JP2000053768A - 光学的特性に優れた硬化性樹脂組成物 - Google Patents

光学的特性に優れた硬化性樹脂組成物

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JP2000053768A
JP2000053768A JP11156573A JP15657399A JP2000053768A JP 2000053768 A JP2000053768 A JP 2000053768A JP 11156573 A JP11156573 A JP 11156573A JP 15657399 A JP15657399 A JP 15657399A JP 2000053768 A JP2000053768 A JP 2000053768A
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JP11156573A
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English (en)
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Yutaka Kamata
豊 鎌田
Yoshiharu Fujio
好春 藤尾
Masayoshi Nakamura
正吉 中村
Takashi Matsuo
孝 松尾
Katsutoshi Yokoyama
勝敏 横山
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Osaka Soda Co Ltd
Original Assignee
Daiso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屈折率、アッベ数及び透明度等について良好
な光学的特性を有する硬化性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 硬化性樹脂組成物は、(A)酸誘導体、
(B)芳香族ジアリル化合物、(C)1分子中に少なく
とも4個以上の(メタ)アクリル基を有する脂肪族化合
物、および(D)1分子中に少なくとも2個以上のメル
カプト基を有するポリチオール化合物からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屈折率、アッべ数
及び透明度等について良好な光学的特性を有し、かつ、
種々の機械的特性、とりわけ耐衝撃性に優れたプラスチ
ックレンズ、カメラレンズ等の光学部品、更には接着
剤、コーティング剤等の光学関連製品を提供し得る光学
材料用硬化性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、軽量性、成形容易性、耐衝撃性及
び着色性などに優れたプラスチック材料が無機ガラスに
代わって光学材料として使用されている。プラスチック
レンズ等の光学部品は、一般には、これら光学材料を重
合硬化することにより得られる。この代表的なものとし
てはポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート
が挙げられるが、無機ガラスに比して軽量性、耐衝撃性
に優れている反面、屈折率が1.50程度と低く、高度
数のレンズには不向きである。また、これに改良を加え
た、ジアリルフタレート等の多価不飽和官能基を有する
数種の化合物からなる組成物も存在するが、比較的高い
屈折率かつ低毒性である反面、アッべ数が低く、耐衝撃
性が悪いという問題がある。
【0003】また、(メタ)アクリロイル基、アリル基
等の不飽和結合を1個以上有する不飽和化合物とメルカ
プト基を2個以上有するポリメルカプト化合物を共重合
硬化する方法がある。しかしながら、特公平2−356
45号公報に記載の方法では、ジアリルフタレート等の
2官能のアリル化合物とポリメルカプト化合物を用いた
場合には、重合が十分に進行せず、耐熱性が不十分であ
る。また、特開昭63−234032号公報、特開平2
−283731号公報に開示されている、(メタ)アク
リル化合物とポリメルカプト化合物を用いた場合には、
基本的に脂肪族構造となり屈折率が不足する。また、ジ
ビニルベンゼンを含んだ場合には、組成物の保存安定性
が悪く、また、得られる硬化物が脆くなる欠点がある。
更に、特開平4−351612号公報には、芳香族ビニ
ル化合物と重合性官能基を2個以上有する(メタ)アク
リル酸エステルを重合制御の目的でチオール化合物を存
在させ、共重合する発明の開示があるが、チオール成分
の絶対量が少なく、硬化物の耐衝撃性が十分ではない。
【0004】ところで、無機ガラスの眼鏡レンズには古
くから可視光線透過率を高め、あるいは光線の反射を防
止する目的で、カメラレンズと同様に酸化亜鉛、酸化け
い素などの真空蒸着が施されている。この反射防止膜
は、プラスチック眼鏡レンズにも施されて普及している
が、著しく耐衝撃性を低下させ、プラスチックの本来の
