JP2000107806A - 熱間加工用工具 - Google Patents

熱間加工用工具

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JP2000107806A
JP2000107806A JP10296038A JP29603898A JP2000107806A JP 2000107806 A JP2000107806 A JP 2000107806A JP 10296038 A JP10296038 A JP 10296038A JP 29603898 A JP29603898 A JP 29603898A JP 2000107806 A JP2000107806 A JP 2000107806A
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JP
Japan
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hot working
glass
sintered body
working tool
temperature
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JP10296038A
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English (en)
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Kazuhiro Urashima
和浩 浦島
Katsura Matsubara
桂 松原
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステンレス鋼などの難加工材を熱間圧延する
場合でも、効率良くしかも加工面粗度の高い熱間加工を
可能とする。 【解決手段】 素材との接触面が焼結体からなる熱間加
工用工具で、焼結体の内部に、熱間加工時の熱で軟化し
て接触面に存在して潤滑作用をするガラスを3〜50体
積%を含ませた。こうすることで、そのガラスが熱間加
工時の熱で軟化して表面に自動的に存在して潤滑作用を
するので、手間もかからず加工面のむらのない加工がで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間圧延加工や熱
間塑性加工に使用される熱間加工用工具に関し、詳しく
は、管材、線材、形材等の引抜きや押出しに使用される
熱間加工用のダイス、或いは傾斜ロール穿孔法及び孔型
穿孔法などによる継目無し管製造用プラグ(以下、単に
プラグともいう)などの熱間加工用工具(熱間圧延用工
具ともいわれる)に関する。
【0002】
【従来技術】こうしたダイスやプラグなどの熱間加工用
工具(以下、加工用工具又は単に工具ともいう)は、加
熱された素材との絶え間ない接触によって高温にさらさ
れている上に極めて高い応力を受けているなど、常時、
高温、高圧の過酷な条件下におかれている。このため、
ダイスの絞り部や整形部、或いはプラグの先端部ないし
外周面など、素材との接触面は摩擦抵抗が大きく摩耗、
溶損、焼付きなどを起し易いので、早い段階で加工した
素材の表面粗度を低下させてしまう。
【0003】このような摩擦抵抗の低減のため、材質が
鋼系金属の熱間加工用工具では、その表面(接触面)に
酸化スケール(被膜)を形成することが行われている。
そして、線引き用のダイスには超硬合金が多く用いられ
ている。さらに、耐摩耗性や耐熱性に優れるセラミック
製のダイスも提案されている(特公平8−24954
号)。またプラグでは、その表面に予め黒鉛系潤滑剤か
らなる潤滑膜を形成し、その後穿孔圧延する手法も提案
されている(特開平5−138213号)。しかし、こ
のような潤滑を行っても素材がステンレス鋼などの難加
工材の加工においては、素材との接触面の摩擦抵抗が大
きいなど摺動特性がとくに悪いために加工効率が悪く、
工具の接触面の摩耗も大きく、したがって加工した素材
の表面粗度も悪くしてしまう。
【0004】この他、特開昭60−137511号や特
