JP2000038910A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

内燃機関の可変動弁装置

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JP2000038910A
JP2000038910A JP10281479A JP28147998A JP2000038910A JP 2000038910 A JP2000038910 A JP 2000038910A JP 10281479 A JP10281479 A JP 10281479A JP 28147998 A JP28147998 A JP 28147998A JP 2000038910 A JP2000038910 A JP 2000038910A
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誠之助 原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低速低負荷時にスワールを強化して燃費並び
に燃焼性能を改善するとともに、高速高負荷時に吸気充
填効率を向上し、最大出力の向上を図る。 【解決手段】 カムシャフト3が回転すると、駆動カム
4及び駆動力伝達機構Lを介して揺動カム8が揺動し、
吸気弁10が上下動する。また、制御シャフト12を回
動すると、制御カム13を介して駆動力伝達機構Lの姿
勢が変化し、開閉時期及びリフト量が連続的に変化す
る。このような可変動弁装置1を、各気筒に設けられる
一対の吸気弁10にそれぞれ設ける。両可変動弁装置1
の制御カム13の位相並びに偏心量を互いに異ならせる
ことで、一方の吸気弁10を、弁停止状態から他方の吸
気弁10と同等の最大リフト量まで連続的に変化させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、吸・排気弁の開
閉時期及びリフト量を連続的に変えることができる内燃
機関の可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等に用いられる内燃機関では、従
来から、低速低負荷時での燃費や燃焼性能の向上を図る
とともに、高速高負荷時での吸気充填効率を向上させて
十分な最大出力を得るために、吸・排気弁の開閉時期と
リフト量とを機関の運転状態に応じて可変制御する可変
動弁装置が提案されている。
【0003】一例として、特開昭62−3113号公報
には、1気筒当たり2つの吸気弁に、それぞれ可変動弁
機構を設けた構造が開示されている。図12,13を参
照して詳述すると、カムシャフト102の外周にはカム
103が設けられており、カムシャフト102の回転に
伴って、カム103に接触するロッカアーム104が揺
動し、各吸気弁101を開閉作動させるようになってい
る。
【0004】一方、ロッカアーム104の背面にはレバ
ー105が設けられ、ロッカアーム104とレバー10
5との接触点がロッカアーム104の揺動支点となって
いる。このレバー105には、制御シャフト106の外
周に設けられた制御カム107が接触している。そし
て、制御シャフト106を回転制御することにより上記
接触点を変化させて、吸気弁101のリフト量及び開閉
時期を段階的に変化させるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報の従来例では、制御カム107が多段式であるため、
カム面の乗り換え時にトルク変動を生じたり燃焼が不安
定になる虞がある。このような問題を防ぐために、この
公報の例では、図13に示すように、制御カム107を
付勢するスプリング108を設けて、乗り換え時間の速
度アップを図っているが、それでも上記の悪影響を無く
すことはできない。
【0006】また、一気筒に設けられる一対の吸気弁の
リフト中心角に位相差を設けて、特に低速低負荷時にお
けるスワールの強化を図っているが、この場合でも、位
相遅れ側の吸気弁101の開弁により吸入される混合気
の流れにより、スワールが弱められてしまう。すなわ
ち、一方のリフトの大きい吸気ポートから導入された吸
気スワールが、他方のリフトの小さい吸気ポートに指向
するため、当該吸気ポートから流入した吸気と衝突して
しまうことによりスワールが弱くなってしまう。加え
て、全開出力時においても2つの吸気弁に位相差が存在
するため、一方の吸気弁のリフト量が小さくなるととも
