることを
特徴とする密封装置。
【請求項２】請求項１に記載した密封装置であって、主シールのリップは締付けスプリングで回転軸に圧接さ
せられており、補助シールのリップは前記回転軸に対し
て自然接触させられていることを特徴とする密封装置。
【請求項３】請求項１または請求項２に記載した密封
装置であって、補助シールのリップは、磁性を有する弾性素材を用いて
作製されたものであることを特徴とする密封装置。
【請求項４】請求項１ないし請求項３のいずれかに記
載した密封装置であって、補助シールのリップの回転軸と接触する接触面上には、
回転軸線に対して傾斜する向きとされたうえで対向しあ
う突条部または溝部が形成されていることを特徴とする
密封装置。
【請求項５】請求項１ないし請求項３のいずれかに記
載した密封装置であって、補助シールのリップの回転軸と接触する接触面上には、
微小な凹凸が形成されていることを特徴とする密封装
置。
【請求項６】請求項１ないし請求項３のいずれかに記
載した密封装置であって、補助シールのリップの回転軸と接触する接触面上には、
多数の凹部が形成されていることを特徴とする密封装
置。