JP2000081448A - 移動体基礎情報検出方法及び移動体基礎情報用マルチセンサ - Google Patents

移動体基礎情報検出方法及び移動体基礎情報用マルチセンサ

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JP2000081448A
JP2000081448A JP11045706A JP4570699A JP2000081448A JP 2000081448 A JP2000081448 A JP 2000081448A JP 11045706 A JP11045706 A JP 11045706A JP 4570699 A JP4570699 A JP 4570699A JP 2000081448 A JP2000081448 A JP 2000081448A
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sensor
angular velocity
weight
capacitance
acceleration
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Jun Mizuno
潤 水野
Nottmayer Kai
ノットマイヤー カイ
Masanori Amemori
雅典 雨森
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Zexel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加速度、角速度及び角加速度を検出すること
ができ、大量生産に適するセンサを提供する。 【解決手段】 移動体基礎情報用マルチセンサSは、基
本的に同一の構成を有してなる第1及び第2のg−ωセ
ンサ50,51を具備し、これら第1及び第2のg−ωセン
サ50,51は、それぞれのトーションバーが鉛直方向に沿
うようにして、かつ、トーションバーと直交する方向に
おいて、それぞれのg−ωセンサ50,51の中心を通る仮
想的な直線(図1の点線参照)が互いに直交するように
して、基板52上に配設されてなるもので、それぞれのセ
ンサ50,51からの静電容量出力を比較することで、車両
Mに作用する加速度、角速度及び角加速度の方向、大き
さを知ることができるよう構成されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両等の移動体に
作用する加速度等を検出するセンサに係り、特に、車両
等の移動体の加速度、角速度及び角加速度を簡易に検出
する方法及びそのためのセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、車両等の移動体において
は、移動体の衝突等から乗員を保護する装置として乗員
保護装置が設けられたものがあり、この乗員保護装置に
は、その動作制御のために、移動体の加速度が一つの情
報として必要とされる。また、車両自体の動作制御にも
加速度が、その動作制御を決定する上で、一つの重要な
いわば基礎情報として用いられることがある。そして、
このような乗員保護装置等に適する様々な加速度センサ
が提案されている(例えば、特開平9−178952号
公報等参照)。ところで、従来、車両の動作制御や、い
わゆるエアバック装置に代表される乗員保護装置におい
ては、車両の加速度を、その動作制御における重要な基
礎情報の一つとして用いるように構成されたものが大半
であった。これに対して、近年、車両の加速度に加え
て、車両のローリングを検出し、それを車両の動作制御
等に加味しようとする研究がなされている。これは、車
両事故の原因が、車両同士の以外に、車両のローリング
による乗員の死亡事故が、車両事故全体の45%をも占
めるという調査結果に基づくものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
加速度センサ等には、移動体のいわゆる基礎情報として
の加速度、角速度及び角加速度を一つのセンサで可能と
し、しかも、大量生産に適するものが皆無であった。本
発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、加速度、角
速度及び角加速度を検出することができ、大量生産に適
する移動体基礎情報用マルチセンサを提供するものであ
る。本発明の他の目的は、移動体基礎情報用マルチセン
サを用いた加速度、角速度及び角加速度の検出方法を提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記発明の課題を解決す
るため、本発明に係る移動体基礎情報検出方法は、2つ
の絶縁基板の間に、半導体部材からなる錘板がトーショ
ンバーを中心に回動及び変位可能に設けられると共に、
前記2つの絶縁基板に配設された電極と前記錘体との間
の静電容量が出力可能に構成されてなる第1のセンサ及
び第2のセンサを、前記第1及び第2のセンサの各々の
トーションバーが鉛直方向に沿うようにし、かつ、平板
状に形成された部材の平面上において、所定の直線に対
して、前記各々のトーションバーに直交してセンサの中
心を通る各々の仮想的な線が同一角度をなすように、前
記平板状に形成された部材の平面上に配してなる移動体
基礎情報用マルチセンサを用いて移動体の加速度、角速
度及び角加速度を検出する移動体基礎情報検出方法であ
って、前記移動体基礎情報用マルチセンサは、前記錘体
の中央に、貫通孔が穿設され、当該貫通孔の内側には、
柱状に形成された支持柱が設けられ、前記支持柱の側面
の内、対向する一組の側面からそれぞれトーションバー
が延設されて、その端部は、前記貫通孔の内壁に接合さ
れ、前記支持柱は、前記2つの絶縁基板の対向方向にお
ける厚みが、前記錘板より大に設定されて、その両端部
が前記2つの絶縁基板に接合される一方、前記2つの絶
縁基板の内、第1の絶縁基板の前記錘板と対向する面に
は、第1の加速度検出用電極、第1の角速度検出用電極
及び第2の角速度検出用電極が、前記第1の加速度検出
用電極を中央にして、その左側に前記第1の角速度検出
用電極が、その右側に前記第2の角速度検出用電極が、
それぞれ位置するように配設され、第2の絶縁基板の前
記錘体と対向する面には、第2の加速度検出用電極、第
3の角速度検出用電極及び第4の角速度検出用電極が、
前記第2の加速度検出用電極を中央にして、その左側に
前記第3の角速度検出用電極が、その右側に前記第4の
角速度検出用電極が、それぞれ位置するように配設さ
れ、前記第1及び第2の加速度検出用電極と前記錘板と
の間の各々の静電容量と、前記第1乃至第4の角速度検
出用電極と前記錘体との間の各々の静電容量とを出力可
能としてなるものであって、前記第1のセンサ及び前記
第2のセンサの各々における前記第2の加速度検出用電
極と前記錘体との間の静電容量と前記第1の加速度検出
用電極と前記錘体との間の静電容量との差が同一値であ
る場合には、前記平板状に形成された部材の平面上の所
定の直線に平行する方向に作用する加速度であると判定
すると共に、前記静電容量の差の大きさにより加速度の
大きさを、前記静電容量の差の符号により加速度の方向
を判定し、前記第1のセンサにおける前記第2の加速度
検出用電極と前記錘体との間の静電容量と前記第1の加
速度検出用電極と前記錘体との間の静電容量との差と、
前記第2のセンサにおける前記第2の加速度検出用電極
と前記錘体との間の静電容量と前記第1の加速度検出用
電極と前記錘体との間の静電容量との差とが逆符号で、
その絶対値が同一値となる場合には、前記平板状に形成
された部材の平面上の所定の直線に直交する方向に作用
する加速度であると判定すると共に、前記第1のセンサ
による前記静電容量の差の符号と前記第2のセンサによ
る前記静電容量の差の符号との組み合わせによって加速
度の方向を判定し、前記第1のセンサ又は前記第2のセ
ンサによる前記静電容量の差の大きさによって加速度の
大きさを判定し、前記第1のセンサにおける第2の角速
度検出用電極と前記錘板との間の静電容量に前記第3の
角速度検出用電極と前記錘板との間の静電容量を加算し
た値と、前記第1のセンサにおける前記第1の角速度検
出用電極と前記錘板との間の静電容量に前記第4の角速
度検出用電極と前記錘板との間の静電容量を加算した値
との減算値と、前記第2のセンサにおける第2の角速度
検出用電極と前記錘板との間の静電容量に前記第3の角
速度検出用電極と前記錘板との間の静電容量を加算した
値と、前記第2のセンサにおける前記第1の角速度検出
用電極と前記錘板との間の静電容量に前記第4の角速度
検出用電極と前記錘板との間の静電容量を加算した値と
の減算値とが逆符号で、その絶対値が同一値となる場合
には、前記平板状に形成された部材の平面状の所定の直
線を回転中心軸とする角速度が作用したと判定すると共
に、前記第1のセンサの前記減算値の符号と前記第2の
センサの前記減算値の符号との組み合わせによって角速
度の方向を判定し、前記第1のセンサ又は第2のセンサ
の前記減算値の大きさによって角速度の大きさを判定
し、前記第1のセンサにおける前記第2の角速度検出用
電極と前記錘板との間の静電容量に前記第3の角速度検
出用電極と前記錘板との間の静電容量を加算した値と、
前記第1のセンサにおける前記第1の角速度検出用電極
と前記錘板との間の静電容量に前記第4の角速度検出用
電極と前記錘板との間の静電容量を加算した値との減算
値と、前記第2のセンサにおける前記第2の角速度検出
用電極と前記錘板との間の静電容量に前記第3の角速度
検出用電極と前記錘板との間の静電容量を加算した値
と、前記第2のセンサにおける前記第1の角速度検出用
電極と前記錘板との間の静電容量に前記第4の角速度検
出用電極と前記錘板との間の静電容量を加算した値との
減算値とが同一値となる場合には、前記第1のセンサと
前記第2のセンサから等距離にある所定の点を中心にし
た角加速度が作用したと判定すると共に、前記第1及び
第2のセンサにおける前記減算値の符号によって角加速
度の方向を判定し、前記第1のセンサ又は前記第2のセ
ンサの前記減算値の大きさによって角加速度の大きさを
判定するよう構成されてなるものである。
【0005】かかる構成においては、特に、基本的に同
一の構成を有してなる加速度及び角速度の検出が可能
で、検出出力として静電容量値を出力するいわゆる静電
容量型と称される2つのセンサを所定の配置にして、そ
の2つのセンサの各々の静電容量出力の大小関係、符号
を比較することで加速度、角速度及び角加速度を知るこ
とができるようにしたものである。
【0006】また、上記発明の課題を解決するため、本
発明に係る移動体基礎情報用マルチセンサは、2つの絶
縁基板の間に、半導体部材からなる錘板がトーションバ
ーを中心に回動及び変位可能に設けられると共に、前記
2つの絶縁基板に配設された電極と前記錘体との間の静
電容量が出力可能に構成されてなる第1のセンサ及び第
2のセンサを、前記第1及び第2のセンサの各々のトー
ションバーが鉛直方向に沿うようにし、かつ、平板状に
形成された部材の平面上において、所定の直線に対し
て、前記各々のトーションバーに直交してセンサの中心
を通る各々の仮想的な線が同一角度をなすように、前記
平板状に形成された部材の平面上に配してなる移動体基
礎情報用マルチセンサであって、前記錘体の中央には、
貫通孔が穿設され、当該貫通孔の内側には、柱状に形成
された支持柱が設けられ、前記支持柱の側面の内、対向
する一組の側面からそれぞれトーションバーが延設され
て、その端部は、前記貫通孔の内壁に接合され、前記支
持柱は、前記2つの絶縁基板の対向方向における厚み
が、前記錘板より大に設定されて、その両端部が前記2
つの絶縁基板に接合される一方、前記2つの絶縁基板の
内、第1の絶縁基板の前記錘板と対向する面には、第1
の加速度検出用電極、第1の角速度検出用電極及び第2
の角速度検出用電極が、前記第1の加速度検出用電極を
中央にして、その左側に前記第1の角速度検出用電極
が、その右側に前記第2の角速度検出用電極が、それぞ
れ位置するように配設され、第2の絶縁基板の前記錘体
と対向する面には、第2の加速度検出用電極、第3の角
速度検出用電極及び第4の角速度検出用電極が、前記第
2の加速度検出用電極を中央にして、その左側に前記第
3の角速度検出用電極が、その右側に前記第4の角速度
検出用電極が、それぞれ位置するように配設され、前記
第1及び第2の加速度検出用電極と前記錘板との間の各
々の静電容量と、前記第1乃至第4の角速度検出用電極
と前記錘体との間の各々の静電容量とを出力可能として
なるものである。
【0007】かかる構成においては、特に、基本的に同
一の構成を有してなる加速度及び角速度の検出が可能
で、検出出力として静電容量値を出力するいわゆる静電
容量型と称される2つのセンサを、その2つのセンサの
それぞれの静電容量出力を対比して加速度、角速度及び
角加速度の検出が可能となるように、平板状の部材上に
配置してなる点において特徴を有するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1乃至図14を参照しつつ説明する。なお、以下
に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではな
く、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができる
ものである。最初に、図1の平面図を参照しつつ、この
発明の実施の形態における移動体基礎情報用マルチセン
サの構成について説明する。この移動体基礎情報用マル
チセンサSは、例えば、車両Mの略中央の適宜な位置に
設けられて、その検出出力がエアバック装置等の動作制
御に用いられるものである。移動体基礎情報用マルチセ
ンサSは、基本的に同一の構成を有してなる2つのセン
サ、すなわち、第1及び第2のg−ωセンサ50,51
を具備し、これら第1及び第2のg−ωセンサ50,5
1を構成する第1のガラス基板1A等(詳細は後述)の
いわゆる板状部材の平面部分が、鉛直方向(図1におい
て紙面表裏方向)に沿うように、かつ、後述するトーシ
ョンバー12A,13A(12B,13B)と直交する
方向において、それぞれのg−ωセンサ50,51の中
心を通る仮想的な直線(図1の点線参照)が互いに直交
するようにして、平板状に形成された部材である基板5
2上に適宜な間隔を隔てて設けられてなるものである
(図1参照)。
【0009】換言すれば、第1及び第2のg−ωセンサ
50,51の基板52上の配置は、基板52上の中心を
通る直線(図1において一点鎖線で表された直線)イに
対して、第1のg−ωセンサ50の後述するトーション
バー12A,13Aと直交する方向において、第1のg
−ωセンサ50の中心を通る仮想的な直線(図1の点線
参照)がなす角度Θと、第2のg−ωセンサ51の後
述するトーションバー12B,13Bと直交する方向に
おいて、第2のg−ωセンサ51の中心を通る仮想的な
直線(図1の点線参照)がなす角度Θとが共に、45
度に設定されたものとなっている。
【0010】なお、図1において、Uは、車両Mの前方
方向の加速度を、U′は、車両Mの後方方向の加速度
を、Vは、車両Mの左方向の加速度を、V′は、車両M
の右方向の加速度を、それぞれ意味するものである。ま
た、ωは、車両Mに生ずるロール(roll)、すなわち、車
両Mの前後方向に沿い、かつ、基板52の中央を通るよ
うな仮想的な軸を想定した場合、この軸を中心にした回
動を生ずるような作用であって、換言すれば、角速度を
意味する。さらに、ω′は、車両Mに生ずるヨー(ya
w)、すなわち、車両Mの回転により生ずるような作用で
あり、換言すれば、角加速度を意味する。
【0011】図2乃至図4には、第1及び第2のg−ω
センサ50,51の具体的構成例が示されており、以
下、同図を参照しつつその構成等について説明する。な
お、第1のg−ωセンサ50と第2のg−ωセンサ51
は、基本的に同一の構成を有してなるものであるので、
以下の構成の説明においては、第1のg−ωセンサ50
の構成要素の符号の後に、括弧書きで第2のg−ωセン
サ51の対応する構成要素の符号を示し、第1のg−ω
センサ50の構成の説明を以て第2のg−ωセンサ51
の構成の説明に代えることとする。なお、説明の都合
上、図2に示されたように、第1及び第2のg−ωセン
サ50,51の横軸方向(同図において紙面左右方向)
をX軸とし、第1及び第2のg−ωセンサ50,51の
厚み方向(同図において紙面上下方向)をZ軸とし、こ
のXZ軸に直交する方向の軸をY軸と定義する。
【0012】まず、この第1のg−ωセンサ50(5
1)の全体構成を概括的に述べれば、この第1のg−ω
センサ50(51)は、2つの絶縁基板としての第1及
び第2のガラス基板1A,2A(1B,2B)の間に、
シリコンからなる錘体3A(3B)、枠体4A(4B)
等が挟持されるように設けられて、いわば3層構造を形
成してなるものである。そして、この第1のg−ωセン
サ50(51)は、一般に静電容量型と称され、検出出
力として静電容量が得られるようになっているものであ
る。以下、具体的にその構成を説明すれば、まず、枠体
4A(4B)は、シリコンを用いて、そのXY平面に現
れる形状がいわゆる枠状に形成されてなるもので、第1
及び第2のガラス基板1A,2A(1B,2B)の周縁
部分に接合されるようになっている(図4参照)。そし
て、この枠体4A(4B)の内側には、錘体3A(3
B)が、Y軸方向においてやや一方の側部へ偏って配設
されると共に、錘体3A(3B)と枠体4A(4B)と
の間に、第1乃至第6の電極接続柱5A〜10A(5B
〜10B)がX軸方向において適宜な間隔を隔てて配設
されている(図2及び図3参照)。
【0013】錘体3A(3B)は、全体がシリコンを用
いて平板状に形成されてなるもので、後述するようにそ
の中央に設けられた支持柱11A(11B)及びトーシ
ョンバー12A,13A(12B,13B)を介して第
1及び第2のガラス基板1A,2A(1B,2B)の間
において、トーションバー12A,13A(12B,1
3B)を中心にした回動等(詳細は後述)が可能に設け
られたものとなっている。この錘体3A(3B)は、Z
軸方向の厚みが、先の枠体4A(4B)に比してやや小
さく設定されたものとなっており、第1及び第2のガラ
ス基板1A,2A(1B,2B)との間に、間隙が生ず
るようになっている(図4参照)。
【0014】この錘体3A(3B)の中央には、支持柱
11A(11B)及びトーションバー12A,13A
(12B,13B)が錘体3A(3B)に対して一体に
設けられている。すなわち、錘体3A(3B)の中央に
は、支持柱11A(11B)及びトーションバー12
A,13A(12B,13B)を設けるために、適宜な
大きさの貫通孔14A(14B)が穿設されており、こ
の貫通孔14A(14B)の略中央に、柱状に形成され
た支持柱11A(11B)が設けられている(図2乃至
図4参照)。この支持柱11A(11B)は、Z軸方向
の厚みが、先の枠体4A(4B)のそれと同一に設定さ
れたものとなっており、Z軸方向の両端面は、それぞれ
第1及び第2のガラス基板1A,2A(1B,2B)に
接合されるようになっている(図4参照)。
【0015】そして、支持柱11A(11B)の対向す
る一組の側面部分からトーションバー12A,13A
(12B,13B)が延設されて、その端部が錘体3A
(3B)に一体となるように接合されている(図2及び
図3参照)。すなわち、この発明の実施の形態において
は、支持柱11A(11B)の4つの側面の内、Y軸方
向で対向する一組の側面の中央からトーションバー12
A,13A(12B,13B)がY軸方向に延設されて
いる(図3参照)。トーションバー12A,13A(1
2B,13B)は、そのXZ平面における断面形状が、
矩形状に形成されてなるもので、より具体的には、この
トーションバー12A,13A(12B,13B)は、
Z軸方向の長さに比してX軸方向が細幅に設定されたも
のとなっており、また、Z軸方向は、錘体3A(3B)
のZ軸方向の厚みと同一となっている(図4参照)。そ
して、このトーションバー12A,13A(12B,1
3B)の両端部は、貫通孔14A(14B)の内壁に接
合されるようにして錘体3A(3B)と一体に形成され
たものとなっている(図2参照)。このような構造によ
って、錘体3A(3B)は、トーションバー12A,1
3A(12B,13B)を中心に後述するように回動可
能とされ、また、Z軸方向に変位可能となっている。
【0016】錘体3A(3B)のY軸方向の一方の側部
と枠体4A(4B)との間には、シリコンからなる第1
乃至第6の電極接続柱5A〜10A(5B〜10B)が
設けられている(図2及び図3参照)。この第1乃至第
6の電極接続柱5A〜10A(5B〜10B)は、柱状
に形成されてなるもので、そのZ軸方向の厚みは、先の
枠体4A(4B)のそれと略同一に設定されたものとな
っている。第1乃至第6の電極接続柱5A〜10A(5
B〜10B)は、そのZ軸方向の端面が、後述する第1
乃至第6の引き出し片20a〜20f(21a〜21
f)と接合される位置であって、かつ、端面の略中央に
第1及び第2のガラス基板1A,2A(1B,2B)に
設けられたそれぞれ対応する第1乃至第6の配線接続孔
15a〜15f(16a〜16f)が位置するように配
設されている。
【0017】一方、第1及び第2のガラス基板1A,2
A(1B,2B)は、そのXY平面における外形、寸法
が枠体4A(4B)のそれと略同一に形成されており、
錘体3A(3B)と対向する面には、次述するように電
極が形成されたものとなっている。すなわち、第1のガ
ラス基板1A(1B)においては、錘体3A(3B)と
対向する面側に、導電性部材(例えばITO等)を用い
て外形形状が矩形状に形成されてなる第1の加速度検出
用電極17A(17B)が略中央に配され、その両側
に、第1の加速度検出用電極17A(17B)と適宜な
間隙を隔てて、導電性部材(例えばITO等)を用いて
矩形状に形成されてなる第1及び第2の角速度検出用電
極18A,19A(18B,19B)がそれぞれ配設さ
れている(図2及び図4参照)。なお、これら電極の形
成には、例えば、真空蒸着等の公知・周知の製造技術が
適用できる。第1の加速度検出用電極17A(17B)
は、第1及び第2の角速度検出用電極18A,19A
(18B,19B)に比して、その大きさが大となって
おり、その中央部分は、少なくとも先の支持柱11A
(11B)の端面との接触が回避されるように矩形状に
切り欠かれたものとなっている(図2参照)。
【0018】そして、第1の加速度検出用電極17A
(17B)と、この第1の加速度検出用電極17A(1
7B)と対向する錘体3A(3B)の部位とでいわゆる
平行板コンデンサC1が、また、第1の角速度検出用電
極18A(18Bと、この第1の角加速度検出用電極1
8A(18B)と対向する錘体3A(3B)の部位とで
いわゆる平行板コンデンサC1aが、さらに、第2の角速
度検出用電極19A(19B)と、この第2の角速度検
出用電極19A(19B)と対向する錘体3A(3B)
の部位とでいわゆる平行板コンデンサC1bが、それぞれ
形成されるようになっている。
【0019】また、第1のガラス基板1A(1B)に
は、先の第1乃至第6の電極接続柱5A〜10A(5B
〜10B)と対向する位置に、それぞれ第1乃至第6の
配線接続孔15a〜15f(16a〜16f)が穿設さ
れている(図2参照)。そして、第2の配線接続孔15
b(16b)側に位置する先の第1の角速度検出電極1
8A(18B)の端部からは、導電性部材からなる第2
の引き出し片20b(21b)が、第2の配線接続孔1
5b(16b)の開口部分の際まで形成されている(図
2参照)。また、第4の配線接続孔15d(16d)側
に位置する先の第1の加速度検出用電極17A(17
B)の縁からは、導電性部材からなる第4の引き出し片
20d(21d)が、第4の配線接続孔15d(16
d)の開口部分の際まで形成されている(図2参照)。
さらに、第6の配線接続孔15f(16f)側に位置す
る先の第2の角速度検出用電極19A(19B)の端部
からは、導電性部材からなる第6の引き出し片20f
(21f)が、第6の配線接続孔15f(16f)の開
口部分の際まで形成されている(図2参照)。またさら
に、第1のガラス基板1A(1B)には、先の支持柱1
1A(11B)の端面が接合される位置に、第7の配線
接続孔15g(16g)が穿設されている。
【0020】これら、第1乃至第7の配線接続孔15a
〜15g(16a〜16g)には、金属材が充填され
て、それぞれ第1乃至第6の電極接続柱5A〜10A
(5B〜10B)並びに支持柱11A(11B)との間
に、いわゆるオーミックコンタクトが生ずるようにして
ある。そして、金属材充填の際には、図示されないリー
ド線が、その一部が外部へ出るように第1乃至第7の配
線接続孔15a〜15g(16a〜16g)へ埋め込ま
れるようになっており、このリード線によって、第1の
加速度検出用電極17A(17B)並びに第1及び第2
の角速度検出用電極18A,19A(18B,19B)
は外部の回路との接続が可能とされている。また、後述
する第2のガラス基板2A(2B)の第2の加速度検出
用電極22A(22B)並びに第3及び第4の角速度検
出用電極23A,24A(23B,24B)も、同様に
外部の回路との接続が可能となっている。
【0021】第2のガラス基板2A(2B)において
は、錘体3A(3B)と対向する面に、先の第1の加速
度検出用電極17A(17B)並びに第1及び第2の角
速度検出用電極18A,19A(18B,19B)と同
一形状寸法を有してなる導電性部材(例えばITO等)
からなる第2の加速度検出用電極22A(22B)並び
に第3及び第4の角速度検出用電極23A,24A(2
3B,24B)が配設されている(図2参照)。なお、
これら電極の形成には、例えば、真空蒸着等の公知・周
知の製造技術を適用することができる。そして、第2の
加速度検出用電極22A(22B)と、この第2の加速
度検出用電極22A(22B)と対向する錘体3A(3
B)の部位とでいわゆる平行板コンデンサC2が、ま
た、第3の角速度検出用電極23A(23B)と、この
第3の角速度検出用電極23A(23B)と対向する錘
体3A(3B)の部位とでいわゆる平行板コンデンサC
2aが、さらに、第4の角速度検出用電極24A(24
B)と、この第4の角速度検出用電極24A(24B)
と対向する錘体3A(3B)の部位とでいわゆる平行板