利点である安全性を損なうという重大な欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の光学部品等の種々の問題点、とりわけ反射防止膜を施
した際の耐衝撃性の著しい低下を解消し、合わせて屈折
率、アッべ数及び透明度等について良好な光学的特性を
バランス良く付与し得る硬化性樹脂組成物を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)シアヌ
ル酸若しくはイソシアヌル酸、又はこれらに存在する全
ての酸素原子を硫黄原子で置換した化合物から選択され
た化合物に存在するすべての水素原子を、式(1):
【化6】 [式中、aは0から2の整数、bは0または1、cは0
または1、dは0または1であり、Rは不飽和官能基で
ある。]の有機基にて置換してなる少なくとも一種の酸
誘導体、(B)少なくとも一種の芳香族ジアリル化合
物、(C)1分子中に少なくとも4個以上の(メタ)ア
クリル基を有する少なくとも一種の脂肪族化合物、およ
び(D)1分子中に少なくとも2個以上のメルカプト基
を有する少なくとも一種の化合物からなる硬化性樹脂組
成物に関する。
【0007】本発明に用いられる酸誘導体(A)におい
ては、不飽和官能基Rが、アリル基、メタリル基、アク
リロイル基、メタクリロイル基から選択されたものであ
ることが好ましい。酸誘導体(A)の1分子中に含まれ
る3つの不飽和官能基は同種であることが好ましい。
【0008】酸誘導体(A)として、たとえば、トリア
リルシアヌレート、トリアリルチオシアヌレート、トリ
メタリルチオシアヌレート、2−ヒドロキシエチルシア
ヌレートトリス(アクリレート)、2−ヒドロキシエチ
ルシアヌレートトリス(メタクリレート)、2−ヒドロ
キシエチルシアヌレートトリス(アリルカーボネー
ト)、2−ヒドロキシエチルシアヌレートトリス(メタ
リルカーボネート)、トリアリルイソシアヌレート、ト
リアリルイソチオシアヌレート、トリメタリルイソチオ
シアヌレート、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート
トリス(アクリレート)、2−ヒドロキシエチルイソシ
アヌレートトリス(メタクリレート)、2−ヒドロキシ
エチルイソシアヌレートトリス(アリルカーボネー
ト)、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリス
(メタリルカーボネート)等があげられる。これらは単
独で又は混合して用いられる。好ましくは全ての不飽和
官能基がアリル基である化合物であり、さらに望ましく
はトリアリルシアヌレート若しくはトリアリルイソシア
ヌレートが好ましい。酸誘導体(A)の配合量は、成分
(A)〜(D)の合計量中、3〜30重量%が好まし
く、さらに望ましくは3〜10重量%が好ましい。
【0009】本発明に用いられる芳香族ジアリル化合物
(B)は、芳香環を有するアリルアルコールの多塩基酸
エステルであってよい。芳香族ジアリル化合物(B)と
して、ジアリルオルソフタレート、ジアリルイソフタレ
ート、ジアリルテレフタレート等が挙げられる。これら
は単独で又は混合して用いられる。ジアリルイソフタレ
ートが特に好ましい。芳香族ジアリル化合物(B)の配
合量は、成分(A)〜(D)の合計量中、1〜50重量
%が好ましく、さらに望ましくは3〜30重量%が好ま
しい。
【0010】本発明に用いられる1分子中に少なくとも
4個以上の(メタ)アクリル基を有する脂肪族化合物
(C)は、分子内に少なくとも4個、好ましくは4〜8
個の(メタ)アクリル基を含んでいればよい。(メタ)
アクリル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基の
形態であってよい。脂肪族化合物(C)としては、ペン
タエリスリトール骨格を有する多官能の(メタ)アクリ
ル酸エステル類が好ましく、たとえば、ペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることがで
きる。これらは単独で又は混合して用いられる。 ジペ
ンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ま
しく、さらに望ましくはジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートが好ましい。脂肪族化合物(C)の配合量
は、成分(A)〜(D)の合計量中、10〜60重量%
が好ましく、さらに望ましくは20〜50重量%が好ま
しい。
【0011】本発明に用いられる1分子中に少なくとも
2個以上のメルカプト基を有する化合物(D)は、2〜
6個(特に2〜4個)、より好ましくは3個以上のメル
カプト基を有することが好ましい。
【0012】ポリチオール化合物(D)は、
【化7】
【化8】 [式中、R1はCH3またはCH3CH2を表し、R2はC
2またはCH2CH2を表す。]
【化9】 [式中、R3はHまたはCH3を表し、R4はCH2または
CH2CH2を表し、mおよびnはm+n=6を満たす整
数であってnは2以上を表す。]
