JP2000038533A - ジェットプリンタ用溶剤系顔料インク - Google Patents

ジェットプリンタ用溶剤系顔料インク

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JP2000038533A
JP2000038533A JP20902298A JP20902298A JP2000038533A JP 2000038533 A JP2000038533 A JP 2000038533A JP 20902298 A JP20902298 A JP 20902298A JP 20902298 A JP20902298 A JP 20902298A JP 2000038533 A JP2000038533 A JP 2000038533A
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ink
pigment
printing
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dispersant
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Hideki Konishi
秀樹 小西
Koichiro Makita
幸一郎 槇田
Kazuo Sakai
和夫 坂井
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Fuji Pigment Co Ltd
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Fuji Pigment Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐光性や耐水性に優れる顔料を用い、浸透性材
料に高速で精細なジェットプリントが可能なインク組成
を開発することが本発明の目的である。 【構成】着色剤と有機分散媒体および分散剤を必須成分
とするジェットプリント用溶剤系顔料インクに着目し、
着色剤に特定の顔料を、分散媒体にオレイルアルコール
を、分散剤に有効な樹脂系化合物を用いることで、顔料
が微細粒子として分散してプリンタ内部の細隙通路を順
調に通過し、かつ長期の放置や保管において粒子が凝集
しない、ならびに印刷後に媒体がすみやかに浸透性材料
内に浸透してインクが滲むことなく固化するインク組成
を見出して目的を達成することができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は紙や木材等の浸透性材料
面にジェットプリンタで印刷する際の溶剤系顔料インク
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ジェットプリント方式の印刷技術
が開発され広く一般に利用されはじめた。種々の方式が
提案され実用化段階に到っているが、それらに共通する
のは微細なインク液滴を形成しつつ高速で噴射して対象
面にインクで像を作ることである。インクの着色剤とし
て染料は、各種媒体に溶解させうるので、均一な溶解状
態でのインクとして微細な液滴を形成しつつ噴射するの
に適している。しかし、染料は耐光性や耐水性に難点が
あり使用の局面に制約がある。一方、顔料は耐光性や耐
水性に優れているので好ましいが、それを溶解する媒体
がないため微細粒子の分散液として使用せざるをえな
い。印刷精度の要求からプリンタヘッドのノズルやノズ
ルに到るインクの供給路は微細であり、そこを通過する
顔料の粒子径はさらに微細であることと、使用時や保管
時に凝集したり沈降したりしてはならない、すなわち、
微細な分散状態が安定に保たれることが顔料インクにと
っての必須条件である。顔料インクはいくつかの分野で
実用に供されているが、ジェットプリントの過酷な条件
に耐えるような、顔料の安定な微細分散が難しいため当
該分野での顔料インクは未だ実用化されていない。実用
化されているのは染料系のみである。他の印刷法と同
様、より耐久性の、より精細な、より高速あるいはより
大面積の印刷が求められる以上、ジェットプリントにお
けるインクへの要求はより厳しくなる宿命にある。その
様な背景のなかでジェットプリンタ用の顔料インクが望
まれるのであるが、顔料の耐光性や耐水性は問題なく良
好なものの、水系分散ではインクの乾燥あるいは固化速
度が遅いため印刷直後の印刷像が接触によって乱れた
り、分散のための工夫があだになり印刷物の耐水性が劣
るので、非水系での顔料分散が好ましい。また非水系分
散媒のうち、揮発性溶剤は印刷後溶剤の蒸発による速や
かなインクの乾燥固化が期待できるが、印刷時等取扱い
時に揮発による組成の変化が起こりやすく不適当と考え
られる。難揮発性の溶剤で、印刷後に紙や木質の浸透性
対象面の内部に速やかに浸透してインクが固化するなら
ば、顔料が対象面表面で拡散したりあるいは接触により
印刷像が滲んだり乱れたりすることがなく精細な印刷が
可能と想定される。このことはプリントヘッドの微細部
分にインクが良く浸透して確実にインクが供給できるか
ということと同種の問題のようである。しかし、どのよ
うな分散媒が顔料や分散剤との関わりにおいて、安定な
微細分散とこのような良好な浸透流動性を兼備し、より
高速の印刷に対応できるかとの知見は皆無のようであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】顔料の微細な安定分散