コンデンサC2bが、それぞれ形成されるようになってい
る。
【0022】また、第1の電極接続柱5A(5B)側に
位置する第3の角速度検出用電極23A(23B)の端
部からは、導電性部材からなる第1の引き出し片20a
(21a)が、第1の電極接続柱5A(5B)の端面に
対向する位置まで形成されている(図2参照)。また、
第3の電極接続柱7A(7B)側に位置する第2の加速
度検出用電極22A(22B)の縁からは、導電性部材
からなる第3の引き出し片20c(21c)が、第3の
電極接続柱7A(7B)の端面に対向する位置まで形成
されている(図2参照)。さらに、第5の電極接続柱9
A(9B)側に位置する第4の角速度検出用電極24A
(24B)の端部からは、導電性部材からなる第5の引
き出し片20e(21e)が、第5の電極接続柱9A
(9B)の端面に対向する位置まで形成されている(図
2参照)。
【0023】ここで、上述した構成における第1及び第
2のg−ωセンサ50,51の図1に示された配置につ
いて、再度説明すれば、まず、基板52に対する第1及
び第2のg−ωセンサ50,51のそれぞれの取り付け
は、基本的に同一である。すなわち、第1及び第2のg
−ωセンサ50,51は、それぞれのトーションバー1
2A,13A(12B,13B)が基板52に対して垂
直となるように基板52に取着されると共に、第1のg
−ωセンサ50の中心を通り、かつ、トーションバー1
2A,13Aに直交する仮想的な線と、第2のg−ωセ
ンサ51の中心を通り、かつ、トーションバー12B,
13Bに直交する仮想的な線とが直交するように基板5
2に取着されたものとなっている。上述した構成を有し
てなる第1及び第2のg−ωセンサ50,51は、いわ
ゆる公知・周知のマイクロマシニング製造技術により製
造するのが好適である。
【0024】次に、かかる構成における第1のg−ωセ
ンサ50または、第2のg−ωセンサ51を単独で用い
た場合の動作について説明する。最初に、加速度が作用
した場合について説明する。加速度の検出にあたって
は、例えば、図5に示されたように、第4の配線接続孔
15d(16d)に設けられたリード線(図示せず)を
介して第1の加速度検出用電極17A(17B)を、ま
た、第3の配線接続孔15c(16c)に設けられたリ
ード線(図示せず)を介して第2の加速度検出用電極2
2A(22B)を、それぞれ外部に設けられた演算装置
30へ接続する一方、第7の配線接続孔15g(16
g)に設けられたリード線(図示せず)を介して、錘体
3A(3B)をアースに接続する。これにより、演算装
置30へは、平行板コンデンサC1の静電容量と、平行
板コンデンサC2の静電容量とが、それぞれ入力される
こととなる。ここで、演算装置30は、平行板コンデン
サC1,C2の各々の静電容量を基に、後述するような演
算を行い、その演算結果に応じた電圧信号を出力するよ
うになっているもので、このような機能を有する演算装
置30は、例えば、いわゆるCPUを用いることで簡易
に実現されるもので、公知・周知のものである。
【0025】加速度gが作用する前の平衡状態におい
て、第1のガラス基板1A(1B)上の第1の加速度検
出用電極17A(17B)と錘体3A(3B)との距離
及び、第2のガラス基板2A(2B)上の第2の加速度
検出用電極22A(22B)と錘体3A(3B)との距
離は共に等しく、これをdとする(図5参照)。ま
た、図5に示されたように、加速度gが第1のガラス基
板1A(1B)から第2のガラス基板2A(2B)へ向
かう方向で作用したと仮定し、その際、錘体3A(3
B)が先の平衡状態の位置から変位する距離をδとする
と(図5の点線部分参照)、このいわば変位量δは、下
記する式1により求められる。
【0026】 δ=F・l/(24E・I)=m・g・l/(2E・b・d)・・・(式1 )
【0027】ここで、lは、トーションバー12A,1
3A(12B,13B)の長さ(図3参照)であり、E
は、ヤング率であり、Iは、トーションバー12A,1
3A(12B,13B)の断面2次モーメントであり、
bは、トーションバー12A,13A(12B,13
B)の幅であり(図4参照)、dは、トーションバー1
2A,13A(12B,13B)の高さ(Z軸方向の厚
み)であり(図4参照)、Fは、重さmの物体に加速度
gが作用した際に、当該物体にかかる力である。なお、
この演算式は、いわゆる「はり」の撓みを求める際に用
いられる公知・周知のものである。上述の式からは、変
位量δは、加速度gに比例するものであるということが
できる。
【0028】一方、いわゆる平行板コンデンサC1,C2
に加速度gが作用したことにより、いわゆる電極間隔、
すなわち、第1の加速度検出用電極17A(17B)と
錘体3A(3B)の間隔、第2の加速度検出用電極22
A(22B)と錘体3A(3B)の間隔が変化した場合
の静電容量は、下記する基本式に基づいて求められる。
【0029】Cg=C{d/(d−δ)}または
Cg=C{d/(d+δ)}として求められる。
【0030】さらに、この2つの式は、先のδを表す式
1を用いて次のように書き表すことができる。
【0031】 Cg≒C{1±m・l・g/(2E・b・d・d)}・・・(式2)
【0032】ここで、Cは、加速度g作用前の初期静
電容量で、平行板コンデンサC1,C2いずれも等しいも
のとする。より具体的には、例えば、図5に示されたよ
うに加速度gが作用した場合において、平行板コンデン
サC1におけるいわゆる電極間隔は、小さくなっている
ので、静電容量をC1gとすれば、次の式3のように表さ
れる。
【0033】 C1g=C{d/(d−δ)}≒C{1+m・l・g/(2E・b・d・ d)}・・・(式3)
【0034】また、図5の場合、平行板コンデンサC2
においては、静電容量をC2gとすれば、いわゆる電極間
隔が大きくなっているので、C2gは次の式4のように表
される。
【0035】 C2g=C{d/(d+δ)}≒C{1−m・l・g/(2E・b・d・ d)}・・・(式4)
【0036】このC1g及びC2gの式は、初期容量C
対して、いわゆる電極間隔の変化に対応する容量変化分
{m・l・g/(2E・b・d・d)}Cが、いわ
ゆる電極間隔が小さくなった場合には加算され、いわゆ
る電極間隔が大きくなった場合には、減算されるものと
なっている。そして、容量変化分を表す上記文字式から
明らかなように、容量変化分は、加速度gに比例するも
のとなっている。また、先の変位量δの式で述べたよう
に、変位量δは、加速度gに比例する関係となっている
ため、容量変化分は、変位量δと比例関係にあるという
こともできる。
【0037】したがって、容量変化分を知ることで、加
速度gの大きさを知ることができることとなる。実際に
は、演算装置30においては、それぞれのコンデンサC
1,C2の容量変化分の差(C2g−C1g)が算出される。
図5に示されたように、錘体3A(3B)が第1のガラ
ス基板1A(1B)側へ変位した場合には、C1g>C2g
となるため、(C2g−C1g)の演算値は、負の値とな
る。これに対して、錘体3A(3B)が第2のガラス基
板2A(2B)側へ変位した場合には、C1g<C2gとな
るため、(C2g−C1g)の演算値は、正の値となる。し
たがって、変位量δの絶対値が同じであっても、その符
号により加速度gの方向を知ることができることとな
る。演算装置30は、(C2g−C1g)の演算値に対応し
た大きさの電圧信号Voutが出力されるようになってい
る。すなわち、この電圧信号Voutは、(C2g−C1g)
の符号をも考慮したものとなっており、(C2g−C1g)
の絶対値が同一であっても、(C2g−C1g)の演算値が
正の符号の場合と、負の符号の場合とでは、異なる電圧
値が予め設定されており、出力されるようになってい
る。それ故、電圧信号Voutは、加速度gの大きさと方
向を示すものとなる。
【0038】次に、角加速度の検出について図6を参照
しつつ説明する。最初に、図6に示されたように、トー
ションバー12A,13A(12B,13B)を中心
に、第1の角速度検出電極18A(18B)と錘体3A
(3B)との間隔及び第4の角速度検出用電極24A
(24B)と錘体3A(3B)との間隔が狭くなり、第
2の角速度検出用電極19A(19B)と錘体3A(3
B)との間隔及び第3の角速度検出用電極23A(23
B)と錘体3A(3B)との間隔が拡がるような角加速
度(dω/dt)が作用したと仮定し、この場合の錘体3
A(3B)の水平状態からの傾き角をαとする。これに
より、平行板コンデンサC1a,C2bの静電容量は増加す
る一方、平行板コンデンサC1b,C2aの静電容量は減少
することとなる。したがって、この平行板コンデンサC
1a,C1b,C2a,C2bの静電容量の変化量を知ること
で、角加速度を知ることができる。以下、角加速度の作
用によるトーションバー12A,13A(12B,13
B)を中心にした錘体3A(3B)の回動と静電容量と
の関係について定量的に説明する。
【0039】まず、錘体3A(3B)に角加速度(dω
/dt)が作用したことにより、錘体3A(3B)に生ず
るトルクTは、次式5により求められる。
【0040】 T=J(dω/dt)=m(L−D)(dω/dt)/12・・・(式5)
【0041】ここで、Jは、錘体3A(3B)の慣性モ
ーメントであり、ωは、角速度であり、mは、錘体3A
(3B)の重さであり、Lは、錘体3A(3B)の横の
長さ(図3参照)であり、Dは、錘体3A(3B)の縦
の長さ(図3参照)である。
【0042】一方、トーションバー12A,13A(1
2B,13B)を中心にねじり角αだけ錘体3A(3
B)が回動したことにより、トーションバー12A,1
3A(12B,13B)に生ずるねじりモーメントMt
は、次式6のように表される。
【0043】 Mt=G・Ip・α/l=G・b・d(b+d)α/(12・l)・・・(式6 )
【0044】ここで、Gは、トーションバー12A,1
3A(12B,13B)のせん断係数であり、Ipは、
トーションバー12A,13A(12B,13B)の断
面2次極モーメントであり、bは、トーションバー12
A,13A(12B,13B)の幅であり、dは、トー
ションバー12A,13A(12B,13B)の高さ
(Z軸方向の厚み)であり、lは、トーションバー12
A,13A(12B,13B)の長さである(図4参
照)。この式をねじり角αの式に書き換えると次の式7
のように表される。
【0045】 α=Mt・l/(G・Ip)・・・(式7)
【0046】そして、ねじりモーメントMtと先のトル
クTとが釣り合うところで、錘体3A(3B)が静止
し、ねじり角αが定まることを考慮して、このαの式の
Mtを先のTの式で置き換えて、書き改めると次式8を
得ることができる。
【0047】 α=J・l(dω/dt)/(G・Ip)=m・l(L−D)(dω/dt)/{G・ b・d(b+d)}・・・(式8)
【0048】一方、平行板コンデンサC1a,C1b,C2
a,C2bのいわゆる電極間隔の変化による各々の静電容
量Cω′は、下記する基本式9により求めることができ
る。
【0049】 Cω′≒C{d/(d−r・tanα)}または、Cω′≒C{d/( d+r・tanα)}・・・(式9)
【0050】ここで、rは、錘体3A(3B)の横の長
さLの1/2を意味するものである。さらに、これらの
式は、中括弧の中の分数を計算して近似式に置き換える
ことで次の式10のように整理することができる。
【0051】 Cω′≒C(1±r・tanα/d)・・・(式10)
【0052】そして、ねじり角αが充分小さいため、ta
nα≒αが成立するとして、先に示されたαについての
式8を用いて整理すると次式11のように表される。
【0053】 Cω′≒C[1±{m・l(L−D)(dω/dt)}/{G・b・d(b +d)d}]・・・(式11)
【0054】この式は、初期容量Cに対して、いわゆ
る電極間隔の変化に対応する容量変化分[{m・l(L
−D)(dω/dt)}/{G・b・d(b+d
}]Cが、いわゆる電極間隔が小さくなった場合
には加算され、いわゆる電極間隔が大きくなった場合に
は、減算されるものとなっている。そして、この容量変
化分を表す上記文字式から明らかなように、容量変化分
は、角加速度(dω/dt)に比例するものとなってい
る。また、先のねじり角αの式で述べたように、ねじり
角αは、角加速度(dω/dt)に比例する関係となって
いるため、容量変化分は、ねじり角αと比例関係にある
ということもできる。
【0055】したがって、容量変化分を知ることで、角
加速度の大きさを知ることができることとなる。実際に
は、図6に示されたように、第1の角速度検出用電極1
8A(18B)と第4の角速度検出用電極24A(24
B)とを接続して演算装置30の一つの入力端子に接続
し、第2の角速度検出用電極19A(19B)と第3の
角速度検出用電極23A(23B)とを接続して演算装
置30の他の入力端子に接続し、錘体3A(3B)は、
アースに接続する。換言すれば、錘体3A(3B)の回
動により、容量変化が同じとなる平行板コンデンサ同士
を並列接続した状態とする。すなわち、平行板コンデン
サC1aと平行板コンデンサC2bとが並列接続された状態
とされ、これら2つのコンデンサの総容量が演算装置3