【化10】 [式中、R5は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。]
であってよい。
【0013】ポリチオール化合物(D)としては、例え
ば、トリメチロールプロパンチオグリコレート、トリメ
チロールプロパンチオプロピオネート、トリメチロール
プロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロ
パントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトール
テトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテ
トラキスチオプロピオネート、1,2,4−トリス(メ
ルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メル
カプトメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(メルカ
プトメチル)メシチレン、1,2,4,5−テトラキス
(メルカプトメチル)ベンゼン、トリス(2−メルカプ
トエチル)イソシアヌレート、トリス(3−メルカプト
プロピル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
これらは単独で又は混合して用いられる。ペンタエリス
リトールテトラキスチオグリコレートが好ましい。ポリ
チオール化合物(D)の配合量は、成分(A)〜(D)
の合計量中、20〜70重量%が好ましく、さらに望ま
しくは30〜55重量%が好ましい。
【0014】これらのポリチオール化合物は目的とする
光学的特性又は機械的特性に合わせて特により高い屈折
率を発現させるためには分子内部のイオウ含有量が50
wt%以上の2官能以上のチオール化合物、例えば1,
2−ジメルカプトエタン、1,2,3−トリメルカプト
プロパン、ジメルカプトエチルサルファイド、ビス(2
−メルカプトエチル)サルファイド、1,2−ビス(メ
ルカプトエチル)トリチオグリセリン、2,5−ビス
(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,6−ビ
ス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,6−
ビス(メルカプトメチル)−1,4−オキソチアン、
2,5−ビス(メルカプトメチル)チオフェン等を併用
してもよい。
【0015】本発明に用いられる(A)〜(D)成分の
使用比率は前記した範囲にあるが、より好ましい使用比
率はその官能基当量の比率、すなわち(不飽和官能基の
数)/(メルカプト基の数)が4/1〜0.8/1、よ
り好ましくは3/1〜0.9/1、特に2.5/1〜1
/1の範囲であることが望ましい。
【0016】ここで、仮に(A)成分が存在しない系に
おいて、(B)成分に比較的安価なジアリルフタレート
を用いた場合には、成形物の硬化不足による耐熱性の著
しい低下を招く。その補填のために(C)成分を増加さ
せると相対的にアッべ数が低下し、均整のとれた光学材
料を得ることができない。また、硬化をよくするために
多量のラジカル重合開始剤を用いた場合にはその成形物
である透明体の発色原因となる場合がある。(A)成分
が存在した場合には、アッべ数の低下を引き起こすこと
なく、十分な硬化を達成でき、必要とする耐熱性が維持
される等、上記難点を回避することができる。
【0017】本発明における硬化性組成物の粘度は、3
0℃で30〜300cps、好ましくは50〜200c
psであることが望ましい。初期粘度を下げるために粘
度調整剤(E)として、4官能未満(例えば2官能)の
(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ジ(メタ)アク
リレートエステル)を添加することもできる。
【0018】(メタ)アクリル酸エステルのアルコール
成分は、酸素原子を有していてもよい炭化水素基に少な
くとも1つのOH基が結合した化合物(例えば、ジオー
ル)であってよい。アルコール成分(炭素数例えば1〜
30、特に4〜20)の例としては、オキシアルキレン
基(例えば、オキシエチレン基)を有するアルコール
(例えば、トリエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール)、脂環式炭化水素(例えば、三環性の脂環式炭
化水素)のアルコール(例えば、トリシクロデカンジメ
タノール)が挙げられる。
【0019】(メタ)アクリル酸エステルの具体例とし
ては、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリ
エチレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカ
ンジメタノールジアクリレートが挙げられる。粘度調整
剤(E)の添加量は、成分(A)〜(D)の合計100
重量部に対して0重量部〜30重量部、好ましくは0.