とインクの浸透流動性をともに確保する、非水系の分散
媒に顔料を微細分散したジェットプリンタ用顔料インク
の開発。
【0004】
【課題を解決するための手段】新規のインク組成や配合
比の選択により目的達成を期する。
【0005】非水系の分散媒に顔料を微細分散したジェ
ットプリンタ用顔料インクの開発を目指す場合、対象と
して最適のジェットプリント方式はインクの微細液滴化
と噴射をピエゾ素子で行うピエゾ方式であるので、その
方式を例にして本発明の内容をより詳細に述べることに
する。ピエゾ方式では電気振動を力学振動に変換してイ
ンクに伝え、インクをノズルの微細な複数の孔から対象
面に向けて微細液滴として噴射する。微細液滴の噴射は
ピエゾ素子への電気振動入力により制御し、対象面また
はプリンタノズルの移動で対象面上のインクの到達位置
を制御して所望の像を描くのである。ノズルの孔の開口
径は通常数十μm、そこに到るインクの供給路の径は通
常数十μm以上数百μm程度であり、その中間で通常数
個の孔の開口部を望む位置にピエゾ素子が配置され、ノ
ズル全体では通常数個から数十個の素子が配置されてい
る。開口部やその近辺の流路が微細であるから、当然顔
料の安定な微細分散が必須条件になるのである。顔料と
分散媒および分散剤をどんな組合せにすればよいのかと
いう単純な問題であれば、ある程度の推測は可能であ
り、現に加熱あるいは熱サイクル下に保存した時顔料の
微細な分散状態やインクの粘度に変化がなく安定と見な
されるインクを調製したが、印刷試験開始当初順調に印
刷できたインクが、暫くするとインクの噴射が停止する
のである。すなわち、各種インクにおいて採られてきた
尺度が役に立たないのである。本発明者らの他の検討に
よると、例えば水と相溶性のある親水性の高い溶剤を分
散媒とすると、分散剤の工夫でインクの噴射の継続性は
ある程度向上するものの実用的な印刷速度で長時間の印
刷ができないし、疎水性の強い溶剤を分散媒とすると分
散剤を種々工夫してもインクの噴射は前述同様不適当で
あった。すなわち、親水性あるいは疎水性という単一の
尺度や分散剤という単一の尺度では、解決の目途がたた
ないのである。インクが印刷時のピエゾ素子の例えば数
千Hzという高速振動にも耐えて微細な流路を安定に流
過しうるか、また以下に述べるような諸要求をも同時に
満たせるかというと、従来公知の知見では解決の指針が
えられない。
【0006】噴射により減量したインクは、供給路他端
のインク溜めから細管である供給路での毛管現象で補給
される。ノズル先端へのインクの補給をスムースに行う
にはインクの表面張力や粘度特性を選ばねばならない。
表面張力が大きいほど毛管現象には一般的には有利であ
るが、インクを最初に充填するとき等に流路に気泡が発
生したり残りやすく、それが印刷中に流路を閉塞するこ
とが考えられる。凝集顔料によるか気泡によるかを問わ
ず、いったん閉塞するともはやそのノズルはインクの噴
射が不可能になるので、印刷を中止して洗浄し直さねば
使用できない。溶剤単独でも噴射停止の起こる場合が多
く、超音波振動で予め脱泡したり、インクの分散剤とし
て界面活性剤を検討したがいずれも改善できなかった。
インクの粘度は高すぎると流動速度が遅く、高速で行わ
れる噴射に対応する細管中の高速流動が不可能でインク
の供給が追従できないし、低すぎるとノズルから溢流し
て印刷像がインク過剰で乱れる。また粘度の絶対値の議
論以前に粘性挙動がニュートン流動でなければ不都合が
生じる。表面張力や粘度特性は噴射されたインクの細滴
化にも影響し、印刷像からみて適正な大きさの液滴を形
成するのに適した範囲がありそうである。しかし、具体
的には不明である。
【0007】噴射されたインクの複数液滴は対象面上に
サブミリメートルからセンチメートルときにはそれ以上
の線幅の印刷像を形成する。線幅やその断続長はピエゾ
素子の作動により制御される。印刷の対象面は紙や木質
の浸透性面であるので、分散媒は顔料を表面に残して面
内部に速やかに浸透し、顔料が対象面の表面で拡散した
りあるいは接触により印刷像が滲んだりすることのない
ような物質である必要がある。このことはプリントヘッ
ドの微細部分にインクが良く浸透して確実にインクが供
給できるかということと同種の問題であるが、ヘッドが
金属製であるのに対象面はセルロースやその他の天然あ
るいは合成の有機高分子や無機の充填物質を含有して構
成されているので同一には論じられない。
【0008】以上のように多岐にわたる諸要求を同時に
満たす組成配合の手がかりは、容易にはえられないので
ある。本発明者は多くの試行錯誤の結果、以下に述べる
本発明に到達した。
【0009】本発明のインク組成における着色剤は、有
機顔料並びにカーボンブラックからなる群から選ばれた
1種単独のまたは2種以上の顔料の併用である。併用は
微妙な色調の調整等の目的から採用される方法である。
酸化チタンやベンガラのごとき無機顔料は静置や比較的
穏やかな流動場面で安定な微細分散は可能であるが、本
発明の目的には、種々の工夫をこらしても印刷流路の閉
塞が起こり不適当であった。さらに有機顔料ならびにカ
ーボンブラック顔料といえどもDBP吸油量が15以上
180(ml/100g)以下の範囲内のもので、インク中で顔
料粒子の98.0Wt%以上が粒径0.01μm以上1.
0μm以下であって、平均粒径が0.02μm以上0.