0に入力されることとなる。また、平行板コンデンサC
1bと平行板コンデンサC2aとが並列接続された状態とさ
れ、これら2つのコンデンサの総容量が演算装置30に
入力されることとなる。
【0056】ここで、角加速度が作用した際における平
行板コンデンサC1aの静電容量と平行板コンデンサC2b
の静電容量の和をC1ω′とし、平行板コンデンサC1b
の静電容量と平行板コンデンサC2aの静電容量の和をC
2ω′とすると、演算装置30においては、(C2ω
−C1ω′)が演算されるようになっている。すなわ
ち、先の加速度の場合と同様に、容量変化分の差が算出
されることとなる。この場合、各平行板コンデンサC1
a,C1b,C2a,C2bにおける静電容量の変化分の絶対
値が同一であると仮定し、これをΔCω′と表すとする
と、図6において点線で示されたように錘体3A(3
B)が回動した場合、(C2ω′−C 1ω′)=(−2
ΔCω′−2ΔCω′)=−4ΔCω′と、負の値とな
る。なお、ここで、ΔCω′は、先の式11を基に、Δ
ω′={m・l(L−D)(dω/dt)}/{G・
b・d(b+d)d}Cと表されるものであ
る。
【0057】これに対して、錘体3A(3B)が、図6
に示されたとは逆方向に回動するような角加速度が作用
した場合には、上述したのとは逆に、平行板コンデンサ
C1b,C2aの静電容量が増加し、平行板コンデンサC1
a,C2bの静電容量は減少することとなる。したがっ
て、(C2ω′−C1ω′)の演算値は、4ΔCω′と
なり、先の場合とは符号が異なることとなる。したがっ
て、(C2ω′−C1ω′)の演算値の大きさによっ
て、角加速度の大きさを知ることができ、また、符号に
よって角加速度の方向を知ることができる。演算装置3
0においては、予め定められた(C2ω′−C1ω′)
の大きさ及び符号と、電圧信号Voutω′の大きさとの
対応関係に応じて、(C2ω′−C 1ω′)の演算結果
に応じて、電圧信号Voutω′が出力されるようになっ
ている。
【0058】次に、角速度の検出について説明する。ま
ず、第1のg−ωセンサ50を例に採って説明するが、
第2のg−ωセンサ51の場合にも同様である。図7に
は、第1のg−ωセンサ50が図1に示されたように配
設された状態において、それを更にモデル化したものが
示されており、以下、同図を参照しつつ説明する。最初
に、第1のg−ωセンサ50が基板52に取着された状
態において、仮想的な回転軸(図7の二点鎖線)を中心
に、例えば、図7の仮想的な回転軸の手前側(回転軸の
矢印のある端部と反対側)から軸を見ていわゆる時計回
り方向に角速度ωが作用したとする。
【0059】錘体3A(3B)の中心点をOとして、こ
の中心点Oと仮想的な回転軸との距離をRとする。ま
た、錘体3A(3B)は、中心点Oから距離r離れた箇
所に重さmの重心があるものとモデル化できると仮定す
る。かかる前提の下、角速度ωが作用したことにより、
錘体3A(3B)は、角速度ωが作用する前のいわば平
衡状態における位置(図7においては点線で表示された
位置)から時計回り方向へねじり角度αだけ回動したと
する(図7においては実線で表された位置)。かかる状
態において、錘体3A(3B)の一方の端の重心におい
て、すなわち、図7において左端の重心においては、先
の仮想的な回転軸に対して直交する方向であって、か
つ、その仮想的な回転軸から離間する方向に遠心力F
が作用する(図7参照)。また、錘体3A(3B)の他
方の端の重心において、すなわち、図7において右端の
重心においては、先の仮想的な回転軸に対して直交する
方向であって、かつ、その仮想的な回転軸から離間する
方向に遠心力Fが作用する(図7参照)。これら遠心
力F1,F2は、それぞれ下記する式12,13で表すこ
とができる。
【0060】 F=m・ω(R+r・sinΘ)・・・(式12)
【0061】 F=m・ω(R−r・sinΘ)・・・(式13)
【0062】ここで、mは、錘体3A(3B)の重さで
あり、ωは、角速度であり、rは、錘体3A(3B)の
横の長さLの1/2の長さであり、Θは、先の仮想的な
回転軸に平行し、かつ、錘体3A(3B)の中心点Oを
通る仮想中心線(図7において一点鎖線表示)と錘体3
A(3B)の横方向の軸線とのなす角度である(図7参
照)。このような力が作用することで、錘体3A(3
B)には次式14により表されるような回転モーメント
Mが生じ、
【0063】 M=(F′−F′)r=(F−F)r・cosΘ=2r・m・ω・sinΘ cosΘ・・・(式14)
【0064】ここで、F′,F′は、錘体3A(3
B)の横軸方向に対して直交方向の遠心力F,F
成分である(図7参照)。
【0065】一方、トーションバー12A,13A(1
2B,13B)には、ねじりモーメントMtが生ずる
が、これは、先の式6により求められる。
【0066】すなわち、Mt=G・Ip・α/l=G・b・d
(b+d)α/(12・l)となる。
【0067】そして、錘体3A(3B)は、このねじり
モーメントMtと先の回転モーメントMとが釣り合った
ところで静止し、角速度が作用する前の位置を基準とし
て角度αだけ回動することとなる。したがって、式14
=式6としてねじり角αの式に書き改めると、次の式1
5を得ることができる。なお、この際、式14における
角度Θは、角速度が作用する前の平衡状態において、錘
体3A(3B)の横軸(図3において長さLをなす軸方
向)と、仮想中心線(図7において一点鎖線表示)との
なす角度であり、先に図1を参照しつつ説明した第1及
び第2のg−ωセンサ50,51の配置により、Θ=4
5°とされ、式14におけるsinΘcosΘは、sinΘcosΘ
=1/2となる。
【0068】 α=12l・m・r・ω/{G・b・d(b+d)}・・・(式15)
【0069】したがって、ねじり角αは、角速度と比例
関係にあると言うことができる。一方、角速度が作用し
たことに起因する錘体3A(3B)の回動による平行板
コンデンサC1a,C1b,C2a,C2bの容量Cωは、先の
式10を用いて求めることができる。そして、ねじり角
αが充分小さいため、tanα≒αが成立するとして、先
に示されたαについての式15を用いて整理すると次式
16のように表される。
【0070】 Cω≒C{(d/(d−r・α)}=C{1±(12m・l・r・ω )/(G・b・d(b+d)d)}・・・(式16)
【0071】この式は、初期容量Cに対して、いわゆ
る電極間隔の変化に対応する容量変化分{(12m・l・
・ω)/(G・b・d(b+d)d)}C
が、いわゆる電極間隔が小さくなった場合には加算さ
れ、いわゆる電極間隔が大きくなった場合には、減算さ
れるものとなっている。そして、この容量変化分を表す
上記文字式から明らかなように、容量変化分は、角速度
ωに比例するものとなっている。また、先のねじり角α
を求める式15で述べたように、ねじり角αは、角速度
ωに比例する関係となっているため、容量変化分は、ね
じり角αと比例関係にあるということもできる。したが
って、容量変化分を知ることで、角速度の大きさを知る
ことができることとなる。
【0072】実際には、先の角加速度の場合と同様に各
電極の配線が行われる。すなわち、図6に示されたと同
様に、第1の角速度検出電極18A(18B)と第4の
角速度検出用電極24A(24B)とを接続して演算装
置30の一つの入力端子に接続し、第2の角速度検出用
電極19A(19B)と第3の角速度検出用電極23A
(23B)とを接続して演算装置30の他の入力端子に
接続し、錘体3A(3B)は、アースに接続する。換言
すれば、錘体3A(3B)の回動により、容量変化が同
じとなる平行板コンデンサ同士を並列接続した状態とす
る。すなわち、平行板コンデンサC1aと平行板コンデン
サC2bとが並列接続された状態とされ、これら2つのコ
ンデンサの総容量が演算装置30に入力されることとな
る。また、平行板コンデンサC1bと平行板コンデンサC
2aとが並列接続された状態とされ、これら2つのコンデ
ンサの総容量が演算装置30に入力されることとなる。
【0073】ここで、角速度が作用した際における平行
板コンデンサC1aの静電容量と平行板コンデンサC2bの
静電容量の和をC1ωとし、平行板コンデンサC1bの静
電容量と平行板コンデンサC2aの静電容量の和をC2ω
とすると、演算装置30においては、(C2ω
1ω)が演算されるようになっている。すなわち、先
の角加速度の場合と同様に、容量変化分の差が算出され
ることとなる。この場合、各平行板コンデンサC1a,
C1b,C2a,C2bにおける静電容量の変化分の絶対値が
同一であると仮定し、これをΔCωと表すとすると、錘
体3A(3B)の回動により、平行板コンデンサC1
a,C2bの容量が増加し、平行板コンデンサC1b,C2a
の容量が減少する場合には、(C2ω−C1ω)=(−
2ΔCω−2ΔCω)=−4ΔCωと、負の値となる。
なお、ここで、ΔCωは、先の式16を基に、ΔCω
{(12m・l・r・ω)/(G・b・d(b
)d)}Cと表されるものである。
【0074】これに対して、錘体3A(3B)が、平行
板コンデンサC1a,C2bの容量が減少し、平行板コン
デンサC1b,C2aの容量が増加するような方向に角速度
が作用した場合には、上述したのとは逆に、(C2ω
1ω)の演算値は、4ΔC ωとなり、先の場合とは符
号が異なることとなる。したがって、(C2ω
1ω)の演算値の大きさによって、角速度の大きさを
知ることができ、また、その符号によって角速度の方向
を知ることができる。演算装置30においては、予め定
められた(C2ω−C1ω)の大きさ及び符号と、電圧
信号Voutωの大きさとの対応関係に応じて、(C2ω
−C1ω)の演算結果に対応した電圧信号Voutωが出
力されるようになっている。
【0075】次に、図1に示されたような構成における
加速度、角速度、角加速度の検出について、図8乃至図
10を参照しつつ説明する。なお、図8乃至図10にお
いては、第1及び第2のg−ωセンサ50,51が図1
に示されたように配設された状態において、特に、図7
と同様に錘体3A(3B)をモデル化したものが次述す
るように実線又は点線により示されたものとなってい
る。最初に、加速度の検出について図8(A),(B)
を参照しつつ説明する。例えば、図8(A)に示された
ように車両(図示せず)の前方方向を実線矢印で示され
た方向とした場合において、前方方向と逆方向へ加速度
(図8(A)において二点鎖線矢印で表示)が作用した
とすると、第1及び第2のg−ωセンサ50,51にお
いては、錘体3A,3Bは共に、加速度が作用する前の
平衡状態における位置(図8(A)において点線で表さ
れた位置)から車両の前方方向、換言すれば、加速度が
作用する方向とは逆方向へ同じ変位量だけ変位すること
となる(図8(A)において実線で表された位置)。こ
の場合、何れの錘体3A,3Bも、それぞれの第1のガ
ラス基板1A,1B側へ変位し、平行板コンデンサC1
の容量が増加することとなり、図8(A)においては、
このような状態であることを、+記号によって表してい
る。一方、図8(A)に示された方向とは逆方向に、加
速度が作用した場合には、錘体3A,3Bの変位は、図
8(A)に示された状態とは丁度逆の状態となる。した
がって、第1のg−ωセンサ50又は第2のg−ωセン
サ51のいずれかの出力に基づいて演算装置30によ
り、先に図5を参照しつつ述べたようにして出力される
電圧信号Voutにより、加速度の大きさ及び方向を知る
ことができることとなる。
【0076】次に、図8(B)において、車両(図示せ
ず)の右方向を実線矢印で示された方向とした場合にお
いて、右方向とは逆方向、すなわち左方向へ加速度(図
8(B)において二点鎖線矢印で表示)が作用したとす
ると、第1及び第2のg−ωセンサ50,51の錘体3
A,3Bは共に、加速度の作用した方向と反対方向へ同
じ変位量だけ変位することとなる。しかし、この場合
は、先の図8(A)の場合とは異なり、第1のg−ωセ
ンサ50における錘体3Aと第1及び第2のガラス基板
1A,2A相対関係と、第2のg−ωセンサ51におけ
る錘体3Bと第1及び第2のガラス基板1B,2Bとの
相対関係は同一ではなくなる。
【0077】すなわち、第1のg−ωセンサ50の錘体
3Aは、第1のガラス基板1A側へ変位して平行板コン
デンサC1の容量が増加する(図8(B)においては、
このような状態であることを、+記号によって表してあ
る)のに対して、第2のg−ωセンサ51の錘体3B
は、第2のガラス基板2B側へ変位して平行板コンデン
サC2の容量は減少する(図8(B)においては、この
ような状態であることを−記号によって表してある)こ
ととなる。したがって、先に図5で説明したように、演
算装置30による電圧信号Voutを第1及び第2のg−
ωセンサ50,51について得ることで、加速度の大き
さと方向とを知ることができる。すなわち、例えば、図
8(B)に示されたような加速度が作用した場合の第1
のg−ωセンサ50の出力に基づく演算装置30による
電圧信号をVout1′とし、第2のg−ωセンサ51の出
力に基づく演算装置30による電圧信号をVout2′とす
ると、電圧信号Vout1′が、第1のg−ωセンサ50の
錘体3Aが第1のガラス基板1A側へ所定の変位量だけ
変位した状態に対応する予め定められた所定の電圧であ
