JP2000037893A - サーマルヘッド - Google Patents

サーマルヘッド

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JP2000037893A JP10204972A JP20497298A JP2000037893A JP 2000037893 A JP2000037893 A JP 2000037893A JP 10204972 A JP10204972 A JP 10204972A JP 20497298 A JP20497298 A JP 20497298A JP 2000037893 A JP2000037893 A JP 2000037893A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】保護膜の腐食や摩耗が極めて少なく、しかも熱
や機械的衝撃に対しても保護膜の割れや剥離の発生を防
止して、十分な耐久性を有し、長期に渡って高い信頼性
を発揮し、これにより、長期に渡って高画質の感熱記録
を安定して行うことができるサーマルヘッドを提供す
る。 【解決手段】発熱素子を保護する保護膜として、炭素を
主成分とするカーボン保護膜と、前記カーボン保護膜よ
りも下に少なくとも1層形成される絶縁性の下層保護膜
とを有し、かつ、前記下層保護膜の少なくとも1層の酸
素含有率が、5原子%以下であることにより、前記課題
を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種のプリンタ、
プロッタ、ファックス、レコーダ等に記録手段として用
いられる、感熱記録を行うサーマルヘッドの技術分野に
属する。
【0002】
【従来の技術】超音波診断画像の記録に、フィルム等を
支持体として感熱記録層を形成してなる感熱材料を用い
た感熱記録が利用されている。また、感熱記録は、湿式
の現像処理が不要であり、取り扱いが簡単である等の利
点を有することから、近年では、超音波診断のような小
型の画像記録のみならず、CT診断、MRI診断、X線
診断等の大型かつ高画質な画像が要求される用途におい
て、医療診断のための画像記録への利用も検討されてい
る。
【0003】周知のように、感熱記録は、感熱材料を加
熱して画像を記録する、発熱抵抗体と電極とを有する発
熱素子が一方向(主走査方向)に配列されてなる発熱体
(グレーズ)が形成されたサーマルヘッドを用い、グレ
ーズを感熱材料に若干押圧した状態で、両者を前記主走
査方向と直交する副走査方向に相対的に移動しつつ、M
RIやCT等の画像データ供給源から供給された記録画
像の画像データに応じて、グレーズの各画素の発熱素子
にエネルギーを印加して発熱させることにより、感熱材
料の感熱記録層を加熱して発色させて画像記録を行う。
【0004】このサーマルヘッドのグレーズには、感熱
材料を加熱する発熱体、あるいはさらに電極等を保護す
るため、その表面に保護膜が形成されている。従って、
感熱記録時に感熱材料と接触するのは、この保護膜で、
発熱体は、この保護膜を介して感熱材料を加熱し、これ
により感熱記録が行われる。保護膜の材料には、通常、
耐摩耗性を有するセラミック等が用いられているが、保
護膜の表面は、感熱記録時には加熱された状態で感熱材
料と慴接するため、記録を重ねるにしたがって摩耗し、
劣化する。
【0005】この摩耗が進行すると、感熱画像に濃度ム
ラが生じたり、保護膜としての強度が保てなくなるた
め、発熱体等を保護する機能が損なわれ、最終的には、
画像記録ができなくなる状態に陥る(ヘッド切れ)。特
に、前述の医療用途のように、高品質で、かつ高画質な
多階調画像が要求される用途においては、高品質化およ
び高画質化を計るために、ポリエステルフィルム等の高
剛性の支持体を使用する感熱フィルムを用い、さらに、
記録温度(印加エネルギー)や、感熱材料へのサーマル
ヘッドの押圧力を高く設定する方向にある。そのため、
通常の感熱記録に比して、サーマルヘッドの保護膜にか
かる力や熱が大きく、摩耗や腐食(腐食による摩耗)が