5μm以下の範囲内にあって安定に分散している場合に
おいて印刷流路の閉塞が起こらず、鮮明な印刷が可能で
あった。吸油量が上記範囲を逸脱すると分散剤配合量の
増大や印刷濃度の低下を犠牲にする顔料配合量の低下等
の工夫を図っても印刷流路の閉塞が起こりやすくなる
し、粒径が上記範囲を逸脱すると印刷流路の閉塞が起こ
ったり鮮明な印刷ができなくなる場合が多くなって不適
当である。なおDBP吸油量は、当業界において周知の
粉粒体の性状に関わるパラメータである。以上のような
観点から、とくに好ましい範囲は、吸油量が20以上1
60(ml/100g)以下の顔料を用い、インク中で顔料粒子
の99.0Wt%以上が粒径0.03μm以上0.8μm
以下であって、平均粒径が0.04μm以上0.5μm
以下の範囲内にあって安定に分散している場合である。
本発明で実施可能な顔料としては、上記条件を満たすつ
ぎのような顔料、すなわち、アゾ系顔料、縮合アゾ系顔
料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペ
リレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキ
サジン顔料等の有機顔料、チャネルブラックやフーァネ
スブラックのカーボンブラック顔料がその例として挙げ
られる。
【0010】本発明のインク組成における分散媒はオレ
イルアルコールである。類似化合物である直鎖状あるい
は分岐状の飽和脂肪族アルコールを分散媒として使用を
試みても、印刷流路の閉塞が起こりインクの噴射が停止
し継続的な印刷が不可能であった。なかでも炭素数の大
きな直鎖状飽和脂肪族アルコールは常温で結晶化するの
で、流路を加熱下に保っても印刷流路の閉塞が起こっ
た。オレイン酸等の不飽和脂肪酸やそのエステル類、あ
るいは比較的低分子量のグリコールエーテル類、その他
顔料インクの分散媒として知られる各種溶剤を、顔料の
種類や分散方法また併用する分散剤の種類や配合割合を
変えながら検討したが、安定で継続的な印刷の可能な媒
体として有用な物は見いだせなかった。静置や比較的穏
やかな振動下に保管されたインクでは安定な微細分散の
インクでありながら、印刷試験に供するとインクの噴射
停止が起こるのであった。その状況をもう少し詳しく述
べると、印刷時間の経過とともにプリンタヘッドのある
ノズルからのインクの噴射量が低下し始め、しかも噴射
路が乱れ、暫くしてそのノズルからの噴射が停止し、こ
の現象が同一ヘッド上の他のノズルでも順次発生し、噴
射停止のノズル数が拡大するのである。このような現象
が起こるともはや印刷は不可能である。実用上は長時間
にわたってひとつのノズルの噴射停止も起こってはなら
ないのである。ピエゾ素子の振動数を低下させると、印
刷試験開始後インクの噴射停止が起こるまでの時間が延
びるけれども同様の事態になり、ヘッドの解体清掃を行
わねば印刷を再開できない。ピエゾ素子の振動数をさら
に低下させると噴射停止が起こるまでの時間がさらに延
びるけれども、印刷時のインクの噴射量が不足する分印
刷速度が低下してしまうので、ともにインクとしての実
用的な価値が低下する。噴射停止はプリンタヘッドの微
細流路における、顔料の凝集や気泡の混入あるいは発生
によるものであろうとの推測は可能であるものの、決定
的な原因は不明である。本発明者らの知見するところに
よると、オレイルアルコールを媒体とするときのみ継続
的な印刷が可能であった。
【0011】本発明の分散媒であるオレイルアルコール
のもつ他の特徴は、印刷対象面にインク液滴が到達した
のち、顔料の拡散浸透を最小限にし、すなわち、印刷像
の滲みを最小限にして、しかも顔料粒子の多くを表面に
取り残したまま対象面内部へ速やかに浸透するので、印
刷像が濃く鮮明に形成でき、印刷後短時間内に接触して
も印刷像の乱れが起こらないことである。媒体の蒸発に
よるインクの乾燥ではない浸透による一種の乾燥固化
(本明細書ではこれも「乾燥」と記載する場合がある)
が速やかに起こるのである。この印刷に好適な一種のク
ロマトグラフィックな効果は予期しない発見であった。
この効果は対象面の材質や構造、使用顔料の種類や性
状、分散剤の種類や配合比等によってその程度に幾分か
の差違があるが分散媒の選択が決定的であった。他種分
散媒では、例えばグリコールエーテル類で、その分子量
が小さいと乾燥は速いが滲みが生じ、分子量が大きいと
滲みの程度は小さくなるものの乾燥が遅いこと、また芳
香環含有媒体では、例えばビスアルキルフタレート等
で、滲みも乾燥も不満足な場合が多く認められ、不適当
であった。
【0012】本発明においてオレイルアルコールとは不
飽和二重結合がシス型の9−オクタデセン−1−オール
である。しかし不純物の大部分が製造時に除去しきれな
かった炭素数12〜20程度の直鎖状飽和一級アルコー
ルで、他は0.2Wt%程度の少量の水分とさらに微量の
着色成分等である、純度75Wt%以上のオレイルアルコ
ールが使用可能である。純度がそれ以下の場合はインク
の順調な噴射ができず不適当である。純度はヨウ素価分
析等の結果から定まる。直鎖状飽和一級アルコールの含
有量が低下して純度が高いほど本発明の目的に確実に適
うので、純度90Wt%以上の場合がより好適に使用され
る。実施可能なオレイルアルコールは、例えば、(株)
共和テクノスからオレイルという商品名で市販されてい