って、電圧信号Vout2′が、第2のg−ωセンサ51の
錘体3Bが第2のガラス基板2B側へ所定の変位量だけ
変位した状態に対応する予め定められた所定の電圧であ
れば、図8(B)に示されたような方向に加速度が作用
したと判定することができ、しかも、電圧信号Vout1′
又はVout2′の大きさから、加速度の大きさを知ること
ができる。
【0078】一方、加速度が図8(B)に示された場合
とは逆に作用した場合には、図8(B)に示されたとは
逆に、第1のg−ωセンサ50の錘体3Aは、第2のガ
ラス基板2A側へ加速度の大きさに応じて変位する一
方、第2のg−ωセンサ51の錘体3Bは、加速度の大
きさに応じて第1のガラス基板1B側へ変位することと
なる。したがって、この場合、第1のg−ωセンサ50
の出力に基づき演算装置30により得られる電圧信号を
Vout1″と、第2のg−ωセンサ51の出力に基づき演
算装置30により得られる電圧信号をVout2″とする
と、これらは、図8(B)に示された場合と丁度逆の大
きさとなる。すなわち、Vout1″=Vout2′となり、V
out2″=Vout1′となる。そのため、これら電圧信号V
out1″,Vout2″から加速度の方向が先の場合とは逆方
向で、同じ大きさであると判定することが可能となる。
【0079】次に、角速度の検出について図9を参照し
つつ説明する。例えば、図9において二点鎖線で表され
た仮想的な回転中心軸を中心にし、この回転中心軸が、
回転中心軸の手前側(矢印のある先端側と反対側)から
見ていわゆる時計回り方向に角速度が作用したとする。
かかる場合において、第1及び第2のg−ωセンサ5
0,51の錘体3A,3Bは、角速度が作用する前の平
衡状態の位置(図9において点線で示された位置)か
ら、同図において実線で示されたような位置へ変位する
こととなる。すなわち、第1のg−ωセンサ50の錘体
3Aは、中心点Oを中心にして、図8において左側の部
位が第1のガラス基板1A側へ変位する一方、中心点O
より右側の部位は、第2のガラス基板2A側へ変位する
こととなる。また、第2のg−ωセンサ51の錘体3B
は、中心点Oを中心にして、図9において左側の部位が
第2のガラス基板2B側へ変位する一方、中心点Oより
右側の部位は、第1のガラス基板1B側へ変位すること
となる。
【0080】その結果、第1のg−ωセンサ50におい
ては、平行板コンデンサC1aの静電容量と平行板コンデ
ンサC2bの静電容量の和であるC1ωと、平行板コンデ
ンサC1bの静電容量と平行板コンデンサC2aの静電容量
の和であるC2ωとの大小関係は、C1ω>C2ωとな
り、先に述べた演算装置30で演算される(C2ω−C
1ω)の値は、負の値となる。図9においては、このよ
うな状態であることを、−記号によって表してある。一
方、第2のg−ωセンサ51においては、第1のg−ω
センサ50とは逆に、C1ω<C2ωとなり、演算装置
30で演算される(C2ω−C1ω)の値は、正の値と
なる。図9においては、このような状態であることを、
+記号によって表してある。
【0081】また、角速度が上述したのとは逆方向に作
用した場合には、第1のg−ωセンサ50の錘体3Aの
変位と、第2のg−ωセンサ51の錘体3Bの変位は、
上述の場合と丁度逆の状態となる。したがって、第1の
g−ωセンサ50においては、C1ω<C2ωとなり、
第2のg−ωセンサ51においては、C1ω>C2ω
なる。それ故、第1及び第2のg−ωセンサ50,51
のそれぞれについて、演算装置30によってそれぞれ得
られる電圧信号Voutωの大小関係も、上述したような
錘体3A,3Bの変位に応じたもの、換言すれば、角速
度の大きさと方向に応じたものとなるため、その大小関
係から角速度の方向を知ることができ、また、その大き
さから角速度を知ることができることとなる。
【0082】次に、角加速度の検出について図10を参
照しつつ説明する。例えば、図10において、第1及び
第2のg−ωセンサ50,51から等しい距離にある仮
想中心点O′を中心にして、いわゆる反時計方向に角加
速度(dω/dt)が作用したとする。かかる場合におい
て、第1及び第2のg−ωセンサ50,51の錘体3
A,3Bは、角加速度が作用する前の平衡状態の位置
(図10において点線で示された位置)から、同図にお
いて実線で示されたような位置へ変位することとなる。
すなわち、第1のg−ωセンサ50の錘体3Aは、その
中心点Oを中心にして、図10において左側の部位が第
2のガラス基板2A側へ変位する一方、中心点Oより右
側の部位は、第1のガラス基板1A側へ変位することと
なる。また、第2のg−ωセンサ51の錘体3Bは、そ
の中心点Oを中心にして、図10において左側の部位が
第2のガラス基板2B側へ変位する一方、中心点Oより
右側の部位は、第1のガラス基板1B側へ変位すること
となる。
【0083】その結果、第1のg−ωセンサ50におい
ては、平行板コンデンサC1aの静電容量と平行板コンデ
ンサC2bの静電容量の和であるC1ω′と、平行板コン
デンサC1bの静電容量と平行板コンデンサC2aの静電容
量の和であるC2ω′との大小関係は、C1ω′<C
2ω′となり、先に図6で述べたように演算装置30で
演算される(C2ω′−C1ω′)の値は、正の値とな
る。図10においては、このような状態であることを、
+記号によって表してある。一方、第2のg−ωセンサ
51においても、第1のg−ωセンサ50と同様に、C
1ω′<C2ω′となり、先に図6で述べたように演算
装置30で演算される(C2ω′−C1ω′)の値は、
正の値となる。図10においては、このような状態であ
ることを、+記号によって表してある。
【0084】また、角加速度が上述したのとは逆方向に
作用した場合には、第1のg−ωセンサ50の錘体3A
の変位と、第2のg−ωセンサ51の錘体3Bの変位
は、上述の場合と丁度逆の状態となる。したがって、第
1及び第2のg−ωセンサ50,51においては、共に
1ω′<C2ω′となる。それ故、第1及び第2のg
−ωセンサ50,51のそれぞれについて、先に図6で
述べたようにして演算装置30によってそれぞれ得られ
る電圧信号Voutω′の大小関係も、上述したような錘
体3A,3Bの変位に応じたもの、換言すれば、角加速
度の大きさと方向に応じたものとなるため、その大小関
係から角加速度の方向を知ることができ、また、その大
きさから角速度を知ることができることとなる。
【0085】この発明の実施の形態における移動体基礎
情報用マルチセンサは、上述したように第1及び第2の
g−ωセンサ50,51の出力に基づく演算装置30の
各々の電圧信号の大小関係によって、加速度、角速度及
び角加速度の各々について、その大きさ及び方向を知る
ことができるものであるが、それぞれの電圧信号の大小
関係の判定は、例えば、いわゆるCPUを用いてなり、
車両に設けられ、車両における種々のいわゆる電子制御
を行う制御装置(図示せず)において行われるようにす
るのが好適である。この場合、処理能力の高いCPUを
用いるようにすれば、例えば、先の演算装置30を構成
するCPUと、上述の制御装置を構成するCPUとを共
通のものとし、そのCPUにおいて一連の処理を行わし
めるようにしてもよい。すなわち、この場合、先に図5
や図6で述べたような電圧信号を発生させる必要はなく
なり、全てCPU内部において、ソフトウェアによるい
わゆる数値処理によって、上述したような加速度、角速
度及び角加速度の大きさ及び方向について知ることがで
きるようにすることができる。
【0086】図11には、そのようにCPUを用いて一
連の処理を行う場合の基本的な処理手順の一例が示され
ており、以下、同図を参照しつつその処理手順について
説明することとする。この一連の処理は、例えば、図示
されないいわゆるメインルーチン処理の中のサブルーチ
ン処理として実行されるものである。処理が開始される
と、まず、第1及び第2のg−ωセンサ50,51の容
量の入力がなされることとなる(図11のステップ10
0参照)。すなわち、先に、図5や図6で説明したよう
に、第1及び第2のg−ωセンサ50,51の各々の平
行板コンデンサC1,C2,C1a,C1b,C2a,C2bに
ついての静電容量値がCPU(図示せず)に読み込まれ
ることとなる。
【0087】次に、上述のようにして入力された静電容
量値を基に、容量変化分の差が演算されることとなる
(図11のステップ102参照)。すなわち、先に述べ
たように第1及び第2のg−ωセンサ50,51の各々
についての(C2g−C1g)、(C2ω−C1ω)及び
(C2ω′−C1ω′)がそれぞれ演算されることとな
る。そして、予め記憶されている対応テーブルに基づい
て、これらの演算値についての大小比較がなされること
となる(図11のステップ104参照)。すなわち、例
えば、(C2g−C1g)を例に採れば、第1及び第2のg
−ωセンサ50,51についての各々の(C2g−C1g)
の演算値として生じ得る数値と、その際の加速度の方向
及び大きさとの対応関係が、予め実験データ等に基づい
て設定されて対応テーブルとしてCPU(図示せず)内
部の記憶領域(または外部の記憶素子等)に記憶されて
おり、ステップ102により演算された(C2g−C1g)
の2つの値が対応テーブルに規定される大小関係を満た
すか否かが判定される。他の(C2ω−C1ω)及び
(C2ω′−C1ω′)についても、同様に所定の対応
テーブルに基づいて、生じ得る値であるか否かが判定さ
れることとなる。
【0088】そして、加速度、角速度または角加速度の
いずれかの対応テーブルに該当する2つの演算値の対応
関係があると判定された場合には、その対応関係に基づ
いて、加速度、角速度または角加速度のいずれかについ
て、その方向及び大きさが決定されることとなる(図1
1のステップ106参照)。なお、一連の処理が終了し
た後は、図示されないメインルーチンへ戻ることとな
る。
【0089】なお、上述の説明においては、第1及び第
2のg−ωセンサ50,51の基板52上での配置を、
Θ=Θ=45度となるようにしたが、Θ=Θ
あれば、勿論他の角度に設定してもよいものである。但
し、この場合には、先の式14におけるsinΘcosΘの値
が「1/2」ではなくなり、式15における定数「1
2」は、その際の角度に応じた他の数値となる。
【0090】次に、上述した構成を有してなる第1及び
第2のg−ωセンサ50,51が接続されて、入力され
た信号に基づいて角速度等の値を演算出力する演算装置
の構成例について図12乃至図14を参照しつつ説明す
る。なお、説明の便宜上、図12及び図13に示された
ように、X,Y,Zの互いに直交する3軸による3次元
座標を定義することとする。ここで、Z軸は鉛直方向に
沿うものとする。最初に、第1の構成例について図12
を参照しつつ説明する。この構成例における演算装置3
0Aは、第1乃至第4のコントロールユニット(図12
においては、それぞれ「C/U(1)」、「C/U
(2)」、「C/U(3)」、「C/U(4)」と表
記)31〜34と、第1及び第2の減算器35,36
と、第1及び第2の減算器37,38と、ローパスフィ
ルタ39と、第1乃至第4の緩衝増幅器40〜43とを
有して構成されたものとなっている。
【0091】第1のコントロールユニット31は、第1
のC/U用第1及び第2の入力端子44a,44b並び
に第1の共通端子44cを有しており、第1のC/U用
第1の入力端子44aには、第1のg−ωセンサ50の
第2の角速度検出用電極19Aと第3の角度速度検出用
電極23Aが接続され、第1のC/U用第2の入力端子
44bには、第1の角速度検出用電極18Aと第4の角
速度検出用電極24Aが接続されている。また、第1の
共通端子44cは、次述する第2のコントロールユニッ
ト32と共用されるものとなっており、第1のg−ωセ
ンサ50の支持柱11Aが第7の配線接続孔15g(図
2参照)に充填された導電性部材を介して接続されてい
る。換言すれば、錘体3Aが第1の共通端子44cに接
続されたものとなっている。
【0092】したがって、第1のコントロールユニット
31においては、第1のC/U用第1の入力端子44a
と第1の共通端子44cとの間に、第2の角速度検出用
電極19Aと錘体3Aとの間で形成される平行板コンデ
ンサC1bの静電容量と第3の角速度検出用電極23Aと
錘体3Aとの間で形成される平行板コンデンサC2aの静
電容量の和C2ω′(第1の角速度静電容量)が得られ
ることとなる。
【0093】また、第1のC/U用第2の入力端子44
bと第1の共通端子44cとの間に、第1の角速度検出
用電極18Aと錘体3Aとの間で形成される平行板コン
デンサC1aの静電容量と第4の角速度検出用電極24
Aと錘体3Aとの間で形成される平行板コンデンサC2b
の静電容量の和C1ω′(第2の角速度静電容量)が得
られることとなる。そして、第1のコントロールユニッ
ト31は、上述の静電容量C2ω′と静電容量C1ω
との差(C2ω′−C1ω′)を演算して出力するよう
になっている。この第1のコントロールユニット31の
出力信号は、第1の減算器35と第1の加算器37にそ
れぞれ入力されるようになっている(図12参照)。
【0094】第2のコントロールユニット32は、第2
のC/U用第1及び第2の入力端子45a,45b並び