5重量部〜25重量部、より好ましくは5重量部〜20
重量部であってよい。
【0020】また、作業工程を通じて適切な粘度を維持
するために必要に応じて適当な重合遅延剤を添加するこ
とができ、これにより作業性及びレンズの仕上がりをよ
くすることができる。
【0021】硬化性樹脂組成物は、重合遅延剤(F)を
含有してもよい。重合遅延剤(F)としては、メルカプ
タン類、ハロゲン化炭化水素、フェニル含有モノオレフ
ィン類が挙げられる。メルカプタン類は、1個のメルカ
プト基を有する化合物であってよい。メルカプタン類と
して、t−ドデカンチオール、1−ドデカンチオール、
1−オクタンチオール、2−メルカプトエタノール等が
挙げられる。ハロゲン化炭化水素は、少なくとも1個の
ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)で置換さ
れた炭化水素である。ハロゲン化炭化水素として、四塩
化炭素、臭化エチレン等が挙げられる。
【0022】フェニル基含有モノオレフィンは、少なく
とも1個のフェニル基を有するモノオレフィンである。
フェニル基含有モノオレフィンは、式(i)、(ii)
または(iii):
【化11】
【化12】
【化13】 [式中、R11は水素またはアルキル基であり、R12は水
素、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、
カルボキシル基またはエステル基であり、Phはフェニ
レン基であり、m=0または1、n=0〜3の整数、l=
0〜5の整数である。]であってよい。
【0023】フェニル基含有モノオレフィン(i)とし
ては、2−フェニル−1−プロペン(α−メチルスチレ
ン)、2−フェニル−1−ブテン等が挙げられる。フェ
ニル基含有モノオレフィン(ii)としては、2,4−
ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、3,5−ジフ
ェニル−5−メチル−2−へプテン、2,4,6−トリ
フェニル−4,6−ジメチル−1−へプテン、3,5,
7−トリフェニル−5−エチル−7−メチル−2−ノネ
ン等が挙げられる。フェニル基含有モノオレフィン(i
ii)としては、1,3−ジフェニル−1−ブテン、
2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、3,
5−ジフェニル−5−メチル−3−へプテン等が挙げら
れる。2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン
が好ましい。重合遅延剤(F)の添加量は、成分(A)
〜(D)の合計100重量部に対して0〜30重量部、
より好ましくは0.1重量部〜20重量部、特に好まし
くは1重量部〜10重量部が望ましい。
【0024】また、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤又
は外部もしくは内部離型剤等を添加することも実用上可
能である。また、メルカプト基を有する化合物に起因す
る臭気を抑えるために、テルペン等のマスキング剤を添
加することもできる。
【0025】本発明の硬化性組成物からプラスチックレ
ンズ等の透光部品を得るには、硬化性組成物を加熱、紫
外線照射、X線、電子線等の電離性放射線等により硬化
させてよいが、加熱、紫外線照射が好ましい。また、強
固な硬化物を得るために、ラジカル重合開始剤を用いて
もよい。
【0026】本発明に用いるラジカル重合開始剤(例え
ば、過酸化物、アゾ化合物)としては、過酸化ベンゾイ
ル、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルペルオキシヒバレート、ジイソプロピル
ペルオキシジシカーボネート、2,2’−アゾビス