て、市場から容易に入手可能である。
【0013】本発明のインク組成における分散剤は、先
述の顔料を分散媒に微細にかつ安定に分散しうる安全な
物質であれば良い。一般的に顔料を媒体中に分散させる
ための分散剤として、数多くの物質が提案されている
が、顔料と分散媒の組合せを限定すると有効な分散剤は
案外少なく、しかも顔料と分散媒の組合せによって有効
な分散剤の種類は異なるのである。しかし、当該分野の
技術者は、労力さえいとわなければ有効な分散剤の実験
による選定は可能である。本発明者らの検討によると、
界面活性剤としても分類される各種の物質で、本発明の
顔料と分散媒の組合せで顔料を微細にかつ安定に分散し
うる物質は見いだせなかった。一方、界面活性作用のな
いかあるいは少ない樹脂系化合物の中に、本発明の目的
に適う物質のあることが判明した。すなわち、エチレン
オキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、脂肪族ポ
リエステル、アミン成分で変性した脂肪族ポリエステ
ル、アミン成分やポリエーテル成分で変性したシリコン
樹脂、ポリビニルブチラール等が安定な微細分散に有効
であった。一方、一般的に分散作用があるといわれてい
る物質のなかにもエチルセルロース等のごとく有効でな
い物質も多々存在するのである。しかも有効であった分
散剤のなかでも、ポリビニルブチラールのように入手可
能な市販品の使用ではインクの粘度が高くなるためかジ
ェットプリンタ用インクとしては使い辛いインクにしか
ならない物質もある。エチレンオキサイド−プロピレン
オキサイド共重合体、脂肪族ポリエステル、アミン成分
で変性した脂肪族ポリエステル、アミン成分やポリエー
テル成分で変性したシリコン樹脂では、本発明の目的に
適うインクが可能であった。以上に例示した化合物以外
にも本発明で実施可能な分散剤は存在しうるであろう
が、静置や比較的緩やかな振動下に保存しつつ観察して
安定な微細分散が確保でき、しかもピエゾ方式のジェッ
トプリントで継続して滲みのない鮮明な印刷の可能な分
散剤を選んで使用すれば良いのである。なお、当該技術
分野でよく行われるところの、分散剤の効果をより高く
発揮させるための少量の分散助剤の併用は、本発明にお
いても当然可能である。分散助剤として各種の界面活性
剤、有機塩基性物質等がその例としてあげられ、使用顔
料の種類に応じて有効なものとその量を適宜選定して併
用することができる。また、分散助剤の併用にあたっ
て、計量や取扱いの便宜のため希釈剤を用いることは、
本発明のインクの特性を損なわないかぎり実施可能であ
る。
【0014】着色剤と有機分散媒体および分散剤を必須
成分とする本発明のジェットプリンタ用溶剤系顔料イン
クにおいて、必須成分の配合比は、インクの必須成分1
00重量部あたり、顔料が3.0重量部以上15.0重
量部以下、分散剤が使用する顔料の0.2重量倍以上
1.5重量倍以下、残余が分散媒である。顔料の種類に
よって異なるが、顔料配合比が上記の値より過小ではイ
ンクの色濃度が明らかに不十分で実用性に乏しくなる
し、過大ではインクの流動性が悪化しとくにプリンタヘ
ッド内での流動性に支障をきたし不適当である。分散剤
の種類によって幾分異なるが、分散剤の配合比が上記の
値より過小では顔料の微細で安定な分散が明らかに確保
し難いし、過大ではもはや顔料分散への寄与の増大はな
いし、しかもインクの粘度が高くなりプリンタヘッド内
での流動性に支障をきたし、かつインクの印刷対象面で
の乾燥速度が遅くなって不適当である。以上の観点か
ら、より好適な配合比はインクの必須成分100重量部
あたり、顔料が5.0重量部以上12.0重量部以下、
分散剤が使用する顔料の0.3重量倍以上1.2重量倍
以下、残余が分散媒の場合である。本発明のインクは上
記必須成分の配合に、必要に応じて先述あるいは後述の
少量の添加剤成分を加えた組成物である。
【0015】本発明のジェットプリンタ用溶剤系顔料イ
ンクにおいて、必須成分のみからなるインクはニュート
ン流動性の低粘度分散液である。インクの粘度は顔料や
分散剤の種類や配合比等によって異なるが、概して言え
ば、20℃で30〜100cps、80℃で1〜20c
psである。顔料の微細で安定な分散が確保されている
ので粘性も経時的に安定である。しかも、温度による粘
度変化が小さいので、プリントヘッドの環境温度変化に
よるインクの噴射調子の変動が少ない。逆に、微妙な噴
射調子の変動をなくすためプリントヘッドとその近傍の
インク流路を加熱して、常温以上の例えば100℃にい
たる範囲内のある一定温度に保たれた状態にて使用に供
することが可能である。
【0016】本発明によるインクの製造方法を例示する
と概略以下のようになる。顔料、分散剤、および分散媒
の所定量を計量し、攪拌混合したのち、ビーズミルや3
本ロールミル等当該分野で周知の分散機にて、顔料の磨
砕と微分散化を行ってインクとする。出発原料の顔料
は、通常一次粒子の多数個が凝集した二次粒子からなる
粉体であり、これを上述のように湿式で二次粒子を磨砕
して、より微細な粒子にするとともに分散媒体中に分散
させるのである。磨砕と微分散化を同時に行うので、単
に分散工程とか分散すると称している。分散工程の条件
を変えることにより分散した顔料粒子径とその分布を所
望の値にすることが可能である。分散をより効果的に行