に開弁期間が短くなってしまい、十分な吸気充填効率が
得られないという問題点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題に鑑
みてなされたもので、請求項1記載の発明は、吸気側あ
るいは排気側に1気筒当たり2つ設けられた機関弁と、
機関の回転に同期して回転するカムシャフトの外周に設
けられた駆動カムと、上記カムシャフトと平行に配置さ
れた制御シャフトの外周に設けられた制御カムと、一方
の機関弁に接触し、この機関弁を開閉する揺動カムと、
上記駆動カムと上記揺動カムとの間に介装され、上記カ
ムシャフトの回動に伴って上記揺動カムを揺動させる駆
動力伝達機構と、上記制御シャフトの回動に伴って、上
記制御カムを介して上記駆動力伝達機構の姿勢を変化さ
せて、少なくとも上記一方の機関弁の開閉時期とリフト
量とを連続的に可変制御する可変動弁機構とを備え、上
記一対の機関弁を、略同一の最大リフトから最小リフト
に可変制御する際に、該各機関弁の互いの相対的なリフ
ト変化量あるいは開弁時期を可変制御したことを特徴と
している。
【0008】この発明によれば、基本的には、吸気弁ま
たは排気弁の開閉時期とリフト量とが連続的に変化する
ため、上記従来例のように、カム面の乗り換え時にトル
ク変動を生じたり燃焼が不安定になる虞はない。
【0009】また、最大リフト制御時(全開出力時)に
は、両機関弁を同一のリフト量に設定し、最小リフト制
御に移行するにしたがって、両機関弁のリフト量または
開弁時期の差を相対的に増大させるため、全開出力時に
おける吸気充填効率の大巾な向上が図れる。
【0010】請求項2記載の発明は、一方の機関弁を、
弁停止状態から他方の機関弁と略同等の最大リフト量ま
で可変制御することを特徴としている。
【0011】また、請求項3の発明は、一方の機関弁
を、弁停止状態から他方の機関弁と略同等の開閉時期ま
で可変制御することを特徴としている。
【0012】請求項4記載の発明は、一方の機関弁を、
弁停止状態から他方の機関弁と略同等の最大リフト量並
びに開閉時期まで可変制御することを特徴としている。
【0013】このような請求項2〜4の発明を吸気弁に
適用した場合は、低速低負荷時に片弁停止状態とするこ
とによって、スワールを強化して燃費並びに燃焼性能を
改善できるとともに、高速高負荷時には両方の吸気弁の
最大リフト量(開閉時期)を略同一にすることによっ
て、リフト量(開弁期間)の拡大により吸気充填効率を
向上し、その最大出力を向上することができる。
【0014】また、請求項2〜4の発明を排気弁に適用
した場合には、冷機始動時に片弁停止状態とすることに
よって、排気弁周りからの放熱量を減らし、排気温度を
効果的に高めることができ、触媒の早期活性化が可能と
なる。
【0015】本発明を更に具体化した請求項5の発明
は、上記一方の機関弁に第1の可変動弁機構を設けると
ともに、他方の機関弁に第2の可変動弁機構を設け、上
記第1の可変動弁機構の制御カムは、第2の可変動弁機
構の制御カムに比して、制御シャフトに対する位相が相
対的に遅く設定されているとともに、制御シャフトに対
する偏心量が相対的に大きく設定されていることを特徴
としている。
【0016】このように、第1の可変動弁機構側の制御
シャフトの偏心量を相対的に大きくしている関係で、一
方の機関弁が他方の機関弁に比して、制御シャフトの回
動に伴う最大リフト量の変化率が大きくなる。この結
果、一方の機関弁を弁停止状態から他方の機関弁と略同
等の最大リフト量まで連続的に変化させることができ
る。
【0017】本発明を更に具体化した請求項6の発明
は、一方の機関弁に第1の可変動弁機構を設けるととも
に、他方の機関弁に第2の可変動弁機構を設け、第1の
可変動弁機構の制御カムは、第2の可変動弁機構の制御
カムに比して、制御シャフトに対する位相が相対的に遅
く設定され、かつ、第1の可変動弁機構の揺動カムは、
第2の可変動弁機構の揺動カムに比して、リフト加速度
が相対的に大きく設定されていることを特徴としてい
る。
【0018】このように、第1の可変動弁機構側のリフ
ト加速度を相対的に大きくしている関係で、一方の機関
弁が他方の機関弁に比して、制御シャフトの回動に伴う
最大リフト量の変化率が大きくなる。この結果、一方の
機関弁を弁停止状態から他方の機関弁と略同等の最大リ
フト量まで連続的に変化させることができる。
【0019】
【発明の効果】この発明を吸気弁側に適用した場合、請