開平2−182330号公報記載の技術のように、プラ
グ類を窒化けい素などでセラミック化した技術や、特開
昭62−170479号公報記載の技術のように鋼製の
プラグ本体の表面にセラミックをコーティングした技術
も知られている。これらにおいては、接触面の摩耗は少
ないが、加工効率や表面粗度の点では満足な結果が得ら
れていない。
【0005】一方、熱間押出し加工の分野などでは、素
材と工具の接触面との潤滑を行うのに従来よりガラスを
用いることが行われている。この方法は、ガラスの例え
ば粉末を加工用工具における素材との接触面に所定の厚
さとなるように付けておき、加熱された素材の熱でこれ
を軟化させて潤滑作用をさせるというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このガラスを
付けるという手法では、ガラスを別途準備する必要があ
るし、加工の都度、ガラスを摺動面に付着させる必要が
あるなど手間がかかり、加工効率が悪い。また、工具の
接触面に付けるガラスの均一性を図るのは困難であり、
結果として加工した素材(製品)の表面の面粗度にむら
(不均一)がでやすく品質の低下を招きやすいといった
問題があった。すなわち、例えば熱間引抜き加工に使用
されるセラミック製ダイスでは、セラミック(窒化けい
素など)と鉄系金属が摺動するため潤滑材が切れ易く、
引抜き抵抗が高くなってしまう。このため、素材(被引
抜き材)に傷をつけたり、線材が引抜き途中で切断され
てしまったりすることがあった。このような問題は、製
品の品質や歩留まりを低下させる上に、加工効率を著し
く低下させてしまう。
【0007】ところで、例えば窒化けい素(Si
3 4 )からなる熱間加工用工具においは、焼結性を向
上させ、粒成長を防止するなどのため、MgO、Yb2
3 、Al2 3 が焼結助剤として添加されて焼結(焼
成)される。このため、こうしたセラミック製品では、
これらの添加物により焼結体の内部(粒界)にガラスが
残存(残留)することになる。このようなガラスの残留
はセラミックの特性ないし性能(硬度、耐熱性など)上
において好ましくなく、したがって、従来はセラミック
原材料中に不可避的に含まれているガラス成分を除き、
これを可及的に減らすようしている。
【0008】こうした中で本願発明者は、セラミック製
品におけるガラス成分の減少化とは逆に、セラミック製
の熱間加工用工具を作るに当たり、試験的にガラスを積
極的に含ませて各種の試験をした。その結果、このよう
な熱間加工用工具を用いた場合には、セラミックの粒界
にあるガラスが熱間加工時の熱で軟化して表面(素材と
の接触面)にしみ出、このしみ出た軟化ガラスが素材と
の界面で潤滑作用をし、これにより摩擦抵抗が低下して
加工効率を向上させ得ることを知った。
【0009】本発明はかかる知見に基づいてなされたも
ので、ステンレス鋼などの難加工材を熱間圧延(加工)
する場合でも、効率良くしかも加工面粗度の高い熱間加
工をすることのできる熱間加工用工具を提供することに
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は、素材との接触面が焼結体(多結晶焼結
体)からなる熱間加工(圧延)用工具であって、前記焼
結体の内部(粒界)に、熱間加工時の熱で軟化して前記
接触面に存在して潤滑作用をするガラスを含ませてなる
ことを特徴とする。
【0011】このような本発明においては、工具をなす
焼結体(多結晶焼結体)の内部又は粒界に含ませたガラ
スが熱間加工時の熱で軟化して接触面(工具表面)に存
在して、素材(ワーク)との接触面(摺動面)の潤滑を
行うから、従来のように別途ガラスを付けて潤滑させる
場合と異なり、ガラスの準備や付着作業など格別の措置
をとる必要もなく、加工時における素材の摩擦(摺動)
抵抗を低減することができる。しかも、内部からしみ出
る(しみ出て存在する)ガラスによって潤滑作用をする
からその潤滑も均等に行われるので、ワークの加工面粗
度のむらも防止され、加工面品質の向上も図られる。さ
らには自己潤滑作用があるため、熱間加工用工具自体の