進行し易くなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなサーマルヘ
ッドの保護膜の摩耗を防止し、耐久性を向上する方法と
して、保護膜の性能を向上する技術が数多く検討されて
おり、中でも特に、耐摩耗性や耐蝕性に優れた保護膜と
して、炭素を主成分とする保護膜(以下、カーボン保護
膜とする)が知られている。例えば、特公昭61−53
955号および特公平4−62866(前記出願の分割
出願)の各公報には、サーマルヘッドの保護膜として、
ビッカーズ硬度が4500kg/mm2 以上のカーボン
保護膜を形成することにより、優れた耐摩耗性と共に、
保護膜を十分に薄くして優れた応答性も実現したサーマ
ルヘッド、およびその製造方法が開示されている。ま
た、特開平7−132628号公報には、下層のシリコ
ン系化合物層と、その上層のダイヤモンドライクカーボ
ン層との2層構造の保護膜を有することにより、保護膜
の摩耗および破壊を大幅に低減し、高画質記録が長期に
渡って可能なサーマルヘッドが開示されている。
【0007】カーボン保護膜は、ダイヤモンドに極めて
近い特性を有するもので、非常に硬度が高く、また、化
学的にも安定である。そのため、感熱材料との摺接に対
する耐摩耗性や耐蝕性という点では優れた特性を発揮す
る。しかしながら、カーボン保護膜は、優れた耐摩耗性
を有するものの、硬いが故に脆い、すなわち靭性が低
い。そのため、発熱素子の加熱によるヒートショックや
熱的なストレス、カーボン保護膜とこれに接する層との
熱膨張係数の違いによるストレス、記録中に感熱材料と
サーマルヘッド(グレーズ)との間に混入する異物によ
る機械的衝撃等によって、比較的容易に割れや剥離が生
じてしまうという問題点がある。保護膜に割れや剥離が
生じると、ここから摩耗や腐食、さらには腐食による摩
耗が進行して、サーマルヘッドの耐久性が低下してしま
い、やはり、長期に渡って高い信頼性を発揮することは
できない。
【0008】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、炭素を主成分とする保護膜を有す
るサーマルヘッドであって、保護膜の腐食や摩耗が極め
て少なく、しかも熱や機械的衝撃に対しても保護膜の割
れや剥離の発生を防止して、十分な耐久性を有し、長期
に渡って高い信頼性を発揮し、これにより、長期に渡っ
て高画質の感熱記録を安定して行うことができるサーマ
ルヘッドを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、発熱素子を保護する保護膜として、炭素
を主成分とするカーボン保護膜と、前記カーボン保護膜
よりも下に少なくとも1層形成される絶縁性の下層保護
膜とを有し、かつ、前記下層保護膜の少なくとも1層の
酸素含有率が、5原子%以下であることを特徴とするサ
ーマルヘッドを提供する。
【0010】また、前記下層保護膜のうち、少なくとも
最上層の酸素含有率が5原子%以下であるのが好まし
く、また、前記カーボン保護膜と下層保護膜との間に、
さらに、4A族の金属、5A族の金属、6A族の金属、
珪素およびゲルマニウムからなる群より選択される少な
くとも1種を主成分とする中間層保護膜を少なくとも1
層有するのが好ましく、また、前記中間層保護膜を有す
る場合には、この中間層保護膜の酸素含有率も、5原子
%以下であるのが好ましい。なお、中間層を複数層有す
る場合には、少なくとも1層は酸素含有率が5原子%以
下であるのが好ましく、特に、全層の酸素含有率が5原
子%以下であるのが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のサーマルヘッドに
ついて、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に
説明する。
【0012】図1に、本発明にかかるサーマルヘッドの
発熱素子の概略断面図を示す。図示例のサーマルヘッド
10は、例えば、最大B4サイズまでの画像記録が可能