求項1記載の発明によれば、最大リフト制御時には、両
吸気弁を同一のリフト量に設定し、最小リフト制御に移
行するにしたがって両吸気弁のリフト量または開弁時期
の差を相対的に増大させるようにしたため、全開出力時
における吸気充填効率の大巾な向上が図れると共に、最
大リフトから最小リフトまでの全域に亘りスワールによ
る燃焼改善が図れる。
【0020】請求項2記載の発明によれば、低速低負荷
時に片弁停止状態とすることによって、スワールを強化
して燃費並びに燃焼性能を改善できるとともに、高速高
負荷時には両方の吸気弁の最大リフト量(開閉時期)を
略同一にすることによって、リフト量(開弁期間)の拡
大により吸気充填効率を向上し、その最大出力を向上す
ることができる。
【0021】また、請求項2の発明を排気弁に適用した
場合には、冷機始動時に片弁停止状態とすることによっ
て、排気弁周りからの放熱量を減らし、排気温度を効果
的に高めることができ、触媒の早期活性化が可能とな
る。
【0022】
【発明の実施の形態】まず、図1〜4を参照して、本発
明に係る可変動弁装置を、多気筒内燃機関における吸気
弁側に配設した例について説明する。
【0023】図2,3に示すように、各気筒には一対の
吸気弁10(10A,10B)並びに図外の一対の排気
弁が配設されており、各吸気弁10と、図外のクランク
シャフトと同期して回転する吸気弁側のカムシャフト3
との間に、可変動弁機構1(1A,1B)がそれぞれ設
けられている。
【0024】各可変動弁機構1は、図1にも示すよう
に、カムシャフト3の外周に圧入されて、軸心がカムシ
ャフト3の軸心と偏心した駆動カム4と、カムシャフト
3と平行に配置された制御シャフト12の外周に形成さ
れた制御カム13と、各吸気弁10の上端に設けられた
バルブリフター11の頂部11aに接触し、この吸気弁
10を開閉する揺動カム8と、制御カム13を介して駆
動カム4と揺動カム8との間に介装され、カムシャフト
3の回動に伴って揺動カム8を揺動させる駆動力伝達機
構Lと、を備えている。そして、制御シャフト12の回
動に伴って、制御カム13を介して駆動力伝達機構Lの
姿勢を変化させて、吸気弁10の開閉時期とリフト量と
を連続的に可変制御するようになっている。
【0025】なお、これら一対の可変動弁機構1は、車
両搭載性を考慮して、図2に示すように、カムブラケッ
ト7を挟んでカムシャフト直交面に対して略対称に配置
されている。
【0026】各部の構成を詳述すると、カムシャフト3
は、シリンダヘッド2の上端とカムブラケット7(7
b)とにより回動可能に支持されており、駆動カム4と
一体に回転する。制御シャフト12は、カムシャフト3
の上方位置で、カムブラケット7(7a,7b)にボル
ト6を介して回動可能に支持されており、制御カム13
と一体に所定の角度範囲内で回転する。
【0027】駆動力伝達機構Lは、多節リンク機構で構
成され、円環状の基部5aで駆動カム4の外周に回動可
能に嵌合するリンクアーム5と、このリンクアーム5と
ピン15を介して相対回転可能に連結されるとともに、
制御カム13の外周に揺動可能に嵌合するロッカアーム
14と、一端17aでロッカアーム14とピン16を介
して相対回転可能に連結されるとともに、他端17bで
揺動カム8に相対回転可能に連結するリンク部材17
と、を備えている。
【0028】すなわち、ピン15は、リンクアーム5の
先端5bに形成された嵌合穴5cとロッカアーム14の
一端14cに形成された嵌合穴14eとを挿通してお
り、その両端部に抜け止め用の止め輪20が取り付けら
れている。ピン16は、ロッカアーム14の他端14d
に形成された嵌合穴14fとリンク部材17の一端17
aに形成された嵌合穴17cとを挿通しており、その両
端部に抜け止め用の止め輪21が取り付けられている。
ピン18は、リンク部材17の他端17bに形成された
嵌合穴17dと揺動カム8の先端8cに形成された嵌合
穴8dとを挿通しており、その両端部に抜け止め用の止
め輪22が取り付けられている。
【0029】ロッカアーム14は、図2に示すように、
その一端14cと他端14dとが制御シャフト12の軸
方向にオフセットしている。これにより、リンクアーム
5とリンク部材17との干渉を回避しつつ、駆動力伝達
機構Lの幅方向スペースを効果的に低減している。
【0030】揺動カム8は、図4に示すように、カムシ
ャフト3の外周に回動可能に嵌合する嵌合穴8aが形成
されるとともに、その先端8cに上記のピン18が挿通