(2,4−ジ メチルバレロニトリル)、2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−
アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル(2,
2’−アゾビス(イソブチレート))等が挙げられ、使
用に際しては単独又は混合して用いてもよい。これらの
ラジカル重合開始剤の使用量は、硬化性組成物100重
量部に対し0〜5重量部、例えば0.1〜4重量部でよ
い。
【0027】プラスチックレンズの製造は、次のように
して行うことができる。酸誘導体(A)、芳香族ジアリ
ル化合物(B)、脂肪族化合物(C)およびポリチオー
ル化合物(D)並びに、要すれば粘度調整剤(E)、重
合遅延剤(F)、重合開始剤、添加剤を混合、撹拌の
後、脱泡する。次いで得られた組成物を、窒素あるいは
空気の圧力で、モールドとガスケットから組み立てられ
た型に流し込む。重合は、20〜120℃で1時間〜4
8時間加熱して行い、離型をし、レンズが得られる。更
にレンズの外周を削ったり、汚れを洗浄する仕上げを行
ない製品が得られる。
【0028】本発明の硬化性組成物を用いるプラスチッ
クレンズの製造工程を以下に述べるが、これのみに限定
されるものではない。撹拌は、震盪機などを用いてシェ
イクしても良い。撹拌時間は、原料によって異なるが、
ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリ
スリトールテトラキスチオグリコレート、2,4−ジフ
ェニル−4−メチルペンテン及び2,2−アゾビスイソ
ブチロニトリルからなる系では、固体である2,2−ア
ゾビスイソブチロニトリルを十分に溶解させるために5
〜60分(例えば15分程度)である。
【0029】脱泡は、通常減圧下で時々振とうして溶解
している空気を追い出す。脱泡を怠ると、成型品に微少
な泡が多数発生して製品不良の原因になることがある。
500mlの立方体で上記の系では、5〜60分(例え
ば15分程度)である。注入する型は、カーブの異なる
ガラスモールドを平行に配置し、それを適当な樹脂でで
きたリング状のガスケットで支えられている。リングに
は、適当な注入可能部分があり、注入針のついている注
入器を使用して組成物を注入する。
【0030】重合は、常温から最高120℃付近まで徐
々に温度を上昇させて行う。ただし、重合開始剤の半減
期を考慮して温度の上昇速度は、重合時間とともに早く
させることが好ましい。離型工程では、重合完了後、6
0℃程度にまで冷却したガラスモールドとガスケットを
分解して取り外す。仕上げでは、製品レンズの外周を削
り取り大きさを整え、また表面汚物を除去する。
【0031】本発明の硬化性組成物から製造されるプラ
スチックレンズは、プラスチックレンズ材料からなる基
材の上に、反射防止膜を有していてよい。反射防止膜
は、一般に、1〜10個の層からなる。それぞれの層
は、例えば酸化物(例えば酸化亜鉛、酸化けい素、酸化
ジルコニウム、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化タン
グステンのような酸化金属)からなってよい。最上層
は、蒸着法(例えば、真空蒸着法)、熱硬化法などによ
って形成できる。
【0032】
【実施例】以下、実施例、比較例によって本発明を具体
的に説明する。なお例中、組成(部)はいずれも重量単
位である。例における測定は次のように行った。 無色透明性…注型重合により得た硬化樹脂の着色度合等
を目視により判定した。 屈折率及びアッベ数…アッベの屈折率計(アタゴ社製)
を用い、中間液としてアルファブロモナフタリンを用い
て測定した。 熱変形温度…(株)東洋精機製作所製、ヒートデストー
ションテスターS3−FHを用い、JIS K−7207に
従い行った。
【0033】耐衝撃性…米国FDA規格のドロップボー
ルテスト、すなわち5/8インチの直径を有する16.