な、約300dpiの記録(画素)密度の感熱記録を行
うもので、保護膜に特徴を有する以外は、感熱材料Aへ
の感熱記録を行う発熱素子が一方向(主走査方向 図1
において紙面と垂直方向)に配列されて形成された公知
の構成を有するものである。なお、本発明のサーマルヘ
ッド10の幅(主走査方向)、解像度(記録密度)、記
録階調等には特に限定は無いが、幅は5cm〜50c
m、解像度は6dot/mm(約150dpi)以上、
記録階調は256階調以上であるのが好ましい。
【0013】また、本発明のサーマルヘッド10で感熱
記録を行う感熱材料Aは、透明なポリエチレンテレフタ
レート(PET)フィルム等を支持体として、その一面
に感熱記録層を形成してなる、通常の感熱材料である
が、良好なスティッキングの低減等の点で、潤滑剤を含
有する感熱材料Aが好適に利用される。
【0014】図1に示されるように、サーマルヘッド1
0(そのグレーズ)は、基板12の上(図示例におい
て、サーマルヘッド10は、上から感熱材料Aに押圧さ
れるので、図1中では下となる)に形成されるグレーズ
層(畜熱層)14と、その上に形成される発熱(抵抗)
体16と、その上に形成される電極18と、その上に形
成される、発熱体16および電極18からなる発熱素子
等を護するための保護膜とを有して構成される。図示例
のサーマルヘッド10の保護膜は、発熱体16および電
極18を覆って形成される下層保護膜20と、下層保護
膜20の上に形成される中間層保護膜22(以下、中間
層22とする)と、中間層22の上に上層保護膜として
形成される炭素を主成分とする保護膜、すなわちカーボ
ン保護膜24とからなる3層構成を有する。
【0015】本発明のサーマルヘッド10は、保護膜以
外は、基本的に公知のサーマルヘッドと同様の構成を有
する。従って、それ以外の層構成や各層の材料には特に
限定はなく、公知のものが各種利用可能である。具体的
には、基板12としては耐熱ガラスやアルミナ、シリ
カ、マグネシアなどのセラミックス等の電気絶縁性材料
が、グレーズ層14としては耐熱ガラスやポリイミド樹
脂等の耐熱性樹脂等が、発熱体16としてはニクロム
(Ni-Cr)、タンタル、窒化タンタル等の発熱抵抗体が、
電極18としてはアルミニウム、銅等の導電性材料が、
各種利用可能である。なお、発熱素子(グレーズ)に
は、真空蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition) 、
スパッタリング等のいわゆる薄膜形成技術およびフォト
エッチング法を用いて形成される薄膜型発熱素子と、ス
クリーン印刷などの印刷ならびに焼成によるいわゆる厚
膜形成技術を用いて形成される厚膜型発熱素子とが知ら
れているが、本発明に用いられるサーマルヘッド10
は、いずれの方法で形成されたものであってもよい。
【0016】本発明のサーマルヘッド10に形成される
下層保護膜20としては、絶縁性で、かつサーマルヘッ
ドの保護膜となりうる耐熱性、耐蝕性および耐摩耗性を
有する材料であれば、公知の材料が各種利用可能であ
り、好ましくは、各種のセラミックス材料が例示され
る。具体的には、窒化珪素(Si3N4) 、炭化珪素(SiC) 、
酸化タンタル(Ta2O5) 、酸化アルミニウム(Al2O3) 、サ
イアロン(SiAlON)、酸化珪素(SiO2)、窒化アルミニウム
(AlN) 、窒化ホウ素(BN)、酸化セレン(SeO) 、窒化チタ
ン(TiN) 、炭化チタン(TiC) 、炭窒化チタン(TiCN)、窒
化クロム(CrN) 、およびこれらの混合物等が例示され
る。中でも特に、成膜の容易性や製造コスト、機械的摩
耗や化学的摩耗に対する耐摩耗性等の点で、窒化物、炭
化物が好ましく、窒化珪素、炭化珪素、サイアロン等が
好適に利用される。また、下層保護膜20には、物性調
整のため、金属等の微量の添加物が含まれてもよい。
【0017】下層保護膜20の形成方法には特に限定は
なく、前述の厚膜形成技術や薄膜形成技術等を用いて、
スパッタリング、特にマグネトロンスパッタリングや、