する嵌合穴8dが形成されており、かつ、バルブリフタ
ー11の頂部11aに摺接する外周面が適宜なカム面8
bに形成されている。すなわちカム面8bは、吸気弁1
0がスムーズに昇降するように、リフト量が零となるベ
ースサークル部8eと、吸気弁10をリフトさせるリフ
ト部8fとが滑らかに連続形成されている。
【0031】制御シャフト12は、アクチュエータ31
に連繋されており、このアクチュエータ31によって回
動させられる。アクチュエータ31は、内燃機関の運転
状態を検知するコントローラ(制御手段)32によって
作動制御される。コントローラ32は、クランク角セン
サ,エアフローメータ,水温センサ等の各種センサから
の検知信号に基づいて機関の運転状態を算出し、その結
果に基づいてアクチュエータ31に制御信号を出力して
いる。
【0032】なお、吸気弁10の上部に設けられたバル
ブリフター11は、シリンダヘッド2に形成されたガイ
ド穴2aに沿って上下動するようになっており、図外の
バルブスプリングによって揺動カム8側に付勢されてい
る。
【0033】このような構成により、カムシャフト3が
内燃機関の回転に同期して回転すると、駆動カム4を介
してリンクアーム5がカムシャフト3の中心軸に対して
偏心動し、このリンクアーム5に連結するロッカアーム
14が制御カム13を中心に揺動する。これにより、ロ
ッカアーム14にリンク部材17を介して連繋された揺
動カム8がカムシャフト3を中心に揺動する。そして、
揺動する揺動カム8のカム面8bがバルブリフター11
の頂部11aに摺接し、図外のバルブスプリングによっ
て図1中上方に付勢されたバルブリフター11を上下動
させて、吸気弁10が開閉する。
【0034】また、アクチュエータ31により制御シャ
フト12を所定の角度範囲内で回動させると、ロッカア
ーム14の揺動中心となる制御カム13が制御シャフト
12の軸心に対して偏心動し、駆動力伝達機構Lの姿勢
が変化する。具体的には、ロッカアーム14の揺動中心
と揺動カム8の揺動中心との距離が連続的に変化する。
この結果、リンク部材17を介してロッカアーム14に
連繋された揺動カム8が揺動させられ、揺動カム8の作
動開始位置(初期位置)が変化することになり、吸気弁
10の開閉時期やリフト量が連続的に変化する。
【0035】例えば、図1の状態で制御シャフト12を
時計回りに回動させると、ロッカアーム14の揺動中心
となる制御カム13が、揺動カム8の揺動中心となるカ
ムシャフト3側に接近し、かつ、駆動力伝達機構Lを介
して揺動カム8が時計回りに回転する。つまり、揺動カ
ム8の位相が予め進んだ状態となり、吸気弁10の開弁
時期が早まる。また、カムシャフト3の回転に伴う揺動
カム8の揺動角度(範囲)は変わらないため、その最大
リフト量は大きくなる。
【0036】このように、制御シャフト12の回動に応
じて吸気弁10の開閉時期やリフト量が連続的に変化す
るため、上記従来例のようにカム面の乗り換え時にトル
ク変動を生じたり燃焼が不安定になる虞はない。
【0037】次に、図5〜7を参照して、本発明の内燃
機関の可変動弁装置の第1実施例を詳述する。
【0038】この実施例では、各気筒に設けられる一対
の吸気弁10に対し、一方の第1吸気弁10A側に設け
られる第1可変動弁機構1Aと、他方の第2吸気弁10
B側に設けられる第2可変動弁機構1Bとで、制御カム
シャフト13A,13Bが互いに異なる位相並びに偏心
量に形成されている。なお、これ以外の構造は、両機構
1A,1Bともに、図1〜4を参照して上述した可変動
弁機構1と同じである。
【0039】図5(A)は第1可変動弁機構1Aの第1
制御カム13Aを示し、図5(B)は第2可変動弁機構
1Bの第2制御カム13Bを示している。同図から明ら
かなように、ロッカアーム14の揺動中心となる第1制
御カム13Aの軸心X1は、第2制御カム13Bの軸心
X2に比し、制御シャフト12の軸心Pに対する位相が
角度θaだけ相対的に遅く設定されるとともに、制御シ
ャフト12の軸心Pに対する偏心量が相対的に大きく設
定されている(e1>e2)。なお、θbは制御シャフ
ト12の回転角度範囲(制御範囲)を示している。
【0040】図6(A)は、第1可変動弁機構1Aの駆
動力伝達機構を模式的に示しており、図6(B)は、第
2可変動弁機構1Bの駆動力伝達機構を模式的に示して
いる。同図において、連結点X(X1,X2,X1’,
X2’)は、ロッカアーム14の揺動中心となる制御カ