に第1の共通端子44cを有しており、第2のC/U用
第1の入力端子45aには、第1のg−ωセンサ50の
第1の加速度検出用電極17Aが接続され、第2のC/
U用第2の入力端子45bには、第2の加速度検出用電
極22Aが接続されている。したがって、第2のコント
ロールユニット32においては、第2のC/U用第1の
入力端子45aと第1の共通端子44cとの間には、第
1の加速度検出用電極17Aと錘体3Aとの間で形成さ
れる平行板コンデンサC1の静電容量C1gが得られる一
方、第2のC/U用第2の入力端子45bと第1の共通
端子44cとの間には、第2の加速度検出用電極22A
と錘体3Aとの間で形成される平行板コンデンサC2の
静電容量C2gが得られることとなる。そして、この第2
のコントロールユニット32は、上述の静電容量C2g,
C1gの差(C2g−C1g)を演算して出力するようになっ
ており、その出力信号は、第2の減算器36及び第2の
加算器38にそれぞれ入力される構成となっている(図
12参照)。
【0095】第3及び第4のコントロールユニット3
3,34は、第2のg−ωセンサ51に対するもので、
第3のコントロールユニット33は、先の第1のコント
ロールユニット31と同様の構成、機能を有し、第4の
コントロールユニット34は、第2のコントロールユニ
ット32と同様の構成、機能を有するものとなってい
る。すなわち、第3のC/U用第1の入力端子46aに
は、第2のg−ωセンサ51の第2の角速度検出用電極
19Bと第3の角速度検出用電極23Bが接続され、第
3のC/U用第2の入力端子46bには、第1の角速度
検出用電極18Bと第4の角速度検出用電極24Bが接
続されている。また、第2の共通端子46cは、次述す
る第4のコントロールユニット34と共用されるものと
なっており、第2のg−ωセンサ51の支持柱11Bが
第7の配線接続孔16g(図2参照)に充填された導電
性部材を介して接続されている。換言すれば、錘体3B
が、第2の共通端子46cに接続されたものとなってい
る。
【0096】したがって、第3のコントロールユニット
33においては、第3のC/U用第1の入力端子46a
と第2の共通端子46cとの間に、第2の角速度検出用
電極19Bと錘体3Bとの間で形成される平行板コンデ
ンサC1bの静電容量と第3の角速度検出用電極23Bと
錘体3Bとの間で形成される平行板コンデンサC2aの静
電容量の和C2ω′(第3の角速度静電容量)が得られ
ることとなる。また、第3のC/U用第2の入力端子4
6bと第2の共通端子46cとの間に、第1の角速度検
出用電極18Bと錘体3Bとの間で形成される平行板コ
ンデンサC1aの静電容量と第4の角速度検出用電極2
4Bと錘体3Bとの間で形成される平行板コンデンサC
2bの静電容量の和C1ω′(第4の角速度静電容量)が
得られることとなる。そして、第3のコントロールユニ
ット33は、上述の静電容量C2ω′と静電容量
1ω′との差(C2ω′−C1ω′)を演算して出力
するようになっている。この第3のコントロールユニッ
ト33の出力信号は、第1の減算器35と第1の加算器
37にそれぞれ入力されるようになっている(図12参
照)。なお、この第3のコントロールユニット33にお
いて得られる第2のg−ωセンサ51の(C2ω′−C
1ω′)を、これより以下の説明においては、便宜上、
(C2ω′−C1ω′)と表すこととする。
【0097】第4のコントロールユニット34は、第4
のC/U用第1及び第2の入力端子47a,47b並び
に第2の共通端子46cを有しており、第4のC/U用
第1の入力端子47aには、第2のg−ωセンサ51の
第1の加速度検出用電極17Bが接続され、第4のC/
U用第2の入力端子47bには、第2の加速度検出用電
極22Bが接続されている。したがって、第4のコント
ロールユニット34においては、第4のC/U用第1の
入力端子47aと第2の共通端子46cとの間には、第
1の加速度検出用電極17Bと錘体3Bとの間で形成さ
れる平行板コンデンサC1の静電容量C1gが得られる一
方、第4のC/U用第2の入力端子47bと第2の共通
端子46cとの間には、第2の加速度検出用電極22B
と錘体3Bとの間で形成される平行板コンデンサC2の
静電容量C2gが得られることとなる。
【0098】そして、この第4のコントロールユニット
34は、上述の静電容量C2g,C1gの差(C2g−C1g)
を演算して出力するようになっており、その出力信号
は、第2の減算器36及び第2の加算器38にそれぞれ
入力される構成となっている(図12参照)。なお、こ
の第4のコントロールユニット34において得られる第
2のg−ωセンサ51の(C2g−C1g)を、これより以
下の説明においては、便宜上、(C2g−C1g)と表す
こととする。
【0099】第1の減算器35は、上述した第1のコン
トロールユニット31の演算出力信号(C2ω′−C
1ω′)と、第3のコントロールユニット33の演算出
力信号(C2ω′−C1ω′)が入力されるようにな
っており、その入力信号の差、すなわち、{(C2ω
−C1ω′)−(C2ω′−C1ω′) }が演算さ
れ出力されるようになっているものである。そして、こ
の第1の減算器35の演算出力信号は、ローバスフィル
タ に入力されるようになっている。
【0100】ローパスフィルタ39は、第1の減算器3
5からの演算出力信号の周波数成分の内、所定の低域周
波数帯の信号のみを通過させるべく設けられたもので、
具体的には、例えば5乃至10Hz以下の周波数の信号
を通過させるように設定されたものが好適である。この
ようなローパスフィルタ39を設けるのは、次のような
理由によるものである。まず、第1の減算器35の演算
出力信号は、角速度の大きさを表すものであるが、角速
度が生ずる際の車両の運動を考えると、その運動の速度
は、一般に大凡500msec程度である。換言すれば、
この角速度が生ずる運動状態において、本発明に係る移
動体基礎情報用マルチセンサSによって計測される信号
の最適な周波数成分としては、大凡5Hz以下となる。
そのため、角速度を求める上で必要な情報を失うことが
ないようにして、不要な高い周波数成分を除去する観点
から、第1の減算器35の出力側にローパスフィルタ3
9が設けられている。これにより、信号対雑音比が向上
することとなる。
【0101】第1の加算器37は、上述した第1のコン
トロールユニット31の演算出力信号(C2ω′−C
1ω′)と、第3のコントロールユニット33の演算出
力信号(C2ω′−C1ω′)とが入力されるように
なっており、その入力信号の和、すなわち{(C2ω
−C1ω′)+(C2ω′−C1ω′)}が演算さ
れ、出力されるようになっている。そして、その演算出
力信号は、第2の緩衝増幅器41を介して外部へ出力さ
れるようになっている。
【0102】第2の減算器36は、上述した第2のコン
トロールユニット32の演算出力信号(C2g−C1g)
と、第4のコントロールユニット34の演算出力信号
(C2g−C1g)とが入力されるようになっており、そ
の入力信号の差、すなわち、{(C2g−C1g)−(C2g
−C1g)}が演算され、出力されるようになってい
る。そして、その演算出力信号は、第3の緩衝増幅器4
2を介して外部へ出力されるようになっている。
【0103】第2の加算器38は、上述した第2のコン
トロールユニット32の演算出力信号(C2g−C1g)
と、第4のコントロールユニット34の演算出力信号
(C2g−C1g)とが入力されるようになっており、そ
の入力信号の和、すなわち、{(C2g−C1g)+(C2g
−C1g)}が演算され、出力されるようになってい
る。そして、その演算出力信号は、第4の緩衝増幅器4
3を介して外部へ出力されるようになっている。
【0104】次に、上記構成における動作について説明
する。まず、前提として第1及び第2のg−ωセンサ5
0,51は、直交する平面部分を有する取付冶具45に
固着された状態にあって、しかも、先に図1を参照しつ
つ説明したように、それぞれのg−ωセンサ50,51
の中心を通る仮想的な直線が互いに直交するようにし
て、車両の適宜な位置に配設されているものとする。そ
して、この場合も先に図1を参照しつつ説明したよう
に、第1のg−ωセンサ50のトーションバー12A,
13A(図2参照)と直交する方向において、第1のg
−ωセンサ50の中心を通る仮想的な直線とY軸とのな
す角度Θと、第2のg−ωセンサ51の後トーション
バー12B,13B(図2参照)と直交する方向におい
て、第2のg−ωセンサ51の中心を通る仮想的な直線
とY軸とのなす角度Θとが共に、45度になるように
設定されたものとなっている。
【0105】最初に、加速度の計測について説明する。
第1及び第2のg−ωセンサ50,51が図12に示さ
れたような配置構成において、加速度がX軸方向に作用
した場合について説明する。この場合、先に図8を参照
しつつ説明したように、X軸方向の加速度の大きさに応
じて第1のg−ωセンサ50には、錘体3Aに対して垂
直方向となるX1の方向(図12参照)に力が作用し、
第2のg−ωセンサ51においては、錘体3Bに対して
垂直方向となるX2の方向(図12参照)に力が作用す
ることとなる。その結果、第1のg−ωセンサ50から
は、第2のコントロールユニット32を介してX1方向
(図12参照)に作用した力に応じて(C2g−C1g)
が、第4のコントロールユニット34を介してX2方向
(図12参照)に作用した力に応じて(C2g−C1g)
が、それぞれ得られることとなる。
【0106】図8を参照しつつ説明したようにX軸方向
の加速度を知るには、原則的には、(C2g−C1g)又は
(C2g−C1g)のいずれか一方が解ればよい。この図
12に示された演算装置30Aを用いた例においては、
第2のコントロールユニット32により(C2g−C1g)
が、第4のコントロールユニット34により(C2g−C
1g)が、それぞれ得られるようになっており、両者の
和が第4の緩衝増幅器43からX軸方向加速度の値とし
て出力されるようになっている。すなわち、この演算装
置30Aにおいては、第1のg−ωセンサ50と第2の
g−ωセンサ51の出力特性のいわゆるばらつき等を考
慮し、そのばらつき等を相殺してより精度の高い計測値
を得る観点から、(C2g−C1g)と(C2g−C1g)
の和をX軸方向の加速度値に対応させたものとなってい
る。
【0107】次に、Y軸方向の加速度が作用した場合に
ついて説明する。この場合も基本的には、X軸方向の加
速度が作用した場合と同様である。既に、図8(B)を
用いて説明したように加速度を知るには、原則的には、
(C2g−C1g)又は(C2g−C1g)のいずれか一方が
得られればよいが、上述したように、この図12に示さ
れた演算装置30Aを用いた例においては、計測精度の
向上を図る観点から、(C2g−C1g)と(C2g−C1g)
との和が、第2の減算器36の演算により求められ
て、第3の緩衝増幅器42からY軸方向の加速度の大き
さを表す値として出力されるようになっている。なお、
ここで、(C2g−C1g)と(C2g−C1g)との和を求
めるのに、第2の減算器36による減算を行うのは、図
8(B)を用いて説明したようにY軸方向の加速度が作
用した場合、第1のg−ωセンサ50による(C2g−C
1g)と第2のg−ωセンサ51による(C2g−C1g)
の極性は、相互に逆となるためである。
【0108】次に、角速度の計測について説明する。例
えば、X軸を中心とするような角速度が作用したとする
と、先に図9を参照しつつ説明したように角速度を知る
には、原則的には、第1のg−ωセンサ50により得ら
れる(C2ω′−C1ω′)又は第2のg−ωセンサ5
1により得られる(C2ω′−C1ω′)のいずれか
一方が得られればよい。しかしながら、先の加速度の場
合と同様に、この図12に示された演算装置30Aを用
いた例においては、計測精度の向上を図る観点から、第
1の減算器35により、(C2ω′−C1ω′)と(C
2ω′−C1ω′)との和が演算されて、ローパスフ
ィルタ39及び第1の緩衝増幅器40を介して角速度の
値として出力されるようになっている。なお、ここで、
(C2ω′−C1ω′)と(C ω′−C1ω′)
の和を求めるのに、第1の減算器35による減算を行う
のは、図9で説明したように第1のg−ωセンサ50に
よる(C2ω′−C1ω′)と第2のg−ωセンサ51
による(C2ω′−C1ω′)との極性は、相互に逆
となるためである。また、第1の減算器35の演算出力
信号をローパスフィルタ39へ通過せしめるのは、既に
説明したように角速度信号の変化特性に鑑みて、不要な
高周波成分を除去し、角速度を知るために本来必要な周
波数成分のみを得るためである。なお、このようなロー
パスフィルタ39の存在理由から、その位置は、必ずし
も第1の減算器35の出力側である必要はなく、第1の
減算器35の2つの入力側に第1のローパスフィルタ
(図示せず)、第2のローパスフィルタ(図示せず)を
それぞれ設けるような構成としてもよいものである。
【0109】次に、角加速度の計測について説明する。
例えば、Z軸を中心とするような角加速度が作用したと
すると、先に図10を参照しつつ説明したように、角加
速度を知るには、原則的には、第1のg−ωセンサ50
により得られる(C2ω′−C1ω′)又は第2のg−