CVD、特にプラズマCVD等の、公知のセラミックス
膜(層)の成膜方法で形成すればよいが、中でもCVD
が好適に利用される。周知のように、CVDは、反応室
中に導入した気体原料に、熱や光等のエネルギを加え、
種々の化学反応を誘起させて、基板上に物質を堆積被覆
して成膜する技術であるが、下層保護膜20をCVDで
形成することにより、非常に緻密で、しかもクラック等
の欠損部がない下層保護膜20を形成することができ、
その結果、より耐久性に優れ、かつ画質的にも有利なサ
ーマルヘッドを作成することができる。
【0018】下層保護膜20の厚さには特に限定はない
が、好ましくは0.2μm〜20μm程度、より好まし
くは2μm〜15μm程度である。下層保護膜20の厚
さを上記範囲とすることにより、耐摩耗性と熱伝導性
(すなわち記録感度)とのバランスを好適に取ることが
できる等の点で好ましい結果を得る。また、下層保護膜
20は多層構成でもよい。下層保護膜20を多層構成と
する際には、異なる材料を用いて多層構成としてもよ
く、あるいは、同じ材料で密度等の異なる層を有する多
層構成であってもよく、あるいは、その両者を有するも
のであってもよい。
【0019】ここで、本発明のサーマルヘッドは、少な
くとも、カーボン保護膜と、カーボン保護膜よりも下に
形成される下層保護膜20を有するものであり、かつ、
下層保護膜20は、少なくとも1層が、酸素含有量が5
atm%(原子%)以下、好ましくは、3atm%以下
であることを、その基本的な構成とする。
【0020】カーボン保護膜24は化学的に非常に安定
であるため、カーボン保護膜24を有することにより、
下層保護膜20、電極18、発熱層16等の化学腐食を
好適に防止し、良好な耐久性を有する長寿命なサーマル
ヘッドが得られるのは前述の通りであるが、本発明にお
いては、このような構成を有することにより、カーボン
保護膜24あるいはさらに中間層22の密着性を向上し
て、前述のヒートショックや熱ストレス、下層との熱膨
張係数の違いによるストレス、不純物による機械的衝撃
等に起因する、カーボン保護膜24の割れや剥離を防止
して、より耐久性および信頼性に優れた、より長寿命な
サーマルヘッドを実現している。
【0021】酸素含有量が5atm%以下である下層保
護膜20の形成方法には特に限定はなく、組成等に応じ
て、各種の方法が利用可能である。例えば、下層保護膜
20をスパッタリングで成膜する際には、成膜中に系内
に供給する酸素量を調整すればよい。一般的に、セラミ
ックス材料をスパッタリングで成膜する際には、量産適
性等を確保するために、プラズマ発生用のアルゴンガス
等に酸素ガスを混合している。この酸素ガスの量を調整
することによって、膜中の酸素量をコントロールでき、
酸素ガス量を低減することにより、酸素含有量が5at
m%以下の下層保護膜20を形成することができる。な
お、成膜条件は、例えば、実験によって求めればよい。
【0022】また、CVDで酸素含有量が5atm%以
下の下層保護膜20を成膜する際には、高周波(RF)
やマイクロ波(μW)等を用いてプラズマを発生させる
プラズマCVD等において、通常、反応性ガスの一種と
して使用される酸素ガス流量をコントロールしつつ、成
膜する方法が例示される。下層保護膜20の酸素含有量
は、例えば、反応性ガスである酸素の流量と膜中の酸素
量との関係を実験的に求めておき、それに応じて、成膜
中の酸素流量を調整してコントロールすればよい。
【0023】前述のように、下層保護膜20は複数層で
あってもよいが、その際には、下層保護膜20の少なく
とも1層の酸素含有量を5atm%以下とすればよい。
しかしながら、より良好なカーボン保護膜24の密着性
を得るためには、少なくとも、カーボン保護膜24に最
も近い層(すなわち最上層)は酸素含有量を5atm%
以下とするのが好ましく、特に、全層の酸素含有量が5
atm%以下であるのが好ましい。
【0024】図示例のサーマルヘッド10は、このよう
な下層保護膜20の上に中間層22を形成し、その上に
カーボン保護膜24を有する3層構成の保護膜を有す