2gの鋼球をレンズ上方50インチ(127cm)の高
さから落下させる方法で行い、レンズが割れない場合、
合格とした。
【0034】実施例1 トリアリルイソシアヌレート8.1部、ジアリルイソフ
タレート19.9部、ジペンタエリスリトールヘキサア
クリレート37.3部、ペンタエリスリトールテトラキ
スチオグリコレート34.8部と2,4−ジフェニル−
4−メチル−1−ペンテン2部と1,1’−アゾビス
(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)0.3部の混
合物を2枚のガラス型中に注入し、恒温槽中に入れ、4
0℃から120℃まで20時間かけて徐々に昇温加熱し
た。得られた硬化樹脂を離型した後、さらに120℃で
1時間加熱して後重合を行った。この硬化樹脂は無色透
明で、屈折率1.56、アッベ数45、熱変形温度76
℃であった。注型重合により得られた中心厚み約1.4
mmのマイナス2ジオプターのレンズを用いて、シリコ
ン系のハードコート処理に続いて二酸化ケイ素、酸化ジ
ルコニム層、二酸化ケイ素層、酸化ジルコニウム層、二
酸化ケイ素層の順に真空蒸着を行い、反射防止膜を施
し、耐衝撃性テストを行った。レンズが割れない事(合
格)を確認した。
【0035】実施例2〜4 表1に示す組成の混合物を実施例1と同様に注型重合を
行い、硬化樹脂の物性を測定した。その結果を表2に示
す。
【0036】
【表1】
【0037】TAIC:トリアリルイソシアヌレート TAC:トリアリルシアヌレート DAIP:ジアリルイソフタレート DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート PETG:ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレー
ト PETP:ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネ
ート TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート AMSD:2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン 2ME:2−メルカプトエタノール AAPE:1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェ
ニルエタン)
【0038】
【表2】
【0039】比較例1 ジアリルイソフタレート53.2部、ペンタエリスリト
ールテトラキスチオグリコレート46.8部とアゾビス
イソブチロニトリル0.2部の混合物を実施例1と同様
に注型重合を行い、無色透明な硬化樹脂を得たが、軟ら
かくゴム状で容易に塑性変形し、レンズとして不適合な
ものであった。アゾビスイソブチロニトリルを1.0部
と多くした場合も同様に軟らかく、レンズとして適さな
いものであった。
【0040】比較例2 ジアリルイソフタレート6.4部、ジエチレングリコー
ルジメタクリレート48.8部、ペンタエリスリトール
テトラキスチオグリコレート48.8部とアゾビスイソ
ブチロニトリル0.2部の混合物を実施例1と同様に注
型重合を行い、屈折率1.555の無色透明な硬化樹脂
を得たが、アッべ数が40、熱変形温度が54℃とそれ
ぞれ低く、レンズとして不適合なものであった。アゾビ
スイソブチロニトリルを1.0部と多くした場合も同様
であった。
【0041】比較例3 ジエチレングリコールビスアリルカーボネート100
部、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート3.5部
を混合し、実施例1と同様に注型重合を行い、諸物性を
測定した。この樹脂に反射防止膜を同様に施したレンズ
の耐衝撃性は、前記鋼球を30cmの高さから落下させ
た場合にも割れるという低いものであった。
【0042】
【発明の効果】本発明の硬化性組成物の調合が常温でお
こなうことができ、混合液(即ち、硬化性組成物)が低
粘度で12時間以上維持され作業性が良い。硬化性組成
物から製造された硬化物は、1.55以上の屈折率及び
高いアッベ数を有し、光学的な透明性、耐溶剤性、耐衝
撃性及び耐光性に優れている。特に反射防止処理を施し
た後においても耐衝撃性に優れているのは大きな特徴で
ある。また、硬化物にハードコート、染色、研磨等の加
工も容易に行えるので、硬化性組成物は、眼鏡レンズ、
カメラレンズ、光学機器等の用途に有用である。また、
硬化性組成物は、着色フィルター、接着剤、コーティン
グ剤にも用いる事ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 正吉 兵庫県尼崎市大高洲町9番地 ダイソー株 式会社内 (72)発明者 松尾 孝 兵庫県尼崎市大高洲町9番地 ダイソー株 式会社内 (72)発明者 横山 勝敏 兵庫県尼崎市大高洲町9番地 ダイソー株 式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)シアヌル酸若しくはイソシアヌル
    酸、又はこれらに存在する全ての酸素原子を硫黄原子で
    置換した化合物から選択された化合物に存在するすべて
    の水素原子を、式(1): 【化1】 [式中、aは0〜2の整数、bは0または1、cは0ま
    たは1、dは0または1であり、Rは不飽和官能基であ
    る。]の有機基にて置換してなる少なくとも一種の酸誘
    導体、(B)少なくとも一種の芳香族ジアリル化合物、
    (C)1分子中に少なくとも4個以上の(メタ)アクリ