摩耗も低減できるし、表面にガラスを付けたりして潤滑
剤とする場合にくらべ、工具寿命の延長も期待される。
【0012】なお、本発明に係る熱間加工用工具は、素
材との接触面が焼結体で形成されているものである。こ
の場合、接触面の全体が焼結体であると好ましい。例え
ばダイスにおいては、導入部や逃げ部のように比較的摩
擦抵抗の小さい箇所は鉄系金属製とすることも可能であ
るが、素材との接触面のうち比較的摩擦抵抗の大きい絞
り部と整形部だけでなく、ダイス全体を焼結体で形成す
るのが本来好ましい。すなわち、導入部や逃げ部などを
鉄系金属製とし、絞り部と整形部のみを焼結体で形成す
る場合でも本発明は同様に適用できる。
【0013】また、熱間加工用工具が弾丸形状で一体を
なす継目無し管製造用のプラグである場合には、プラグ
全体が焼結体とされ、その全体にガラスが略均等に含ま
れているのが好ましい。ただし、こうしたプラグにおい
ては素材との接触面は、その後端面側を除く先端部と外
周面の略全体であるが、摩擦抵抗が一番問題となるのは
先端部である。このため、その先端部或いは先端部を含
む先端寄り部位の外周面を形成する部位をセラミック製
とし、他の部位を鉄系金属とし、両者を組合わせて熱間
加工用工具とすることが考えられる。このような場合に
は、素材との接触面の全体ではなく先端部分のみが焼結
体となるが、本発明はこのような熱間加工用工具におい
ても適用できる。
【0014】本発明におけるガラスは、熱間加工時の熱
で軟化して前記接触面に存在して潤滑作用をするように
適量含ませればよい。その量は焼結体の全体積に対し、
3vol(体積)%〜50vol%の範囲とするのが適
切である。3vol%よりも少ないと、しみ出るガラス
の量が少ないために十分な潤滑性が得られず、効果的な
摩擦の低減や加工時間の短縮が期待できないためであ
る。一方、50vol%を超えるようだと、とくにセラ
ミック製の場合には工具そのものの耐熱衝撃温度(性)
が低下して破損などを招きやすいためである。材料強度
上から、より好ましいのは、6〜21vol(体積)%
の範囲とするのが適切である。なお、ガラスは、接触面
(工具表面)からある深さ(表面寄り部位)の範囲のみ
含有されているようにしてもよいが、工具の強度や製造
上から焼結体からなる工具全体において略均一となるよ
うにするのが好ましい。
【0015】前記ガラスは、各種の組成のものから、熱
間加工時の熱で軟化して前記接触面に存在して潤滑作用
を成すように、熱間加工時の素材の温度を考慮して適宜
に選択、配合したものとすればよい。一般には、焼結体
内の粒界にあるガラスが軟化してくる温度の一評価法と
される、その焼結体内における内部摩擦(Q-1)の立ち
上がり温度が1500℃以下であるものが好ましい。本
発明においてガラスは、熱間加工時に素材との接触過程
で加熱されて軟化し、そして存在して潤滑作用をなすこ
とが必要である。ガラスの軟化点と対応するパラメータ
ーとしての内部摩擦を測定してみると、その立ち上がり
温度が1500℃を超えるようであると、ステンレス鋼
などの難加工材の熱間加工時の温度(1000〜130
0℃)において十分軟化せず、潤滑剤としての作用が低
いためである。また、内部摩擦の立ち上がり温度が50
0℃より低いと、熱間加工時の温度(1000℃)にお
いて粘性が低くなり過ぎ、潤滑剤としての作用が不十分
となる。したがって、内部摩擦の立ち上がり温度は50
0℃以上あるとよい。
【0016】なお、内部摩擦の立ち上がり温度は、以下
のように決定される。まず、横共振法若しくはねじり振
動法によって内部摩擦値Q-1を測定する。この時、試験
片の昇温速度は5℃/min.程度とし、10℃間隔で
-1を測定する。次に、得られたQ-1を温度に対してプ
ロットする。この図において、室温と室温から50℃高
い温度の間のQ-1値の積分値をAとする。これに対し
て、積分位置を徐々に高温側に移行し、任意の温度Tと
その温度より50℃高い温度の範囲の積分値を求め、こ
の値をBとする。このBとAとの比が、B/A>1.2
となる温度Tを内部摩擦の立ち上がり温度とする。
【0017】また、前記焼結体は繰り返し起こる熱衝撃