ム13A,13Bの軸心を示している。また、連結点Y
は、揺動カム8の揺動中心となるカムシャフト3の軸心
を示している。また、連結点Z(Z1,Z2,Z1’,
Z2’)は、揺動カム8とリンク部材17との連結支点
となるピン18の軸心を示している。
【0041】制御カム13が最も反時計方向に位置する
状態においては、第1可変動弁機構1Aにおける連結点
X1と連結点Yとの距離L1が、第2可変動弁機構1B
における連結点X2と連結点Yとの距離L2よりも大き
く設定されている。このため、リフト弁傾斜方向に対す
る連結点Zのなす位相は、第1可変動弁機構1A側の位
相α1が第2可変動弁機構1Bの位相α2よりも小さく
なる。つまり、第1可変動弁機構1A側の揺動カム8の
位相が相対的に遅れている形となる。この結果、第1吸
気弁10Aの開弁時期が相対的に遅くなり、かつ、リフ
ト量が相対的に小さくなる。
【0042】図7は、制御シャフト12の回転角度と第
1吸気弁10A及び第2吸気弁10Bの最大リフト量と
の関係を示している。上記のように制御カム13が最も
反時計方向に位置する回転角度γaの状態では、第1吸
気弁10Aは、リフト量が0で、弁停止状態となってい
る。一方、第2吸気弁10Bは、所定のリフト量を有
し、カムシャフト3の回転に対応して開閉作動する。す
なわち、片弁停止状態となっている。
【0043】言い換えると、制御シャフト12が回転角
度γaのとき、第1吸気弁10Aが弁停止状態となるよ
うに、第1制御カム13Aの位相を予め第2制御カム1
3Bの位相に対して角度θaだけ遅く設定している。
【0044】この状態から制御シャフト12を時計回り
に回転させると、図5,6において連結点Xが連結点
X’側へ徐々に移行し、これに従って揺動カム中心Yと
の距離L1,L2が徐々に短くなっていく。ここで第1
制御カム13Aの偏心量e1が第2制御カム13Bの偏
心量e2よりも大きい関係で、第1可変動弁機構1Aの
距離L1の変化率が第2可変動弁機構1Bの距離L2の
変化率よりも大きくなる。また、第1可変動弁機構1A
のバルブ傾斜方向に対する連結点Zの位相の変化率が第
2可変動弁機構1B側に比して相対的に大きくなる。こ
の結果、第2吸気弁10Bに比して第1吸気弁10Aの
バルブ開閉時期及びリフト量の変化率が大きくなる(図
7参照)。
【0045】そして、制御シャフト12が最も時計方向
へ回動した回転角度γb(図7)の状態では、図6に示
すように、第1可変動弁機構1A側の連結点X1’,Y
間距離L1’と第2可変動弁機構1B側の連結点X
2’,Y間距離L2’とが等しくなるように設定されて
いる。この結果、図7に示すように、第1吸気弁10A
の最大リフト量と第2吸気弁10Bの最大リフト量とが
等しくなり、かつ、第1可変動弁機構1Aの連結点Z
1’の位相β1と第2可変動弁機構1Bの連結点Z2’
の位相β2とが略等しくなる。つまり制御シャフト12
の回転角度に応じて、第1吸気弁10Aを弁停止状態か
ら第2吸気弁10Bと同等の最大リフト量まで連続的に
変化させている。
【0046】このように、一対の吸気弁10A,10B
側に可変動弁機構1A,1Bを適用した場合、低速低負
荷時に片弁停止状態とすることにより、スワールを強化
して燃費並びに燃焼性能を改善できるとともに、高速高
負荷時には両方の吸気弁10A,10Bの最大リフト量
を等しくすることで、最大リフト量の拡大により吸気充
填効率を向上し、全開出力の向上を図ることができる。
【0047】また、本実施例では、一対の吸気弁10
A,10Bに対し、制御カム13A,13Bを除いて全
く同一の可変動弁機構1を使用しており、構造の簡素化
やコストの低減化が図られている。
【0048】さらに本実施例では、駆動力伝達機構Lを
多節リンクによって構成したため、駆動カム4の偏心回
転力をリンクアーム5からロッカアーム14へ確実に伝
達できると共に、該ロッカアーム14の揺動力をリンク
部材17から揺動カム8へ確実に伝達することができ
る。この結果、揺動カム8によりバルブリフター11を
介して吸気弁10A,10Bの安定かつ確実な開閉作動
およびバルブタイミング制御が得られるなお、上記の可
変動弁装置を排気弁側に使用することもでき、この場合
には、冷機始動時に片弁を休止させることで、排気弁周
りからの放熱量を減らし、排温を向上させることがで
き、触媒の早期活性化が可能となる。
【0049】ところで、上記実施例では、図7に示すよ
うに、制御シャフト12が回転角度γbの状態で、両装