うため、分散媒を所定量より少なく使用して分散し、え
られた濃厚分散液に残りの分散媒を追加して分散を完了
し、所望の組成比のインクとするのもよく行われる方法
である。分散工程において微量ながら磨砕不十分の粗大
粒子がある場合には、これを遠心分離等の方法で除去す
るとか、正常に製造できたインクの粘度を特定の目的の
ために若干低目に修正するときに、分散媒を追加すると
か、分散媒と相溶性のしかも分散に悪影響を及ぼさない
溶剤すなわち粘度調節溶剤を添加するとか、先述の分散
助剤を併用するとか、あるいはインクの製造または使用
条件によって消泡剤の添加が望ましい場合には適当な消
泡剤を添加する等の修飾は、本発明のインクの製造のし
かるべき段階において適宜実施可能である。
【0017】本発明のインクにおいて、必要に応じて粘
度調節剤として使用可能な溶剤は多種にのぼるが、トリ
エチレングリコールやトリプロピレングリコール等のグ
リコール類、メチル−あるいはエチルセロソルブ、メチ
ル−あるいはエチルカルビトール、トリ−またはテトラ
エチレングリコールのモノブチルエーテル等のグリコー
ルエーテル類、オレイン酸オクチルやソルビタンモノラ
ウレート等の脂肪酸エステル類等がその例として挙げら
れる。その添加量はインクの粘度以外の印刷特性の変化
が許容される程度に止めるべきで、インクの必須成分の
高々20Wt%以下である。より低粘度化を望む場合はイ
ンクの必須成分の分散媒の配合比を高目に修正して新た
なインクを調製するのが良い。本発明のインクにおいて
必要に応じて添加可能な消泡剤としては、ポリシロキサ
ン、共重合等による変性ポリシロキサン等が例示され
る。その添加量はインクの1Wt%程度以下で十分であ
る。また、印刷対象面へのインクの固着強度を高めるた
めにシランカップリング剤やチタンカップリング剤がイ
ンクに添加されることがあるが、本発明においても必要
に応じてカップリング剤の添加が可能であり、添加量は
インクの1Wt%程度以下で十分である。
【0018】以上に述べたように本発明は、着色剤とし
て特定の有機顔料またはカーボンブラック顔料を、分散
媒体としてオレイルアルコールを、分散剤として樹脂系
化合物を用いることで、顔料が微細な粒子として分散
し、ジェットプリンタ内部の細隙を容易に通過し、かつ
長期の放置や保存によって粒子が凝集しないこと、なら
びに印刷後滲むことなく短時間に乾燥して、高速の印刷
が可能なジェットプリンタ用溶剤系顔料インクを提供す
るものである。本発明のインクは、印刷・情報用紙、包
装用紙、段ボール原紙やその表装紙、白板紙等の紙類
や、あるいは広くベニヤ板や合板と呼ばれている木質の
浸透性材料の表面に、ジェットプリント方式とくにピエ
ゾ方式で印刷するのに適している。印刷像は各種の文字
や数字、バーコードやロゴマーク等の図形、各種の絵
柄、ポスター等ジェットプリンタで印刷可能なものすべ
てが可能である。
【0019】以下、本発明について実施例を挙げてより
詳細に説明する。実施例中での部は重量部である。イン
クの調製では、予定の分散媒の2/3量を用いて三本ロ
ールミルで分散し、濃厚インクを取り出したのち濃度調
整を兼ねて残りの分散媒を攪拌下に加えて、所定配合比
のインクとした。インク中の顔料粒子径はレーザードッ
プラ効果の周波数解析を行う動的光散乱法で測定した。
インクの粘度はB型粘度計を用い、20℃および60℃
で測定した。インクの表面張力はウィルヘルミー式表面
張力計で室温にて測定した。インクのジェットプリント
試験は、ピエゾ素子1個当たり4個のインク噴出孔を持
つノズルが30個直列に配置されたプリントヘッドを用
い、噴出孔の開口径は50μm、インクは1本のパイプ
でヘッドへ導かれた後ヘッド内で30個のノズルに分岐
しそれぞれが4個のインク噴出孔に通じていて、流路の
もっとも狭いところの径は100μmである。ノズルは
60℃の恒温状態に保った。インク噴射のためのピエゾ
素子の振動周波数(以下印刷周波数と言う)は1000H
zから7000Hzまで1000Hz刻みで順次変化さ
せる。当試験では長時間安定に全ノズルから継続して、
順調にインクの噴射が行える限界の印刷周波数(限界印
刷周波数)を求める。なお、当試験機で限界印刷周波数
が1000Hzあるいはそれ以下であっても印刷の可能
なインクと見なしうるが、高速の印刷をみこす社会の趨
勢からすると3000Hz以上の限界印刷周波数が望ま
しい。浸透性の印刷対象面としては、コピー用紙、段ボ
ール原紙上のクラフト紙、白板紙、ベニヤ板を用い、こ
れを移動させながら印刷して、インクが途切れることな
く一定幅の線状に順調に噴射されているかどうか、また
印刷後短時間内の接触で印刷像が乱れるか否か、接触せ
ずに放置して印刷像の滲みの程度を目視観察した。イン
クの分散安定性をみるため、インクを密栓容器中、80
℃の空気浴中に10日間保存したのち常温に戻し、上記
印刷試験を行うインクの保存安定性試験と、インクを8
0℃の空気浴中に12時間置き、ついで−10℃の空気
浴中に12時間置くことを5回繰り返したのち印刷試験
を行うインクの熱サイクル安定性試験と、印刷試験機に
インクを充填したまま1夜印刷を停止したのち印刷を再
開する印刷中断再開試験も実施することにした。
【0020】
【実施例1】顔料としてDBP吸油量が150(ml/
100g)のチャネルカーボンブラック( C.I.No.7726