に耐え得る程度に耐熱衝撃性が高くなければならない。
これを考慮すると、前記焼結体はその耐熱衝撃温度が、
3mm×4mm×40mmの直方体試験片(全エッジに
面取(R0.5〜1mm)を施したもの)を用いた場合
において500℃以上あるのが好ましい。
【0018】本発明における焼結体は、耐摩耗性や耐熱
性の点よりセラミックが好ましいが、焼結金属であって
もよい。本発明の熱間加工(圧延)用工具は、表面のう
ち素材との接触面(一部又は全体)が焼結体で形成さ
れ、前記焼結体の内部に、熱間加工時の熱で軟化して前
記接触面に存在して潤滑作用をするガラスを含ませるこ
とができればよいためである。
【0019】そして、セラミックとする場合には、窒化
けい素若しくはサイアロンを主成分とするものが好まし
く、とくに好ましくは窒化けい素である。窒化けい素
は、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性が優れ、しかも破
壊靭性が他のセラミックよりも優れるため、破損し難
く、より大きな負荷応力下で使用できるためである。な
お、窒化けい素とする場合、前記ガラスは、その組成が
Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、Zr
(ジルコニウム)、3A族元素のうちから選ばれる1種
以上と、Si(けい素)、O(酸素)及びN(窒素)と
を含むものが好適である。
【0020】なお、本発明における熱間加工用工具は、
管材や棒材の引抜きや押出しなどに使用されるダイス、
マンネスマン製管法などに使用される継目無し管製造用
プラグ等、ひろく熱間圧延用工具を含む。そしてダイス
としては熱間引抜きダイス、熱間鍛造ダイスなどであ
り、プラグとしては、熱間押出し製管用工具をなすピア
サプラグ、プレスロールピアサプラグや管の引抜きに使
用されるプラグやフローティングプラグなどに適用でき
る。
【0021】
【発明の実施の形態】−第1実施形態− 本発明の熱間加工用工具の第1実施形態について図1を
参照して説明する。図1は、鋼材の熱間引抜き加工に使
用されるダイス1及びこれをダイ10に保持して引抜き
加工する状態の説明用概念図である。図1に示したダイ
ス1は、詳しくは次記するが、従来と同様の手法によ
り、例えば窒化けい素を主成分とするセラミック粉体
に、焼結助剤としてMgO、Yb2 3 、及びAl2
3 の粉体を適量添加、混合してプレス成形し、焼結して
なるものである。なお、本例のダイス1は、素材(線
材)51の進行方向に向かって(図1右から左に向かっ
て)、導入部2、絞り部3、整形部4、および逃げ部5
をなすように一体形成され、その全体にガラスが含まれ
ている。
【0022】しかして、このようなダイス1によって線
材を引抜き加工する際には、ダイス1の右側の導入部
(ダイスの穴)2に加熱された素材51を通し、その先
端を挟んで引抜きが始されるが、この引抜き過程におい
て素材51の熱でダイス1が加熱されて内部のガラスが
軟化する。軟化したガラス(図示せず)はその表面に存
在して素材51との間に存在して接触面(摩擦面)を潤
滑状態とする。これによりその引抜き時の摩擦抵抗が低
減され、加工時間が短縮され、しかも軟化したガラスは
接触面の全体から略均等にしみ出るため、むらのない表
面粗度の線材が得られる。
【0023】すなわち、本例では従来のダイスのように
別途ガラスを付けて潤滑させる場合と異なり、ガラスの
準備や付着作業など格別の措置をとる必要もなく、加工
時における素材の摩擦(摺動)抵抗を低減することがで
きる。しかも、自己潤滑作用により潤滑は均等に行われ
るので、ワークの加工面粗度のむらも防止され、その品
質の向上も図られる。このように本例のダイス1におい
ては、熱でしみ出るガラスの自己潤滑作用により、ステ
ンレス鋼、クロム鋼などの難加工材を引抜き加工する場
合でも効率よく線材が形成できる。もちろんダイスの穴
の形状次第であり、それと同断面の棒や管を引抜き加工
する場合でも、ダイスとの接触面において同様の作用が
あり、効率よくそれらを形成(製造)することができ
る。
【0024】次に、図1のようなダイス試料を表1に示