る。前述のように、下層保護膜20の上層にカーボン保
護膜24を有することにより、超寿命なサーマルヘッド
を得ることができるが、さらに、この中間層22を有す
ることにより、下層保護膜20とカーボン保護膜24の
密着性、衝撃吸収性等を向上し、より、耐久性や長期信
頼性に優れた、長寿命のサーマルヘッドを実現できる。
【0025】サーマルヘッド10に形成される中間層2
2としては、周期表4A族(4族=チタン族)の金属、
同5A族(5族=バナジウム族)の金属、同6A族(6
族=クロム族)の金属、Si(珪素)およびGe(ゲル
マニウム)からなる群より選択される少なくとも1種を
主成分とするのが、上層であるカーボン保護膜24およ
び下層である下層保護膜20との密着性、ひいてはカー
ボン保護膜24の耐久性の点から好ましい。具体的に
は、Si、Ge、Ti(チタン)、Ta(タンタル)、
Mo(モリブデン)およびこれらの混合物等が好適に例
示される。中でも特に、カーボンとの結合性等の点で、
Si、Moが好ましく、最も好ましくはSiである。
【0026】中間層22の形成方法には特に限定はな
く、前述の厚膜形成技術や薄膜形成技術等を用いて、中
間層22の形成材料に応じた公知の成膜方法で形成すれ
ばよいが、好ましい一例として、スパッタリングが例示
され、また、プラズマCVDも利用可能である。また、
中間層22は多層構成としてもよい。中間層22を多層
構成とする際には、異なる材料を用いて多層構成として
もよく、あるいは、同じ材料で密度等の異なる層を有す
る多層構成であってもよく、あるいは、その両者を有す
るものであってもよい。
【0027】なお、本発明においては、中間層22も酸
素含有量を5atm%以下とするのが好ましい。また、
中間層22を多層構成にする場合には、少なくとも1層
の酸素含有量を5atm%以下とするのが好ましく、特
に、全層の酸素含有量を5atm%以下とするのが好ま
しい。
【0028】ここで、中間層22の形成に先立って、ラ
ッピングやエッチング等による処理を行ってもよい。こ
れにより、下層保護膜20と中間層22との間、ならび
に中間層22とカーボン保護膜24との間における密着
力を向上でき、サーマルヘッドの耐久性を向上できる。
この際における下層保護膜20の表面粗度には特に限定
はないが、Ra値で1nm〜0.1μmが好適である。
【0029】図示例のサーマルヘッド10においては、
この中間層22の上に、炭素を主成分とするカーボン保
護膜24が形成される。なお、本発明において、炭素を
主成分とするカーボン保護膜24とは、50atm%超
の炭素を含有するカーボン膜で、好ましくは炭素および
不可避的不純物からなるカーボン膜のことである。本発
明のサーマルヘッドにおいて、カーボン保護膜24を形
成する炭素以外の添加成分としては、水素、窒素、フッ
素、Si、およびTi等が好適に例示される。添加成分
が水素、窒素およびフッ素である場合には、カーボン保
護膜24中のこれらの含有量が50atm%未満である
のが好ましく、添加成分がSiおよびTiである場合に
は、カーボン保護膜24中のこれらの含有量が20at
m%以下であるのが好ましい。
【0030】このようなカーボン保護膜24の成膜方法
には特に限定はなく、目的とするカーボン保護膜24の
組成に応じた、公知の成膜方法がすべて利用可能である
が、好ましい方法として、スパッタリング、特にマグネ
トロンスパッタリングや、CVD、特にプラズマCVD
が好適に例示される。
【0031】カーボン保護膜24は、50℃〜400℃
程度、特に、サーマルヘッド10の使用温度に加熱しな
がら形成してもよい。これにより、カーボン保護膜24
と中間層22ひいては下層保護膜20との密着性をさら
に向上でき、ヒートショックや感熱記録中の異物混入に
よる機械的衝撃による割れや剥離、ならびに高パワー記
録によるカーボン膜の変質や消失に対する、より一層優
れた耐久性を得ることができる。なお、加熱は、ヒータ
等の加熱手段を用いる方法や、サーマルヘッド10に通
電する方法で行えばよい。