ωセンサ51により得られる(C2ω′−C1ω′)
のいずれか一方が得られればよい。しかしながら、先の
加速度や角速度の場合と同様に、この図12に示された
演算装置30Aを用いた例においては、計測精度の向上
を図る観点から、第1の加算器37により、(C2ω
−C1ω′)と(C2ω′−C1ω′)との和が演算
されて、第2の緩衝増幅器41を介して角加速度の値と
して出力されるようになっている。
【0110】次に、図13を参照しつつ第2の構成例に
ついて説明する。なお、図12に示された構成例におけ
る構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を
付してその詳細な説明を省略し、以下、異なる点を中心
に説明することとする。この図13に示された構成例に
おいては、演算装置30Aは、図12に示されたものと
何ら変わるところがないものであり、ここでのその詳細
な説明は省略する。この第2の構成例においては、第1
及び第2のg−ωセンサ50A,51Aの構成が次述す
るように若干異なるものとなっている点が、図12に示
された構成例と異なるものである。
【0111】すなわち、まず、第1及び第2のg−ωセ
ンサ50A,51Aは、先の図2乃至図4で示された第
1及び第2のg−ωセンサ50,51との対比で言え
ば、これら第1及び第2のg−ωセンサ50,51の第
1のガラス基板1A(1B)と枠体4A(4B)とが一
体に形成された構成である点が、先の構成例と異なるも
のである。具体的には、第1のg−ωセンサ50Aにお
いては、蓋体55Aが、丁度、先の図2乃至図4で示さ
れた第1のガラス基板1Aと枠体4Aとを一体形成した
ものに対応する形状、寸法となっているものである。ま
た、第2のg−ωセンサ51Aにおいては、蓋体55B
が、丁度、先の図2乃至図4で示された第1のガラス基
板1Bと枠体4Bとを一体形成したものに対応する形
状、寸法となっているものである。
【0112】さらに、この構成例においては、先の取付
冶具48(図12参照)と第2のガラス基板2A,2B
(図12参照)とが一体形成された構成となっている。
すなわち、共通基板56は、絶縁性部材、例えば、ガラ
ス部材からなり、先の図12において示された取付冶具
48とほぼ同様の形状、寸法に形成されてなるもので、
しかも、第1及び第2のg−ωセンサ50,51におけ
る第2の基板2A,2Bを兼ねるものとなっている。か
かる構成における演算装置30Aの動作は、先に図12
を参照しつつ説明したものと同様であるのでここでの説
明は省略することとする。また、共通基板56に対する
第1及び第2のg−ωセンサ50A,51Aの配設位置
は、図13において、点線で示されたように、共通基板
56を挟んで反対側の面側であってもよいものである。
【0113】次に、図14(A)乃至図14(C)を参
照しつつ、第1及び第2のg−ωセンサ50,51(又
は第1及び第2のg−ωセンサ50A,51A)の他の
取り付け例について説明する。図14(A)には、取付
具(又は共通基板)57が、図12に示された配置とは
逆の配置となっているものが示されている。すなわち、
この図14(A)における取付冶具(又は共通基板)5
7の配置は、先の図12に示された取付冶具48を丁
度、Y軸に対して線対称とされたものとなっており、そ
の互いに直交する平面部分57a,57bに、第1及び
第2のg−ωセンサ50,51(又は第1及び第2のg
−ωセンサ50A,51A)がそれぞれ配設されたもの
となっている。
【0114】図14(B)には、丁度、Tの字のように
直交する平面部58a,58bを有してなる取付具(又
は共通基板)58を用い、それぞれの平面部58a,5
8bへ、第1及び第2のg−ωセンサ50,51(又は
第1及び第2のg−ωセンサ50A,51A)がそれぞ
れ配設された例が示されている。図14(C)には、第
1の取付冶具59aに第1のg−ωセンサ50(又は5
0A)が、第2の取付冶具59bには、第2のg−ωセ
ンサ51(又は51A)が、それぞれ取り付けられた例
が示されている。すなわち、ここで、第1の取付冶具5
9aと第2の取付冶具59bとは、これまでの例とは異
なり、別体となっているが、互いに直交するよう配設さ
れたものである点においては変わることろがないもので
ある。
【0115】
【発明の効果】以上、述べたように、本発明によれば、
単体で加速度及び角速度を検出可能な比較的簡素な構成
を有してなる同一のセンサ2つを所定の配置となるよう
に組み合わせて、それぞれの出力信号の大小関係を判定
することで、複雑な構造を有するセンサを用いることな
く加速度、角速度のみならず角加速度をも知ることがで
きる。また、本発明によれば、単体で加速度及び角速度
を検出可能な比較的簡素な構成を有してなる同一のセン
サを2つ組み合わせることで、簡素な構成で加速度、角
速度のみならず、角加速度をも知ることができる新たな
移動体基礎情報用マルチセンサを提供することができ
る。移動体基礎情報用マルチセンサを構成する個々のセ
ンサ自体は、シリコンを主たる部材としてなるものであ
るため、いわゆる半導体製造技術、特に、いわゆるマイ
クロマシング技術を用いての大量生産が可能であり、安
価で比較的簡素な構成を有して、加速度、角速度及び角
加速度の検出が可能な移動体基礎情報用マルチセンサを
提供することができる。加速度、角速度及び角加速度の
検出を一箇所で可能とするものであるため、特に、設定
スペースが小さく限定されている車両にあっては、加速
度、角速度及び角加速度のそれぞれについて、専用のセ
ンサを設けるような必要がなくなり、設置スペースの節
約が図れるばかりでなく、車両の加速度だけでなく、角
速度及び角加速度を車両の種々の制御に提供することが
できるため、より高度な車両の制御が可能となるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における移動体基礎情報用
マルチセンサの構成と車両への取り付け状態を平面的に
示す平面図である。
【図2】移動体基礎情報用マルチセンサを構成するg-
ωセンサの構成例を示す分解状態の全体斜視図である。
【図3】枠体とその内側に配設される錘体の平面図であ
る。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】g-ωセンサ単体での加速度の検出原理を説明
する説明図である。
【図6】g-ωセンサ単体での角速度の検出原理を説明
する説明図である。
【図7】g-ωセンサ単体での角加速度の検出原理を説
明する説明図である。
【図8】本発明の実施の形態における移動体基礎情報用
マルチセンサによる加速度の検出原理を説明する説明図
であって、図8(A)は、車両の前後方向に沿う加速度
が作用した場合を、図8(B)は、車両の横方向に沿う
加速度が作用した場合を、それぞれ説明する説明図であ
る。
【図9】本発明の実施の形態における移動体基礎情報用
マルチセンサによる角速度の検出原理を説明する説明図
である。
【図10】本発明の実施の形態における移動体基礎情報
用マルチセンサによる角加速度の検出原理を説明する説
明図である。
【図11】CPUによる加速度、角速度及び角加速度の
検出の手順を示すフローチャートである。
【図12】演算装置の構成例と共に第1及び第2のg−
ωセンサとの接続例を示す構成図である。
【図13】演算装置の構成例と共に第1及び第2のg−
ωセンサとの他の接続例を示す構成図である。
【図14】第1及び第2のg−ωセンサの取り付け例を
示す模式図であって、図14(A)は、第1の取り付け
例を示す模式図、図14(B)は、第2の取り付け例を
示す模式図、図14(C)は、第3の取り付け例を示す
模式図である。
【符号の説明】
1A…第1のガラス基板(第1のg−ωセンサ50用) 1B…第1のガラス基板(第2のg−ωセンサ51用) 2A…第2のガラス基板(第1のg−ωセンサ50用) 2B…第2のガラス基板(第2のg−ωセンサ51用) 3A…錘体(第1のg−ωセンサ50用) 3B…錘体(第2のg−ωセンサ51用) 4A…枠体(第1のg−ωセンサ50用) 4B…枠体(第2のg−ωセンサ51用) 12A…トーションバー(第1のg−ωセンサ50用) 12B…トーションバー(第2のg−ωセンサ51用) 13A…トーションバー(第1のg−ωセンサ50用) 13B…トーションバー(第2のg−ωセンサ51用) 17A…第1の加速度検出用電極(第1のg−ωセンサ
50用) 17B…第1の加速度検出用電極(第2のg−ωセンサ
51用) 18A…第1の角速度検出用電極(第1のg−ωセンサ
50用) 18B…第1の角速度検出用電極(第2のg−ωセンサ
51用) 19A…第2の角速度検出用電極(第1のg−ωセンサ
50用) 19B…第2の角速度検出用電極(第2のg−ωセンサ
51用) 22A…第2の加速度検出用電極(第1のg−ωセンサ
50用) 22B…第2の加速度検出用電極(第2のg−ωセンサ
51用) 23A…第3の角速度検出用電極(第1のg−ωセンサ
50用) 23B…第3の角速度検出用電極(第2のg−ωセンサ
51用) 24A…第4の角速度検出用電極(第1のg−ωセンサ
50用) 24B…第4の角速度検出用電極(第2のg−ωセンサ
51用)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 雨森 雅典 埼玉県東松山市箭弓町3−13−26 株式会 社ゼクセル東松山工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの絶縁基板の間に、半導体部材から
    なる錘板がトーションバーを中心に回動及び変位可能に
    設けられると共に、前記2つの絶縁基板に配設された電
    極と前記錘体との間の静電容量が出力可能に構成されて
    なる第1のセンサ及び第2のセンサを、 前記第1及び第2のセンサの各々のトーションバーが鉛
    直方向に沿うようにし、かつ、平板状に形成された部材
    の平面上において、所定の直線に対して、前記各々のト
    ーションバーに直交してセンサの中心を通る各々の仮想
    的な線が同一角度をなすように、前記平板状に形成され
    た部材の平面上に配してなる移動体基礎情報用マルチセ
    ンサを用いて移動体の加速度、角速度及び角加速度を検
    出する移動体基礎情報検出方法であって、 前記移動体基礎情報用マルチセンサは、 前記錘体の中央に、貫通孔が穿設され、当該貫通孔の内
    側には、柱状に形成された支持柱が設けられ、前記支持
    柱の側面の内、対向する一組の側面からそれぞれトーシ
    ョンバーが延設されて、その端部は、前記貫通孔の内壁
    に接合され、 前記支持柱は、前記2つの絶縁基板の対向方向における
    厚みが、前記錘板より大に設定されて、その両端部が前
    記2つの絶縁基板に接合される一方、 前記2つの絶縁基板の内、第1の絶縁基板の前記錘板と
    対向する面には、第1の加速度検出用電極、第1の角速
    度検出用電極及び第2の角速度検出用電極が、前記第1
    の加速度検出用電極を中央にして、その左側に前記第1
    の角速度検出用電極が、その右側に前記第2の角速度検
    出用電極が、それぞれ位置するように配設され、 第2の絶縁基板の前記錘体と対向する面には、第2の加
    速度検出用電極、第3の角速度検出用電極及び第4の角
    速度検出用電極が、前記第2の加速度検出用電極を中央
    にして、その左側に前記第3の角速度検出用電極が、そ
    の右側に前記第4の角速度検出用電極が、それぞれ位置
    するように配設され、 前記第1及び第2の加速度検出用電極と前記錘板との間
    の各々の静電容量と、前記第1乃至第4の角速度検出用
    電極と前記錘体との間の各々の静電容量とを出力可能と
    してなるものであって、 前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの各々における
    前記第2の加速度検出用電極と前記錘体との間の静電容
    量と前記第1の加速度検出用電極と前記錘体との間の静
    電容量との差が同一値である場合には、前記平板状に形
    成された部材の平面上の所定の直線に平行する方向に作
    用する加速度であると判定すると共に、前記静電容量の
    差の大きさにより加速度の大きさを、前記静電容量の差
    の符号により加速度の方向を判定し、 前記第1のセンサにおける前記第2の加速度検出用電極
    と前記錘体との間の静電容量と前記第1の加速度検出用
    電極と前記錘体との間の静電容量との差と、前記第2の
    センサにおける前記第2の加速度検出用電極と前記錘体
    との間の静電容量と前記第1の加速度検出用電極と前記
    錘体との間の静電容量との差とが逆符号で、その絶対値
    が同一値となる場合には、前記平板状に形成された部材
    の平面上の所定の直線に直交する方向に作用する加速度
    であると判定すると共に、前記第1のセンサによる前記
    静電容量の差の符号と前記第2のセンサによる前記静電
    容量の差の符号との組み合わせによって加速度の方向を
    判定し、前記第1のセンサ又は前記第2のセンサによる
    前記静電容量の差の大きさによって加速度の大きさを判