置1A,1Bの最大リフト量が同一となるように設定し
ているものの、この状態で、図5,6に示すように、第
1可変動弁機構1Aの連結点X1′と第2可変動弁機構
1Bの連結点X2’との軸方向位置は必ずしも同一とな
らず、この場合、第1吸気弁10Aと第2吸気弁10B
との開閉時期は互いに異なることになる。このことか
ら、中速トルクの向上を狙う場合には上記実施例のよう
に最大リフト量が同一になるように設定すればよく、吸
・排気の脈動効果の大きい高回転での高出力を狙う場合
には、上記実施例とは逆に、開閉時期が同一となるよう
に設定すればよい。
【0050】なお、この実施例では図7に示すように制
御シャフト12の制御範囲θbを規制しているが、これ
は、あまり制御範囲を大きく設定すると、揺動カム8の
はね上がり量が大きくなってしまい、制御シャフト12
を揺動カム8と干渉しないように更に上方へ配置しなく
てはならない場合が発生するためである。逆に言えば、
エンジンレイアウトの関係で上方スペースに余裕がある
場合には、両吸気弁10A,10Bがともに停止状態と
なる回転角度γc(図7)まで制御シャフト12の制御
範囲を拡大してもかまわない。
【0051】また、本実施例では、一対の吸気弁10
A,10Bに対して第1吸気弁10Aを片弁停止状態と
したが、必ずしも停止状態にする必要がなく、機関の運
転状態によっては多少の開閉作動を行わせてもよい。
【0052】図8は、本発明の第2実施例を示してい
る。ここでは、第1実施例のように第1制御カム13A
と第2制御カム13Bとの偏心量を互いに異ならせる代
わりに、揺動カム8のカム面8bのプロフィールを、第
1吸気弁10A側と第2吸気弁10B側とで互いに異な
らせることによって、揺動カム8によるバルブリフトの
加速度パターンを変化させている。具体的には、位相の
遅れ側の第1可変動弁機構1Aの揺動カム8のリフト加
速度を、第2可変動弁機構1B側に比して相対的に大き
く設定している。これにより、制御シャフト12の回動
に伴う第1吸気弁10Aのリフト変化率が相対的に大き
くなり、上記第1実施例と同様の効果を得ることが出来
る。加えて、2つの弁10A,10Bでカムプロフィー
ルを変えることができるので、例えば両方の弁10A,
10Bで最大リフト量と開閉時期の両方を合わせること
も可能である。
【0053】図9は本発明の第3実施例を示している。
ここでは、一方の第1吸気弁10A(又は排気弁)のみ
に上述したような可変動弁装置1を設け、他方の第2吸
気弁10B(又は排気弁)を通常の固定動弁としてい
る。そして、第1吸気弁10Aを、片弁停止状態から第
2吸気弁10Bと同等の最大リフト量まで可変制御して
いる。このように、高回転での出力向上を図るために、
両吸気弁10A,10Bの最大リフト量が一致するよう
に構成した場合、低速低負荷では固定動弁側の最大リフ
ト量が高くなってしまい、若干スワールが弱められてし
まうが、可変動弁装置1が上記第1,第2実施例の半分
ですみ、コスト的に有利である。
【0054】図10及び図11は本発明の第4実施例を
示し、両可変動弁機構1A,1Bの制御シャフト12や
外径の異なる各制御カム13A,13Bの構造は第1実
施例と同一であるが、異なるところは、駆動力伝達機構
Lのリンクアーム5とリンク部材17とを廃止したと共
に、駆動カム4,4と揺動カム8,8とをロッカアーム
14,14によって直接的に連係させたものである。
【0055】すなわち、各駆動カム4,4は、同一のプ
ロフィールを有する一般的な雨滴状を呈し、カムシャフ
ト3の外周に圧入固定されていると共に、バルブリフタ
ー11とは軸方向へ離間した位置に配置されて、干渉が
防止されている。
【0056】前記各揺動カム8は、両方とも同一の外形
を呈し、バルブリフター11に当接するカム面8bのカ
ムプロフィールは第1実施例と同様であって、ベースサ
ークル部8eとリフト部8fが滑らかな連続状態に形成
されているが、その上端部の上面8gがカム面8bのベ
ースサークル部8eからリフト部8f側へ立上り傾斜状
に広面積に形成されている。
【0057】上記各ロッカアーム14は、同じ外形で略
く字形状に折曲形成され、一端部14cが駆動カム4の
外周面に当接している一方、他端部14dが揺動カム8
の上端部上面8gに当接している。
【0058】したがって、各駆動カム4の回転に伴い各
ロッカアーム14は、一端部14cを介して駆動カム4
のカムプロフィールにしたがった揺動力が伝達されて、