【0032】カーボン保護膜24の硬度には特に限定は
なく、サーマルヘッドの保護膜として十分な硬度を有す
ればよいが、例えば、ビッカーズ硬度で3000kg/
mm 2 〜5000kg/mm2 程度が好適に例示され
る。また、この硬度は、カーボン保護膜24の厚さ方向
に対して、一定でも異なるものであってもよく、厚さ方
向に硬度が異なる場合には、硬度の変化は連続的でも段
階的でもよい。
【0033】本発明のサーマルヘッド10において、中
間層22およびカーボン保護膜24の厚さには特に限定
はないが、下層保護膜20、中間層22およびカーボン
保護膜24を有する3層構成の保護膜を有する場合に
は、中間層22は、好ましくは0.05μm〜1μm、
より好ましくは0.1μm〜1μmであり、カーボン保
護膜24の厚さは、好ましくは0.5μm〜5μm、よ
り好ましくは1μm〜3μmである。中間層22がカー
ボン保護膜24に対して厚すぎると、中間層22の割
れ、剥離が生じる場合があり、逆に、中間層22が薄す
ぎると、中間層としての機能を十分に発揮できなくなっ
てしまう。これに対し、中間層22およびカーボン保護
膜24の厚さを上記範囲内とすることにより、中間層2
2の有する下層への密着力および衝撃吸収力、カーボン
保護膜24の有する耐久性等の機能を、安定して、バラ
ンス良く実現できる。
【0034】なお、本発明のサーマルヘッドに形成され
る保護膜は、前述の構成に限定はされず、カーボン保護
膜24およびカーボン保護膜24よりも下に形成される
下層保護膜20を有し、かつ、保護膜の最下層の酸素含
有量が5atm%以下であれば、各種の構成が利用可能
である。
【0035】例えば、中間層22を有さず、下層保護膜
20の上にカーボン保護膜24を直接形成した、2層構
成の保護膜であってもよい。この場合は、下層保護膜2
0の厚さは0.5μm〜50μm、特に、2μm〜20
μmが好ましく、カーボン保護膜24の厚さは、0.1
μm〜5μm、特に、1μm〜3μmが好ましい。
【0036】あるいは、カーボン保護膜24を形成した
後、その表面に潤滑剤やワックスを塗布し、あるはさら
に、ヒータ等を用いた加熱やサーマルヘッドの駆動によ
って焼き付けてもよい。この際においては、カーボン保
護膜24を酸素エッチングした後に、潤滑剤等の塗布お
よび焼き付けを行ってもよい。潤滑剤やワックスには特
に限定はなく、各種のものが利用可能であるが、例え
ば、感熱材料Aに含有される潤滑剤や、耐熱性を有する
コーティング剤、好ましくは滑性に優れるコーティング
剤が各種利用可能である。さらに、カーボン保護膜24
を形成した後に、その上に、前述の窒化珪素や炭化珪
素、SiやMo等の保護膜等を形成してもよい。
【0037】図2に、本発明のサーマルヘッドの保護膜
の形成に好適な成膜装置の概念図を示す。図示例の成膜
装置50は、基本的に、真空チャンバ52と、ガス導入
部54と、第1スパッタリング手段56と、第2スパッ
タリング手段58と、プラズマ発生手段60と、バイア
ス電源62と、基板ホルダ64とを有して構成される。
【0038】この成膜装置50は、系内すなわち真空チ
ャンバ52内に2つのスパッタリングによる成膜手段と
プラズマCVDによる成膜手段を有するものであり、異
なる組成の複数層の成膜を連続的に行うことが可能であ
る。従って、成膜装置50を用いることにより、例え
ば、異なるターゲットを用いたスパッタリングによっ
て、あるいはスパッタリングとプラズマCVDとによっ
て、下層保護膜20、中間層22、カーボン保護膜24
等の形成を、効率よく行うことができる。
【0039】真空チャンバ52は、SUS304等の非
磁性材料で形成されるのが好ましく、内部(成膜系内)
を排気して減圧とする真空排気手段66が配置される。
真空チャンバ52内のプラズマやプラズマ発生用の電磁
波によってアークが発生する箇所は、MCナイロン、テ
フロン(PTFE)等の絶縁部材で覆ってもよい。
【0040】ガス導入部54は、2つのガス導入管54
aおよび54bを有する。一例として、ガス導入管54
aは、プラズマを発生するためのガスを導入し、ガス導