した焼結助剤の成分に変えて多数(各1個)作り、それ
らを用いて後述するようにして引抜き加工試験をし、引
抜き抵抗などを測定した。なお各試料の製法は次のよう
である。平均粒径0.5μm、比表面積(BET)10
2 /g,α率95%、酸素量1.2wt%の窒化けい
素粉末と、表1に示した焼結助剤成分でそれぞれ合計1
00%となるように原料粉末を配合し、エタノールと共
にボールミル中で50時間混合した。ただし、焼結助剤
成分中、MgOについては、平均粒径0.8μm、比表
面積(BET)10m2 /gの粉末とし、Yb2 3
ついては、平均粒径1.0μm、比表面積(BET)
5.9m2 /gの粉末とし、さらにAl2 3 について
は平均粒径0.4μm、比表面積(BET)9.5m2
/gの粉末を用いた。こうして得られた混合物(スラリ
ー)を噴霧乾燥にて造粒し、CIP成形にてダイス形状
に成形後、焼結してセラミック製ダイスとした。
【0025】なお、焼結体(ダイス)の引抜き部(穴内
面)は焼成後ダイヤモンド砥石で研磨し、JISによる
10点法で表面粗さがRmax2.1μmに仕上げた。
なお表1中の「焼結体の総ガラス量(vol%)」は焼
結体(ダイス)の全体積に対するガラスの体積の比率で
あり、焼結体の断面をSEM反射電子像にて観察し、画
像処理により粒界部分の面積率を求め、それを粒界の焼
結体中に含まれる体積分率としたものである。なお、原
料の窒化けい素(粉末)は、その中に焼結助剤を成すS
iO2 が1.2(wt)%含まれているものを用いた。
【0026】このようにして製造されたダイス試料(各
1個)で引抜き加工試験を行い、引抜き抵抗を比較例
(試料No.13(超硬合金製ダイス))と比較した。
ただし、引抜き抵抗は、ダイスにかかる負荷を直接測定
し、従来工具(試料No.13)の抵抗値を1.0とし
た比として求めた。結果は同表1に示した通りであっ
た。なお、比較例としては、試料No.13の他、セラ
ミック製ダイスであるが添加焼結助剤をなし(0)とし
た試料(試料No.12)と、添加焼結助剤を多め(6
1%)に添加して焼結したセラミック製ダイス試料(試
料No.11)とした。また、引抜き圧延加工試験に用
いた素材は、硬鋼線材であり、これを700℃に加熱
し、面積減少率(断面減少率)40%とし、別途に潤滑
材を用いることなく引抜き加工した。
【0027】そして各試料ごと、引抜き抵抗の他、同表
中に示したように、内部摩擦(Q-1)の立ち上がり温
度、耐熱衝撃温度及び材料強度(3点曲げ強度)を測定
した。ただし、内部摩擦(Q-1)の立ち上がり温度は、
各ダイス試料と同組成、同一条件で焼結して製造した、
幅5mm、長さ54mm、厚み1mmサイズの焼結体
(試料)を使用し、ねじり振動法によって振動(周波数
5.6Hz)を与えつつ10℃/minの速度で加熱し
ながら測定した。また、耐熱衝撃温度については、各ダ
イス試料と同組成、同一条件で焼結して製造した、直方
体試験片(3mm×4mm×40mmで、R0.5〜1
mmの面取を全エッジに施したもの)を用い、200℃
から50℃単位で順次高温に維持した後、20℃の水中
に投下して投下後のクラックの発生の有無で判定した。
なお、材料強度はJIS R1601に準拠して行っ
た。
【0028】
【表1】
【0029】表1より、引抜き抵抗は、試料No.1〜
10のもの(ガラス量3〜48%のもの)が比較例(試
料No.13)である超硬合金製ダイスによる場合に比
べ、引抜き抵抗が15〜45%低減できた。これに対
し、焼結助剤(ガラス成分)を添加しなかったセラミッ
ク製ダイス(試料No.12)では、チッピングを起こ
し、試験続行不能となってしまった。因みに、この試料
No.12の総ガラス量は1.5%であった。これよ
り、ガラスを積極的に含ませて、それによる自己潤滑作
用のあるものは、超硬合金製ダイス(試料No.13)
や、ガラス成分を添加しなかったセラミック製ダイス
(試料No.12)に比べて確実に引抜き抵抗が低減し
ていることが分かる。また、表1より総ガラス量が6〜
21%の範囲内にある試料(No.3〜7)において