    定し、 前記第1のセンサにおける第2の角速度検出用電極と前
    記錘板との間の静電容量に前記第3の角速度検出用電極
    と前記錘板との間の静電容量を加算した値と、前記第1
    のセンサにおける前記第1の角速度検出用電極と前記錘
    板との間の静電容量に前記第4の角速度検出用電極と前
    記錘板との間の静電容量を加算した値との減算値と、 前記第2のセンサにおける第2の角速度検出用電極と前
    記錘板との間の静電容量に前記第3の角速度検出用電極
    と前記錘板との間の静電容量を加算した値と、前記第2
    のセンサにおける前記第1の角速度検出用電極と前記錘
    板との間の静電容量に前記第4の角速度検出用電極と前
    記錘板との間の静電容量を加算した値との減算値とが逆
    符号で、その絶対値が同一値となる場合には、前記平板
    状に形成された部材の平面状の所定の直線を回転中心軸
    とする角速度が作用したと判定すると共に、前記第1の
    センサの前記減算値の符号と前記第2のセンサの前記減
    算値の符号との組み合わせによって角速度の方向を判定
    し、前記第1のセンサ又は第2のセンサの前記減算値の
    大きさによって角速度の大きさを判定し、 前記第1のセンサにおける前記第2の角速度検出用電極
    と前記錘板との間の静電容量に前記第3の角速度検出用
    電極と前記錘板との間の静電容量を加算した値と、前記
    第1のセンサにおける前記第1の角速度検出用電極と前
    記錘板との間の静電容量に前記第4の角速度検出用電極
    と前記錘板との間の静電容量を加算した値との減算値
    と、 前記第2のセンサにおける前記第2の角速度検出用電極
    と前記錘板との間の静電容量に前記第3の角速度検出用
    電極と前記錘板との間の静電容量を加算した値と、前記
    第2のセンサにおける前記第1の角速度検出用電極と前
    記錘板との間の静電容量に前記第4の角速度検出用電極
    と前記錘板との間の静電容量を加算した値との減算値と
    が同一値となる場合には、前記第1のセンサと前記第2
    のセンサから等距離にある所定の点を中心にした角加速
    度が作用したと判定すると共に、前記第1及び第2のセ
    ンサにおける前記減算値の符号によって角加速度の方向
    を判定し、前記第1のセンサ又は前記第2のセンサの前
    記減算値の大きさによって角加速度の大きさを判定する
    ことを特徴とする移動体基礎情報検出方法。
  2. 【請求項2】 第1のセンサのトーションバーと直交
    し、かつ、当該第1のセンサの中心を通る仮想的な線
    が、平板状に形成された部材の平面上の所定の直線とな
    す角度及び第2のセンサのトーションバーと直交し、か
    つ、当該第2のセンサの中心を通る仮想的な線が、平板
    状に形成された部材の平面上の所定の直線となす角度が
    45度であることを特徴とする請求項1記載の移動体基
    礎情報検出方法。
  3. 【請求項3】 2つの絶縁基板の間に、半導体部材から
    なる錘板がトーションバーを中心に回動及び変位可能に
    設けられると共に、前記2つの絶縁基板に配設された電
    極と前記錘体との間の静電容量が出力可能に構成されて
    なる第1のセンサ及び第2のセンサを、 前記第1及び第2のセンサの各々のトーションバーが鉛
    直方向に沿うようにし、かつ、平板状に形成された部材
    の平面上において、所定の直線に対して、前記各々のト
    ーションバーに直交してセンサの中心を通る各々の仮想
    的な線が同一角度をなすように、前記平板状に形成され
    た部材の平面上に配してなる移動体基礎情報用マルチセ
    ンサであって、 前記錘体の中央には、貫通孔が穿設され、当該貫通孔の
    内側には、柱状に形成された支持柱が設けられ、前記支
    持柱の側面の内、対向する一組の側面からそれぞれトー
    ションバーが延設されて、その端部は、前記貫通孔の内
    壁に接合され、 前記支持柱は、前記2つの絶縁基板の対向方向における
    厚みが、前記錘板より大に設定されて、その両端部が前
    記2つの絶縁基板に接合される一方、 前記2つの絶縁基板の内、第1の絶縁基板の前記錘板と
    対向する面には、第1の加速度検出用電極、第1の角速
    度検出用電極及び第2の角速度検出用電極が、前記第1
    の加速度検出用電極を中央にして、その左側に前記第1
    の角速度検出用電極が、その右側に前記第2の角速度検
    出用電極が、それぞれ位置するように配設され、 第2の絶縁基板の前記錘体と対向する面には、第2の加
    速度検出用電極、第3の角速度検出用電極及び第4の角
    速度検出用電極が、前記第2の加速度検出用電極を中央
    にして、その左側に前記第3の角速度検出用電極が、そ
    の右側に前記第4の角速度検出用電極が、それぞれ位置
    するように配設され、 前記第1及び第2の加速度検出用電極と前記錘板との間
    の各々の静電容量と、前記第1乃至第4の角速度検出用
    電極と前記錘体との間の各々の静電容量とを出力可能と
    してなることを特徴とする移動体基礎情報用マルチセン
    サ。
  4. 【請求項4】 第1のセンサのトーションバーと直交
    し、かつ、当該第1のセンサの中心を通る仮想的な線
    が、平板状に形成された部材の平面上の所定の直線とな
    す角度及び第2のセンサのトーションバーと直交し、か
    つ、当該第2のセンサの中心を通る仮想的な線が、平板
    状に形成された部材の平面上の所定の直線となす角度が
    45度であることを特徴とする請求項3記載の移動体基
    礎情報用マルチセンサ。
  5. 【請求項5】 第1のセンサの第2及び第3の角速度検
    出用電極と、第1及び第4の角速度検出用電極と、錘体
    とが入力段に接続され、 前記第2の角速度検出用電極と前記錘体との間に生ずる
    静電容量と前記第3の角速度検出用電極と前記錘体との
    間に生ずる静電容量との和である第1の角速度静電容量
    と、 前記第1の角速度検出用電極と前記錘体との間に生ずる
    静電容量と前記第4の角速度検出用電極と前記錘体との
    間に生ずる静電容量との和である第2の角速度静電容量
    との差を演算して出力する第1のコントロールユニット
    と、 第1のセンサの第1及び第2の加速度検出用電極と、錘
    体とが入力段に接続され、 前記第2の加速度検出用電極と前記錘体との間に生ずる
    静電容量と、前記第1の加速度検出用電極と前記錘体と
    の間に生ずる静電容量との差を演算して出力する第2の
    コントロールユニットと、 第2のセンサの第2及び第3の角速度検出用電極と、第
    1及び第4の角速度検出用電極と、錘体とが入力段に接
    続され、 前記第2のセンサの第2の角速度検出用電極と前記第2
    のセンサの錘体との間に生ずる静電容量と前記第2のセ
    ンサの第3の角速度検出用電極と前記第2のセンサの錘
    体との間に生ずる静電容量との和である第3の角速度静
    電容量と、 前記第2のセンサの第1の角速度検出用電極と前記第2
    のセンサの錘体との間に生ずる静電容量と前記第2のセ
    ンサの第4の角速度検出用電極と前記第2のセンサの錘
    体との間に生ずる静電容量との和である第4の角速度静
    電容量との差を演算して出力する第3のコントロールユ
    ニットと、 第2のセンサの第1及び第2の加速度検出用電極と、錘
    体とが入力段に接続され、 前記第2のセンサの第2の加速度検出用電極と前記第2
    のセンサの錘体との間に生ずる静電容量と、前記第2の
    センサの第1の加速度検出用電極と前記第2のセンサの
    錘体との間に生ずる静電容量との差を演算して出力する
    第4のコントロールユニットと、 前記第1のコントロールユニットの演算出力信号と、前
    記第3のコントロールユニットの演算出力信号との差を
    演算して出力する第1の減算器と、 前記第1のコントロールユニットの演算出力信号と、前
    記第3のコントロールユニットの演算出力信号との和を
    演算して出力する第1の加算器と、 前記第2のコントロールユニットの演算出力信号と、前
    記第4のコントロールユニットの演算出力信号との差を
    演算して出力する第2の減算器と、 前記第2のコントロールユニットの演算出力信号と前記
    第4のコントロールユニットの演算出力信号との和を演
    算して出力する第2の加算器と、 前記第1の減算器の出力段に接続され、所定の低域周波
    数帯の信号を通過せしめるローパスフィルタと、 前記ローパスフィルタの出力段に接続され、入力信号の
    緩衝増幅を行う第1の緩衝増幅器と、 前記第1の加算器の出力段に接続され、入力信号の緩衝
    増幅を行う第2の緩衝増幅器と、 前記第2の減算器の出力段に接続され、入力信号の緩衝
    増幅を行う第3の緩衝増幅器と、 前記第2の加算器の出力段に接続され、入力信号の緩衝
    増幅を行う第4の緩衝増幅器と、を具備してなる演算装
    置を設けたことを特徴とする請求項3または請求項4記
    載の移動体基礎情報用マルチセンサ。
  6. 【請求項6】 第1のセンサの第2及び第3の角速度検
    出用電極と、第1及び第4の角速度検出用電極と、錘体
    とが入力段に接続され、 前記第2の角速度検出用電極と前記錘体との間に生ずる
    静電容量と前記第3の角速度検出用電極と前記錘体との
    間に生ずる静電容量との和である第1の角速度静電容量
    と、 前記第1の角速度検出用電極と前記錘体との間に生ずる
    静電容量と前記第4の角速度検出用電極と前記錘体との
    間に生ずる静電容量との和である第2の角速度静電容量
    との差を演算して出力する第1のコントロールユニット
    と、 第1のセンサの第1及び第2の加速度検出用電極と、錘
    体とが入力段に接続され、 前記第2の加速度検出用電極と前記錘体との間に生ずる
    静電容量と、前記第1の加速度検出用電極と前記錘体と
    の間に生ずる静電容量との差を演算して出力する第2の
    コントロールユニットと、 第2のセンサの第2及び第3の角速度検出用電極と、第
    1及び第4の角速度検出用電極と、錘体とが入力段に接
    続され、 前記第2のセンサの第2の角速度検出用電極と前記第2
    のセンサの錘体との間に生ずる静電容量と前記第2のセ
    ンサの第3の角速度検出用電極と前記第2のセンサの錘
    体との間に生ずる静電容量との和である第3の角速度静
    電容量と、 前記第2のセンサの第1の角速度検出用電極と前記第2
    のセンサの錘体との間に生ずる静電容量と前記第2のセ
    ンサの第4の角速度検出用電極と前記第2のセンサの錘
    体との間に生ずる静電容量との和である第4の角速度静
    電容量との差を演算して出力する第3のコントロールユ
    ニットと、 第2のセンサの第1及び第2の加速度検出用電極と、錘
    体とが入力段に接続され、 前記第2のセンサの第2の加速度検出用電極と前記第2
    のセンサの錘体との間に生ずる静電容量と、前記第2の
    センサの第1の加速度検出用電極と前記第2のセンサの
    錘体との間に生ずる静電容量との差を演算して出力する
    第4のコントロールユニットと、 前記第1のコントロールユニットの演算出力信号の所定
    の低域周波数帯の信号を通過せしめる第1のローパスフ
    ィルタと、 前記第3のコントロールユニットの演算出力信号の所定
    の低域周波数帯の信号を通過せしめる第2のローパスフ
    ィルタと、 前記第1のローパスフィルタの出力信号と、前記第2の
    ローパスフィルタの出力信号との差を演算して出力する
    第1の減算器と、 前記第1のコントロールユニットの演算出力信号と、前
    記第3のコントロールユニットの演算出力信号との和を
    演算して出力する第1の加算器と、 前記第2のコントロールユニットの演算出力信号と、前
    記第4のコントロールユニットの演算出力信号との差を
    演算して出力する第2の減算器と、 前記第2のコントロールユニットの演算出力信号と前記
    第4のコントロールユニットの演算出力信号との和を演
    算して出力する第2の加算器と、 前記第1の減算器の出力段に接続され、入力信号の緩衝
    増幅を行う第1の緩衝増幅器と、 前記第1の加算器の出力段に接続され、入力信号の緩衝
    増幅を行う第2の緩衝増幅器と、 前記第2の減算器の出力段に接続され、入力信号の緩衝
    増幅を行う第3の緩衝増幅器と、 前記第2の加算器の出力段に接続され、入力信号の緩衝
    増幅を行う第4の緩衝増幅器と、を具備してなる演算装
    置を設けたことを特徴とする請求項3または請求項4記
    載の移動体基礎情報用マルチセンサ。
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