入管54bは、プラズマCVDの反応ガスを導入する。
【0041】なお、プラズマ発生用のガスとしては、例
えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン等の不活性ガスが用
いられる。カーボン保護膜24を成膜するための反応ガ
スとしては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、ア
セチレン、ベンゼン等の炭化水素化合物のガスが例示さ
れ、中間層22を成膜するための反応ガスとしては、中
間層22の形成材料を含む各種のガスが例示される。さ
らに、下層保護膜20を成膜するための反応ガスとして
は、下層保護膜20の形成材料を含む各種のガスが例示
され、例えば、下層保護膜20として窒化珪素膜を作製
する際には、反応ガスとして、シラン、窒素および酸素
の混合ガス等を用いればよい。
【0042】スパッタリングでは、カソードにスパッタ
リングするターゲット材を配置し、カソードを負電位に
すると共に、ターゲット材の表面にプラズマを発生させ
ることにより、ターゲット材(その原子)を弾き出し
て、対向した配置した基板の表面に付着させ、堆積する
ことにより成膜する。第1スパッタリング手段56およ
び第2スパッタリング手段58は、共に、スパッタリン
グによって基板表面に成膜を行うものであり、第1スパ
ッタリング手段56は、カソード68、ターゲット材7
0の配置部、シャッタ72および高周波(RF)電源7
4等を有して構成され、他方、第2スパッタリング手段
58は、カソード76、ターゲット材70の配置部、シ
ャッタ78および直流電源80等を有して構成される。
上記構成より明らかなように、第1スパッタリング手段
56と第2スパッタリング手段58は、配置位置および
電源が異なる以外は基本的に同じ構成を有するので、以
下の説明は、異なる部分以外は、第1スパッタリング手
段56を代表例として行う。
【0043】第2スパッタリング手段58において、タ
ーゲット材70の表面にプラズマを発生する際には、直
流電源80のマイナス側を直接カソード76に接続し、
スパッタリングのための電圧を印加する。両電源の出力
や性能には特に限定はなく、目的とする成膜に必要にし
て必要にして十分な性能を有するものを選択すればよ
い。例えば、カーボン保護膜24の形成を行う装置であ
れば、最高出力10kwの負電位の直流電源を用い、変
調器によって2kHz〜100kHzでパルス状に変調
できるように構成した直流電源を用いればよい。
【0044】図示例においては、無酸素銅やステンレス
等からなるバッキングプレート82(84)をカソード
68に固定し、その上にターゲット材70をIn系ハン
ダや機械的な固定手段で固定する。なお、下層保護膜2
0の形成に用いられるターゲット材70としては、前述
の各種のセラミックス材料、SiN、SiAlN等が好
適に例示される。また、中間層22の形成に用いられる
ターゲット材70としては、4A族、5A族、6A族の
各金属や、GeやSiの単結晶等が好適に例示される。
さらに、カーボン保護膜24を形成するために用いられ
るターゲット材70としては、焼結カーボン材、グラッ
シーカーボン材等が好適に例示される。
【0045】また、図示例の装置は、マグネトロンスパ
ッタリングを行うものであり、カソード68の内部に
は、磁石68a(76a)が配置される。マグネトロン
スパッタリングは、ターゲット材70表面に磁場を形成
してプラズマを閉じ込めてスパッタリングを行うもので
あり、成膜速度が早い点で好ましい。
【0046】図示例の成膜装置50は、マイクロ波とE
CR磁場とによってプラズマを発生させる、マイクロE
CR波放電を利用するプラズマCVDでカーボン保護膜
24等の成膜を行うものであり、プラズマ発生手段60
は、マイクロ波電源86、磁石88、マイクロ波導波管
90、同軸変調器92、誘電体板94、放射状アンテナ
96等を有して構成される。マイクロ波電源86は、カ
ーボン保護膜24等の成膜に必要にして十分な出力を有