は、その材料強度(3点曲げ強度)も1190〜172
0MPaと他の試料に比較して大きいことも確認でき
る。
【0030】なお、内部摩擦の立ち上がり温度は、ガラ
ス成分を添加しなかったセラミック製ダイス(試料N
o.12)では1550℃あった。この試料の結果よ
り、内部摩擦の立ち上がり温度はこれより低めが好まし
いといえる。また総ガラス量を61%含ませたセラミッ
クダイス(試料No.11)では、耐熱衝撃温度が30
0℃と低く、また材料強度も350MPaと低く、引抜
き加工途中で破損した。
【0031】−第2実施形態− 次に、本発明の熱間加工用工具の第2実施形態について
説明する。第2実施形態は、マンネスマン製管法に使用
される継目なし管穿孔用のプラグである。このプラグ
は、詳しくは次記するが、従来と同様の手法により、例
えば窒化けい素を主成分とするセラミック粉体に、焼結
助剤としてMgO、Yb2 3 、及びAl2 3 の粉体
を適量添加、混合してプレス成形し、焼結してなるもの
である。なお、本例のプラグは、弾丸形状部位をなすプ
ラグ本体とその後端部に同心円柱状に一体形成されてな
るマンドレルへの嵌合部とからなり、その全体にガラス
が含まれている。
【0032】しかして、このようなプラグによってマン
ネスマン製管法にて継目無し管を形成する際には、プラ
グの先端に加熱された素材(ビレット)が押付けられ穿
孔が開始されるが、この穿孔過程において素材の熱でプ
ラグが加熱されて内部のガラスが軟化する。軟化したガ
ラスはその表面に存在して素材との間に存在して接触面
(摩擦面)を潤滑状態とする。これによりその穿孔時の
摩擦抵抗が低減され、加工時間が短縮され、しかも軟化
したガラスは接触面の全体から略均等にしみ出るため、
むらのない内面粗度の素管が得られる。
【0033】すなわち、本例では従来のプラグのように
別途ガラスを付けて潤滑させる場合と異なり、ガラスの
準備や付着作業など格別の措置をとる必要もなく、加工
時における素材の摩擦(摺動)抵抗を低減することがで
きる。しかも、自己潤滑作用により潤滑は均等に行われ
るので、ワークの加工面粗度のむらも防止され、その品
質の向上も図られる。このように本例のプラグにおいて
は、熱でしみ出るガラスの自己潤滑作用により、ステン
レス鋼、クロム鋼などの難加工材を穿孔する場合でも効
率よく素管が形成できる。
【0034】次に、上記のようなプラグ(外径φ41m
m)試料を表2に示した焼結助剤の成分に変えて多数
(各1個)作り、それらを用いて後述するようにして穿
孔試験をした。なお各試料の製法は次のようである。平
均粒径0.5μm、比表面積(BET)10m2 /g,
α率95%、酸素量1.2wt%の窒化けい素粉末と、
表2に示した焼結助剤成分でそれぞれ合計100%とな
るように原料粉末を配合し、エタノールと共にボールミ
ル中で50時間混合した。ただし、焼結助剤成分中、M
gOについては、平均粒径0.8μm、比表面積(BE
T)10m2 /gの粉末とし、Yb2 3 については、
平均粒径1.0μm、比表面積(BET)5.9m2
gの粉末とし、さらにAl2 3 については平均粒径
0.4μm、比表面積(BET)9.5m2 /gの粉末
を用いた。こうして得られた混合物(スラリー)を噴霧
乾燥にて造粒し、CIP成形にてプラグ形状に成形後、
焼結してセラミック製プラグとした。
【0035】なお、焼結体(プラグ)の表面は焼成後ダ
イヤモンド砥石で研磨し、JISによる10点法で表面
粗さがRmax2.1μmに仕上げた。なお表2中の
「焼結体の総ガラス量(vol%)」は焼結体(プラ
グ)の全体積に対するガラスの体積の比率であり、焼結
体の断面をSEM反射電子像にて観察し、画像処理によ
り粒界部分の面積率を求め、それを粒界の焼結体中に含
まれる体積分率としたものである。なお、原料の窒化け
い素(粉末)は、その中に焼結助剤を成すSiO2
1.2(wt)%含まれているものを用いた。
【0036】このようにして製造されたプラグ試料(各
1個)でマンネスマン製管法による圧延(穿孔)実験を
行い、穿孔時間及び比較例(試料No.15(黒鉛系潤
滑剤付き鋳鋼製プラグ))の穿孔時間に対するその低減