6:デグサ社製 Color Black S-160 )の8.0部、分散
剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブ
ロック共重合体の7.0部、分散媒として純度94%の
オレイルアルコール( (株)共和テクノス製 オレイル#90
0)の85.0部からなるインクを調製したからなるイン
クを調製した。インク中で顔料粒子の99.5Wt%以上
が粒径0.01μm以上1.0μm以下であって、平均
粒径が0.05μmであった。粘度は20℃で62cp
s、60℃で17cps、表面張力は31(dyn/cm)であ
った。印刷試験において限界印刷周波数は7000Hz
であり、各印刷対象面上に印刷後短時間内の接触で印刷
像が乱れることなく、滲みのない安定で高速の印刷がで
きた。インクの保存安定性試験や熱サイクル安定性試験
後の印刷試験でも、印刷中断再開試験でも同様の良好な
結果をえた。
【0021】
【比較例1】顔料としてDBP吸油量が過大で185
(ml/100g)であるファネスカーボンブラック( C.
I.No.77266:キャボット社製 VALCUN XC-72R )を5.0
部、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロッ
ク共重合体を7.0部、オレイルアルコール( (株)共和
テクノス製 オレイル#900 )を88.0部を用いて実施
例1の方法を繰り返し、インクの調製と印刷試験を行っ
た。インク中で顔料粒子の99.5Wt%以上が粒径0.
05μm以上1.0μm以下であって、平均粒径が0.
08μmであった。粘度は20℃で65cps、60℃
で20cps、表面張力は31(dyn/cm)であった。印刷
試験に先立つインクの保存安定性試験や熱サイクル安定
性試験で顔料の微細な分散に変化は認められなかった
が、調製後のインクの印刷試験において、印刷周波数1
000Hzでも10分間の印刷の間に9個のノズルでイ
ンクの噴射が停止した。
【0022】
【比較例2】実施例1の顔料をベンガラ((株)チタン工
業 R−516L)に替えて、実施例1の方法を繰り返
した。実施例1と同様の微細な分散が可能であったが、
印刷試験に先立つインクの保存安定性試験や熱サイクル
安定性試験で顔料の分散に僅かながら凝集沈降の傾向が
認められた。調製直後のインクの印刷試験において、印
刷周波数1000Hzで2分間の印刷の間に13個のノ
ズルでインクの噴射が停止した。
【0023】
【比較例3,4,5】実施例1の分散剤をそれぞれノニ
オン系界面活性剤(第一工業製薬(株) ノイゲンEA−
170)、アニオン系界面活性剤(第一工業製薬(株)
ハイテノール−NO8)、カチオン系界面活性剤(花王
アセタミン−86)のいずれかに替えて、実施例1の方
法を繰り返し3種のインクを調製した。調製後短時間内
に顔料の凝集が進み始めることを認め、実際上微細分散
ができなかった。
【0024】
【実施例2】実施例1における分散媒を純度80%のオ
レイルアルコール( (株)共和テクノス製 オレイル#700
)に替えて実施例1の方法を繰り返した。限界印刷周波
数が3000Hzであること以外は、実施例1と同様の
結果をえた。
【0025】
【実施例3】顔料としてDBP吸油量が100(ml/
100g)のファネスカーボンブラック( C.I.No.7726
6:三菱化学製 MA-100 )を9.0部と、分散剤としてC
18オキシカルボン酸ポリエステル80Wt%と、その助剤
である界面活性剤のステアリン酸アミド塩酸塩10Wt
%、同ステアリルアルコールサルフェートNa塩10Wt
%からなる混和物を9.0部と、分散媒であるオレイル
アルコール( (株)共和テクノス製 オレイル#900 )8
2.0部とからなるインクを調製した。なお、インクの
調製途中でチタンカップリング剤の0.05部を少量の
揮発性溶剤とともに添加した。インク中で顔料粒子の9
9.3Wt%以上が粒径0.03μm以上1.0μm以下
であって、平均粒径が0.07μmであった。粘度は、
20℃で65cps、60℃で15cps、表面張力は
32(dyn/cm)であった。印刷試験において限界印刷周波
数は6000Hzであり、各印刷対象面上に印刷後短時
間内の接触で印刷像が乱れることなく、滲みのない安定
で高速の印刷ができた。印刷周波数を7000Hzにす
ると、印刷開始後5〜8分後に3個のノズルでインクの
噴射が停止したが、その後新たなインクの噴射停止は起
こらなかった。インクの保存安定性試験や熱サイクル安
定性試験後の印刷試験でも、印刷中断再開試験でも同様
の良好な結果をえた。
【0026】
【比較例6】実施例3の分散媒オレイルアルコールをト
リプルピレングリコールモノメチルエーテルに替えて、
実施例3の方法を繰り返した。インク中で顔料粒子の9
9.4Wt%以上が粒径0.03μm以上1.0μm以下
であって、平均粒径が0.07μmであった。粘度は2
0℃で70cps、60℃で20cps、表面張力は3
3(dyn/cm)であった。印刷試験に先立つインクの保存安
定性試験や熱サイクル安定性試験で顔料の微細な分散に
変化は認められなかったが、調製後のインクの印刷試験
において、印刷周波数2000Hzでも10分間の印刷
の間に12個のノズルでインクの噴射が停止した。
【0027】
【実施例4】顔料としてDBP吸油量が90(ml/1