第1,第2制御カム13A,13Bを中心に揺動し、こ
の制御カム13A,Bによって他端部14dが揺動カム
8の上端部上面8gを直接押圧して揺動させる。これに
よって、各バルブリフター11を介して各吸気弁10,
10が開閉作動することになる。なお、P3,P4はそれ
ぞれ各制御カム13A,13Bの軸心である。
【0059】また、機関低中回転低中負荷域では、制御
シャフト12が図10に示す位置に回転制御されて、各
制御カム13A,13Bによりロッカアーム14を、図
示のように右上方向位置に移動させる。これによって、
各揺動カム8はロッカアーム14により、カム面8bの
バルブリフター11当接位置がベースサークル部8e側
に寄り、したがって、各吸気弁10,10は、小バルブ
リフト特性となる。尚、図中実線及び一点鎖線は両可変
動弁機構1A,1Bの小バルブリフト制御時のベースサ
ークル状態を示している。
【0060】一方、機関高回転高負荷域に移行した場合
は、制御シャフト12が図11に示すように時計方向に
回転して各制御カム13A,Bを同方向へ回動させる。
このため、ロッカアーム14は、図示のようにカムシャ
フト3方向に移動して他端部14dが各揺動カム8を反
時計方向へその揺動位置を移動させて、各カム面8bの
各バルブリフター11当接位置をリフト部8f側に移動
させる。したがって、各吸気弁10,10は、大バルブ
リフト特性になる。尚、図11の実線と一点鎖線は両可
変動弁機構1A,1Bの大バルブリフト制御時のベース
サークル状態を示している。
【0061】他は、前記第1実施例と同様であるから、
同じ作用効果が得られることは勿論のこと、特に本実施
例では駆動力伝達機構Lのリンクアームとリンク部材を
廃止したため、構造が簡素化され、製造作業や組立作業
能率の大巾な向上が図れると共に、コストの低廉化が図
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関の可変動弁装置を示す要
部正面図。
【図2】図1の可変動弁装置を示す平面図。
【図3】図1の可変動弁装置を示す側面図。
【図4】図1の可変動弁装置の揺動カムを示す正面図。
【図5】本発明に係る可変動弁機構の第1実施例を示
し、(A)は第1制御カムの正面図、(B)は第2制御
カムの正面図。
【図6】(A)は第1可変動弁装置のリンク構造を示す
模式図、(B)は第2可変動弁装置のリンク構造を示す
模式図。
【図7】制御シャフトの回転角度と最大リフト量との関
係を示す特性図。
【図8】本発明の第2実施例に係る揺動カムの回転角度
と最大リフト量並びにリフト加速度との関係を示す特性
図。
【図9】本発明の第3実施例に係る制御シャフトと最大
リフト量との関係を示す模式図。
【図10】本発明の第4実施例を示す要部正面図。
【図11】同第4実施例の作用説明図。
【図12】従来の可変動弁装置を示す構造図。
【図13】図10の可変動弁装置の制御シャフト周りの
分解斜視図。
【符号の説明】
1…可変動弁装置 3…カムシャフト 4…駆動カム 8…揺動カム 10…吸気弁 11…バルブリフター 12…制御シャフト 13…制御カム 14…ロッカアーム L…駆動力伝達機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 信 神奈川県厚木市恩名1370番地 株式会社ユ ニシアジェックス内 (72)発明者 後藤 徹朗 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸気側あるいは排気側に1気筒当たり2
    つ設けられた機関弁と、 機関の回転に同期して回転するカムシャフトの外周に設
    けられた駆動カムと、 上記カムシャフトと平行に配置された制御シャフトの外
    周に設けられた制御カムと、 一方の機関弁に接触し、この機関弁を開閉する揺動カム
    と、 上記駆動カムと上記揺動カムとの間に介装され、上記カ
    ムシャフトの回動に伴って上記揺動カムを揺動させる駆
    動力伝達機構と、 上記制御シャフトの回動に伴って、上記制御カムを介し
    て上記駆動力伝達機構の姿勢を変化させて、少なくとも
    上記一方の機関弁の開閉時期とリフト量とを連続的に可
    変制御する可変動弁機構とを備え、 上記一対の機関弁を、略同一の最大リフトから最小リフ
    トに可変制御する際に、該各機関弁の互いの相対的なリ
    フト変化量あるいは開弁時期を可変制御したことを特徴
    とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 【請求項2】 吸気側あるいは排気側に1気筒当たり2
    つ設けられた機関弁と、 機関の回転に同期して回転するカムシャフトの外周に設
    けられた駆動カムと、 上記カムシャフトと平行に配置された制御シャフトの外
    周に設けられた制御カムと、 一方の機関弁に接触し、この機関弁を開閉する揺動カム
    と、 上記駆動カムと上記揺動カムとの間に介装され、上記カ
    ムシャフトの回動に伴って上記揺動カムを揺動させる駆
    動力伝達機構と、 上記制御シャフトの回動に伴って、上記制御カムを介し
    て上記駆動力伝達機構の姿勢を変化させて、少なくとも
    上記一方の機関弁の開閉時期とリフト量とを連続的に可
    変制御する可変動弁機構とを備え、 上記一方の機関弁を、弁停止状態から他方の機関弁と略
    同等の最大リフト量まで可変制御することを特徴とする
    内燃機関の可変動弁装置。
  3. 【請求項3】 吸気側あるいは排気側に1気筒当たり2
    つ設けられた機関弁と、 機関の回転に同期して回転するカムシャフトの外周に設
    けられた駆動カムと、 上記カムシャフトと平行に配置された制御シャフトの外
    周に設けられた制御カムと、 一方の機関弁に接触し、この機関弁を開閉する揺動カム
    と、 上記駆動カムと上記揺動カムとの間に介装され、上記カ
    ムシャフトの回動に伴って上記揺動カムを揺動させる駆
    動力伝達機構と、 上記制御シャフトの回動に伴って、上記制御カムを介し
    て上記駆動力伝達機構の姿勢を変化させて、少なくとも
    上記一方の機関弁の開閉時期とリフト量とを連続的に可
    変制御する可変動弁機構とを備えた内燃機関の可変動弁
    装置であって、 上記一方の機関弁を、弁停止状態から他方の機関弁と略
    同等の開閉時期まで可変制御することを特徴とする内燃
    機関の可変動弁装置。
  4. 【請求項4】 吸気側あるいは排気側に1気筒当たり2
    つ設けられた一対の機関弁と、 機関の回転に同期して回転するカムシャフトの外周に設
    けられた駆動カムと、 上記カムシャフトと平行に配置された制御シャフトの外
    周に設けられた制御カムと、 一方の機関弁に接触し、この機関弁を開閉する揺動カム
    と、 上記制御カムを介して上記駆動カムと上記揺動カムとの
    間に介装され、上記カムシャフトの回動に伴って上記揺
    動カムを揺動させる駆動力伝達機構と、を備え、 上記制御シャフトの回動に伴って、上記制御カムを介し
    て上記駆動力伝達機構の姿勢を変化させて、少なくとも
    上記一方の機関弁の開閉時期とリフト量とを連続的に可
    変制御する可変動弁機構とを備え、 上記一方の機関弁を、弁停止状態から他方の機関弁と略
    同等の最大リフト量並びに開閉時期まで可変制御するこ
    とを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  5. 【請求項5】 上記一方の機関弁に第1の可変動弁機構
    を設けるとともに、上記他方の機関弁に第2の可変動弁
    機構を設け、 上記第1の可変動弁機構の制御カムは、第2の可変動弁
    機構の制御カムに比して、上記制御シャフトに対する位
    相が相対的に遅く設定されているとともに、上記制御シ
    ャフトに対する偏心量が相対的に大きく設定されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃
    機関の可変動弁装置。
  6. 【請求項6】 上記一方の機関弁に第1の上記可変動弁
    機構をが設けるとともに、上記他方の機関弁に第2の上
    記可変動弁機構を設け、 上記第1の可変動弁機構の制御カムは、第2の可変動弁
    機構の制御カムに比して、上記制御シャフトに対する位
    相が相対的に遅く設定され、 かつ、上記第1の可変動弁機構の揺動カムは、上記第2
    の可変動弁機構の揺動カムに比して、リフト加速度が相
    対的に大きく設定されていることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の内燃機関の可変動弁装置。
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