率、圧延後の鋼管の内面粗さ(Ra)を表面粗さ計にて
計測し、比較した。結果は同表2に示した通りであっ
た。なお、比較例としては、試料No.15の他、セラ
ミック製プラグであるが添加焼結助剤をなし(0)とし
た試料(試料No.14)と、添加焼結助剤を多め(6
1%)に添加して焼結したセラミック製プラグ試料(試
料No.13)とした。なお黒鉛系潤滑剤付き鋳鋼製プ
ラグ(試料No.15)は0.3%C−3%Cr−1%
Ni系の鋳鋼製で、熱処理によって表面に酸化スケール
を生成させ、さらに黒鉛系潤滑剤を塗布(付着)したも
のである。また、圧延穿孔試験に用いた素材は、SUS
304製で直径55mm、長さ300mmの丸鋼材であ
り、これを1250℃に加熱し、外径60mm、肉厚6
mmの素管を製作した。なお使用した圧延ロールは直径
350mm、胴長800mm、回転速度60rpmであ
る。
【0037】そして各試料ごと同表中に示したように、
内部摩擦(Q-1)の立ち上がり温度、耐熱衝撃温度及び
材料強度(3点曲げ強度)を測定した。ただし、内部摩
擦(Q-1)の立ち上がり温度は、各プラグ試料と同組
成、同一条件で焼結して製造した、幅5mm、長さ54
mm、厚み1mmサイズの焼結体(試料)を使用し、ね
じり振動法によって振動(周波数5.6Hz)を与えつ
つ10℃/minの速度で加熱しながら測定した。ま
た、耐熱衝撃温度については、各プラグ試料と同組成、
同一条件で焼結して製造した、直方体試験片(3mm×
4mm×40mmで、R0.5〜1mmの面取を全エッ
ジに施したもの)を用い、200℃から50℃単位で順
次高温に維持した後、20℃の水中に投下して投下後の
クラックの発生の有無で判定した。なお、材料強度はJ
IS R1601に準拠して行った。
【0038】
【表2】
【0039】表2より、穿孔時間は、試料No.1〜1
2のもの(ガラス量3〜48%のもの)が比較例(試料
No.15)である鋳鋼製プラグによる場合に比べ、7
〜13%低減できた。これに対し、焼結助剤(ガラス成
分)を添加しなかったセラミック製プラグ(試料No.
14)では、比較例(試料No.15)の鋳鋼製プラグ
に比べて穿孔時間を1%低減できただけであった。因み
に、試料No.14の総ガラス量は1.5%であった。
これより、ガラスを積極的に含ませてそれによる自己潤
滑作用のあるものは、黒鉛系潤滑剤付き鋳鋼製プラグ
(試料No.15)や、ガラス成分を添加しなかったセ
ラミック製プラグ(試料No.14)に比べて確実に加
工効率が向上していることが分かる。また、表2より総
ガラス量が6〜21%の範囲内にある試料(No.3〜
7とNo.12)においては、その材料強度(3点曲げ
強度)も1340〜1720MPaと他の試料に比較し
て大きいことも確認できる。
【0040】また、穿孔された鋼管の内面粗度は、試料
No.1〜12のもの(ガラス量3〜48%のもの)で
穿孔されたものは、Ra2〜3μmであったのに対し、
黒鉛系潤滑剤付き鋳鋼製プラグ(試料No.15)で穿
孔されたものはRa90μmであった。また、ガラス成
分を添加しなかったセラミック製プラグ(試料No.1
4)で穿孔された鋼管は、Ra7μmであった。この内
面粗度の結果からみても、本発明品の効果が分かる。
【0041】なお、内部摩擦の立ち上がり温度は、ガラ
ス成分を添加しなかったセラミック製プラグ(試料N
o.14)では1550℃あった。この試料の結果よ
り、内部摩擦の立ち上がり温度はこれより低めが好まし
いといえる。また総ガラス量を61%含ませたセラミッ
クプラグ(試料No.13)では、耐熱衝撃温度が30
0℃と低く、また材料強度も350MPaと低く、穿孔
途中で破損した。
【0042】前記形態では、引抜き加工用のダイス及び
継目無し管製造用プラグにおいて具体化した場合を例示
したが、本発明はその他の熱間加工用工具において広く
適用できる。すなわち、棒材や管材の引抜き加工に使用
されるダイスでは、素材との接触面を成すダイスの絞り
部や整形部などにおいて本発明を具体化すれば良し、プ
ラグではその全体又は先端部材において本発明を具体化
すれば良い。本発明では、工具の種類に関わらず、素材