00g)のチャネルカーボンブラック( C.I.No.77266:
デグサ社製 Special Black 4A )を7.0部と、分散剤
としてアミノ基とポリエーテル基で変性したシリコン樹
脂(信越化学工業 X−22−3939A)を8.0部
と、分散媒であるオレイルアルコール( (株)共和テクノ
ス製 オレイル#900 )の85.0部とからなるインクを
調製した。インク中で顔料粒子の99.2Wt%以上が粒
径0.03μm以上1.0μm以下であって、平均粒径
が0.08μmであった。粘度は20℃で50cps、
60℃で10cps、表面張力は31(dyn/cm)であっ
た。印刷試験において限界印刷周波数は7000Hzで
あり、各印刷対象面上に印刷後短時間内の接触で印刷像
が乱れることなく、滲みのない安定で高速の印刷ができ
た。インクの保存安定性試験や熱サイクル安定性試験後
の印刷試験でも、印刷中断再開試験でも同様の良好な結
果をえた。
【0028】
【比較例7】実施例4における分散媒を、炭素数が18
〜22の混合物であるβ位側鎖飽和一級アルコール(伊
藤製油(株) HISOCOL−1822)に替えて、実施
例4の方法を繰り返した。インク中で顔料粒子の99.
1Wt%以上が粒径0.03μm以上1.0μm以下であ
って、平均粒径が0.08μmであった。粘度は20℃
で55cps、60℃で12cps、表面張力は29(d
yn/cm)であった。印刷試験に先立つインクの保存安定性
試験や熱サイクル安定性試験で顔料の微細な分散に変化
は認められなかったが、調製後のインクの印刷試験にお
いて、印刷周波数1000Hzでも10分間の印刷の間
に7個のノズルで、インクの噴射が停止した。
【0029】
【実施例5】顔料としてキナクリドン系赤色顔料である
ファストゲンスーパーマゼンタRE−03(C.I.No.739
15:大日本インキ製)の8.0部と、分散剤としてエチ
レンオキサイド−プロピレンオキサイドブロック共重合
体の7.0部、分散媒としてオレイルアルコール( (株)
共和テクノス製 オレイル#900 )の85.0部とからな
るインクを調製した。インク中で顔料粒子の98.7Wt
%以上が粒径0.01μm以上1.0μm以下であっ
て、平均粒径が0.20μmであった。粘度は20℃で
45cps、60℃で7cps、表面張力は30(dyn/c
m)であった。印刷試験において限界印刷周波数は500
0Hzであり、各印刷対象面上に印刷後短時間内の接触
で印刷像が乱れることなく、滲みのない安定で高速の印
刷ができた。印刷周波数を6000Hzにすると印刷開
始後3〜7分後に4個のノズルでインクの噴射が停止し
たが、その後新たなインクの噴射停止は起こらなかっ
た。インクの保存安定性試験や熱サイクル安定性試験後
の印刷試験でも、印刷中断再開試験でも同様の結果をえ
た。
【0030】
【比較例8】実施例5における分散媒をトリエチレング
リコールのモノブチルエーテルに替えて、実施例5の方
法を繰り返した。インク中で顔料粒子の98.5Wt%以
上が粒径0.01μm以上1.0μm以下であって、平
均粒径が0.25μmであった。粘度は20℃で40c
ps、60℃で5cps、表面張力は31(dyn/cm)であ
った。印刷試験に先立つインクの保存安定性試験や熱サ
イクル安定性試験で顔料の微細な分散に変化は認められ
なかったが、調製後のインクの印刷試験において、限界
印刷周波数は1000Hzであり、印刷周波数2000
Hzでも5分間の印刷の間に8個のノズルでインクの噴
射が停止した。
【0031】
【実施例6】顔料としてジスアゾ系黄色顔料であるシム
ラファストイエロー4306(C.I.No.21100:大日本イ
ンキ製)の10.0部と、分散剤としてアミノ基含有ア
クリル変性脂肪族ポリエステルの5.0部と、分散媒と
してオレイルアルコール( (株)共和テクノス製 オレイ
ル#900 )の86.0部とからなるインクを調製した。イ
ンク中で顔料粒子の98.5Wt%以上が粒径0.02μ
m以上1.0μm以下であって、平均粒径が0.30μ
mであった。粘度は20℃で50cps、60℃で10
cps、表面張力は31(dyn/cm)であった。印刷試験に
おいて限界印刷周波数は6000Hzであり、各印刷対
象面上に印刷後短時間内の接触で印刷像が乱れることな
く、滲みのない安定で高速の印刷ができた。インクの保
存安定性試験や熱サイクル安定性試験後の印刷試験で
も、印刷中断再開試験でも同様の良好な結果をえた。
【0032】
【比較例9】実施例6における分散剤をノニオン系界面
活性剤(第一工業製薬(株) ノイゲンEA−170)に
替えて、実施例6の方法を繰り返してインクを調製し
た。調製後短時間内に顔料の凝集の進行が認められ、実
際上微細分散ができなかった。
【0033】
【実施例7】顔料としてフタロシアニン系青色顔料であ
るリオノールブルーFG−7330(C.I.No.74160:東
洋インキ製)の4.0部とフタロシアニン系緑色顔料で
あるファストゲングリーンS(C.I.No.74260:東洋イン
キ製)の3.0部と、分散剤としてエチレンオキサイド
−プロピレンオキサイドブロック共重合体の7.0部
と、分散媒としてオレイルアルコール( (株)共和テクノ
ス製 オレイル#900 )の86.0部と、ポリシロキサン
系消泡剤(ビックケミー社製 BYK−066)の0.