    ル基を有する少なくとも一種の脂肪族化合物、および
    (D)1分子中に少なくとも2個以上のメルカプト基を
    有する少なくとも一種のポリチオール化合物からなる硬
    化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 酸誘導体(A)3〜30重量%、芳香族
    ジアリル化合物(B)1〜50重量%、脂肪族化合物
    (C)10〜60重量%、ポリチオール化合物(D)2
    0〜70重量%である請求項1記載の硬化性樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 酸誘導体(A)3〜10重量%、芳香族
    ジアリル化合物(B)3〜30重量%、脂肪族化合物
    (C)20〜50重量%、ポリチオール化合物(D)3
    0〜55重量%である請求項1記載の硬化性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 酸誘導体(A)の不飽和官能基Rが、ア
    リル基、メタリル基、アクリロイル基、メタクリロイル
    基から選ばれる少なくとも一種の官能基である請求項1
    〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 酸誘導体(A)の不飽和官能基Rが、ア
    リル基である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹
    脂組成物。
  6. 【請求項6】 酸誘導体(A)がトリアリルシアヌレー
    ト若しくはトリアリルイソシアヌレートである請求項1
    〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 芳香族ジアリル化合物(B)が、ジアリ
    ルオルソフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリ
    ルテレフタレートから選ばれる少なくとも一種の化合物
    である請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成
    物。
  8. 【請求項8】 芳香族ジアリル化合物(B)がジアリル
    イソフタレートである請求項1〜6のいずれかに記載の
    硬化性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 脂肪族化合物(C)が、一分子中に少な
    くとも一つのペンタエリスリトール骨格を有する少なく
    とも一種の化合物である請求項1〜8のいずれかに記載
    の硬化性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 脂肪族化合物(C)が、ジペンタエリ
    スリトールから誘導された少なくとも一種の化合物であ
    る請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 脂肪族化合物(C)が、ジペンタエリ
    スリトールテトラ(メタ)アクリレート若しくはジペン
    タエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである請
    求項1〜8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 ポリチオール化合物(D)のメルカプ
    ト基の数が、2〜6個である請求項1〜11のいずれか
    に記載の硬化性樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 ポリチオール化合物(D)が、一般式
    (2)、(3)、(4)または(5): 【化2】 【化3】 [式中、R1はCH3またはCH3CH2を表し、R2はC
    2またはCH2CH2を表す。] 【化4】 [式中、R3はHまたはCH3を表し、R4はCH2または
    CH2CH2を表し、mおよびnはm+n=6を満たす整
    数であってnは2以上を表す。] 【化5】 [式中、R5は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。]
    から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜11のい
    ずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 4官能未満の(メタ)アクリル酸エス
    テルからなる粘度調整剤(E)をさらに添加してなる請
    求項1〜13のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 重合遅延剤(F)をさらに添加してな
    る請求項1〜14のいずれかに記載の硬化性樹脂組成
    物。
  16. 【請求項16】 重合遅延剤(F)が、2,4−ジフェ
    ニル−4−メチル−1−ペンテンである請求項15記載
    の硬化性樹脂組成物。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のいずれかに記載の硬
    化性樹脂組成物を硬化してなるプラスチックレンズ。
  18. 【請求項18】 反射防止膜処理を施した請求項17記
    載のプラスチックレンズ。
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