との接触面(一部又は全体)をセラミックや焼結金属な
どの焼結体で形成する熱間加工用工具において広く適用
できる。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る熱間加工用工具においては、工具をなす焼結体の
内部に含ませたガラスが熱間加工時の熱で軟化して素材
との接触面に存在して潤滑を行うから、従来のように別
途ガラスを付けて潤滑させる場合と異なり、ガラスの準
備や付着作業などの手間もかからず、加工時における素
材の摩擦(摺動)抵抗を低減することができるので、ス
テンレス鋼などの難加工材を熱間圧延(加工)する場合
でも、効率良くしかも加工面粗度の高い熱間加工をする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱間引抜き加工に使用される、本発明のダイス
の断面図及びこれを用いて引抜き加工する状態の説明用
概念図である。
【符号の説明】
1 セラミック製ダイス(熱間加工用工具) 51 素材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E029 LA01 MB07 4E096 EA03 FA02 FA16 GA01 JA11 4G001 BA03 BA04 BA06 BA08 BA14 BA32 BA73 BB03 BB04 BB06 BB08 BB14 BB32 BC12 BC13 BC73 BD04 BD12 BD14 BD18 BE11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 素材との接触面が焼結体からなる熱間加
    工用工具であって、前記焼結体の内部に、熱間加工時の
    熱で軟化して前記接触面に存在して潤滑作用をするガラ
    スを含ませてなることを特徴とする熱間加工用工具。
  2. 【請求項2】 前記ガラスが、前記焼結体の全体積に対
    し、3〜50vol%含まれていることを特徴とする請
    求項1記載の熱間加工用工具。
  3. 【請求項3】 前記ガラスが、前記焼結体の全体積に対
    し、6〜21vol%含まれていることを特徴とする請
    求項1記載の熱間加工用工具。
  4. 【請求項4】 前記ガラスの前記焼結体内における内部
    摩擦の立ち上がり温度が、1500℃以下であることを
    特徴とする請求項1、2又は3記載の熱間加工用工具。
  5. 【請求項5】 前記内部摩擦の立ち上がり温度が、50
    0℃以上であることを特徴とする請求項4記載の熱間加
    工用工具。
  6. 【請求項6】 前記焼結体の耐熱衝撃温度が、3mm×
    4mm×40mmの直方体試験片を用いた場合において
    500℃以上あることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の熱間加工用工具。
  7. 【請求項7】 前記焼結体が、セラミックであることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱間加工用
    工具。
  8. 【請求項8】 前記セラミックが、窒化けい素を主成分
    とするものであることを特徴とする請求項7記載の熱間
    加工用工具。
  9. 【請求項9】 前記ガラスは、その組成がMg、Al、
    Zr、3A族元素のうちから選ばれる1種以上と、S
    i、O及びNとを含むものであることを特徴とする請求
    項8記載の熱間加工用工具。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102615131A (zh) * 2011-12-26 2012-08-01 武汉重工铸锻有限责任公司 大口径厚壁无缝钢管生产用模圈及其制造方法
WO2022099627A1 (zh) * 2020-11-13 2022-05-19 盐城利盐新材料有限公司 提高冷拔变形量的复合模具

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