5部からなるインクを調製した。インク中で顔料粒子の
99.0Wt%以上が粒径0.01μm以上1.0μm以
下であって、平均粒径が0.09μmであった。粘度は
20℃で40cps、60℃で6cps、表面張力は3
1(dyn/cm)であった。印刷試験において、限界印刷周波
数は4000Hzであり、各印刷対象面上に印刷後短時
間内の接触で印刷像が乱れることなく、滲みのない安定
で高速の印刷ができた。インクの保存安定性試験や熱サ
イクル安定性試験後の印刷試験や、印刷中断再開試験で
も同様の良好な結果をえた。
【0034】
【比較例10】実施例7における分散剤をポリビニルブ
チラール樹脂(積水化学工業 エスレックBL−1)に
替えて、実施例7の方法を繰り返してインクを調製し
た。顔料は微細で安定な分散状態を保つが、粘度は20
℃で120cps、60℃で40cpsであり、調製直
後の印刷試験で限界印刷周波数は1000Hzであっ
た。
【0035】
【発明の効果】本発明は、着色剤として特定の有機顔料
またはカーボンブラック顔料を、分散媒体としてオレイ
ルアルコールを、分散剤として樹脂系化合物を用いるこ
とで、顔料が微細な粒子として分散し、ジェットプリン
タ内部の細隙を容易に通過し、かつ長期の放置や保存に
よって粒子が凝集しないこと、ならびに印刷後滲むこと
なく短時間に固化して浸透性対象面に対して、高速の印
刷が可能なジェットプリンタ用溶剤系顔料インクを提供
することができた。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年8月6日(1998.8.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】本発明においてオレイルアルコールとは不
飽和二重結合がシス型の9−オクタデセン−1−オール
である。しかし不純物の大部分が製造時に除去しきれな
かった炭素数12〜20程度の直鎖状飽和一級アルコー
ルおよびオレイルアルコール以外の不飽和一級アルコー
ルで、他は0.2Wt%程度の少量の水分とさらに微量
の着色成分等である、純度75Wt%以上のオレイルア
ルコールが使用可能である。純度がそれ以下の場合はイ
ンクの順調な噴射ができず不適当である。純度はヨウ素
価分析等の結果から定まる。直鎖状飽和一級アルコール
の含有量が低下して純度が高いほど本発明の目的に確実
に適うので、純度90Wt%以上の場合がより好適に使
用される。実施可能なオレイルアルコールは、例えば、
(株)共和テクノスからオレイルという商品名で市販さ
れていて、市場から容易に入手可能である。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA13 FC02 2H086 BA20 BA21 BA52 BA55 BA59 BA60 BA62 4J039 AD07 AE06 AE07 AE11 BA04 BC07 BC39 BC60 BE01 BE12 BE22 CA05 DA02 EA12 EA41 EA44 EA46 EA47 EA48 FA05 FA07 GA24

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色剤と有機分散媒体および分散剤を必
    須成分とするジェットプリンタ用溶剤系顔料インクにお
    いて、着色剤としてDBP吸油量が15以上180(m
    l/100g)以下である有機顔料ならびにカーボンブ
    ラックからなる群から選ばれた1種単独のまたは2種以
    上の顔料を、着色剤の分散媒体としてオレイルアルコー
    ルを、分散剤として上記着色剤と分散媒の組合せに有効
    な樹脂系化合物を用いること、ならびに顔料粒子の9
    8.0Wt%以上が粒径0.01μm以上1.0μm以下
    であって、平均粒径が0.02μm以上0.5μm以下
    の範囲内にあって安定に分散していることを特徴とする
    ジェットプリンタ用溶剤系顔料インク。
  2. 【請求項2】 インクの必須成分100重量部あたり、
    着色剤である顔料が3.0重量部以上15.0重量部以
    下、分散剤が使用する顔料の0.2重量倍以上1.5重
    量倍以下、残余が分散媒のオレイルアルコールである請
    求項1に記載のジェットプリンタ用溶剤系顔料インク。
  3. 【請求項3】 浸透性材料面に請求項1または請求項2
    に記載のインクをもちいて印刷された印刷物。
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