するものを適宜選択すればよい。また、ECR磁場発生
用の磁石88にとしては、所望の磁場を形成できる永久
磁石や電磁石を適宜用いればよい。真空チャンバ52内
へのマイクロ波の導入は、マイクロ波導波管90、同軸
変調器92、誘電体板94等を用いて行われる。
【0047】基板ホルダ64は、サーマルヘッド10
(その本体)等の被成膜材(成膜基板)を固定するもの
である。図示例の成膜装置50は、3つの成膜手段を有
するものであり、基板ホルダ64は各成膜手段、すなわ
ちスパッタリング手段56および58と、プラズマCV
Dを行うプラズマ発生手段60に基板となるグレーズを
対向できるように、基板ホルダ64を揺動する回転部9
8に保持されている。また、基板ホルダ64とターゲッ
ト材70や放射状アンテナ96との距離は、公知の方法
で調整可能にされる。なお、基板とターゲット材70も
しくは放射状アンテナ96との距離は、膜厚分布が均一
になる距離を選択設定すればよい。
【0048】ここで、前述のように、下層保護膜20や
中間層22の表面は、必要に応じてエッチングで粗面化
される。さらに、プラズマCVDで硬質膜を得るために
は、基板に負のバイアス電圧を印加しながら成膜を行う
のが好ましい。そのため成膜装置50では、基板ホルダ
64に高周波電圧を印加するバイアス電源62が接続さ
れる。また、プラズマCVDの際には、高周波の自己バ
イアス電圧を使用するのが好ましい。
【0049】以上、本発明のサーマルヘッドについて詳
細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本
発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変
更等を行ってもよいのはもちろんである。
【0050】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。 [実施例]公知のサーマルヘッドの製造方法と同様にし
て、基板12上に蓄熱層14を形成し、その上に発熱体
16と電極18をスパッタリングで成膜して、フォトリ
ソグラフィーおよびエッチングによってパターンを形成
し、保護膜を有さない、基となるサーマルヘッドを作製
した。得られたサーマルヘッドに、下記に示されるよう
にして、厚さ7μmの窒化珪素膜を成膜して、下層保護
膜20を作製した。
【0051】<下層保護膜20の作製>通常のスパッタ
リング装置によって、2kW〜5kWのRFパワーによ
るマグネトロンスパッタリングで成膜を行った。ターゲ
ット材は、SiN焼結剤を用いた。チャンバ内に導入す
るスパッタ用ガスは、キャリアガスとしてArを100
[sccm]〜200[sccm]、反応ガスとして、窒素ガスを2
[sccm]〜50[sccm]、酸素ガスを2[sccm]〜50[sccm]
を用い、トータルのガス圧(チャンバ内の圧力)は2m
Torr〜8mTorrとした。
【0052】なお、サーマルヘッドの作製に先立ち、上
記成膜条件における、Arガス流量に対する窒素ガスお
よび酸素ガスの流量比と、得られる窒化珪素膜中の酸素
含有量(atm%)との関係を調べておいた。成分分析
は、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectrometer
エネルギー分散型X線分光器)を用いた。下層保護膜2
0の成膜の際には、これに基づいて各スパッタ用ガスの
流量を調整し、互いに異なる酸素含有率の窒化珪素膜を
下層保護膜20として有する、3種のサーマルヘッドを
作製した。各サーマルヘッドの下層保護膜20の酸素含
有量は、それぞれ、1atm%(発明例1)、5atm
%(発明例2)、8atm%(比較例)とした。また、
窒化珪素膜の膜厚は、あらかじめ成膜速度を求めてお
き、所定の膜厚となる成膜時間を算出して、成膜時間で
制御した。
【0053】このようにして下層保護膜20を作製した
3種のサーマルヘッドに、以下のような、図2に示され
る成膜装置50を用いて、中間層22およびカーボン保
護膜24を形成した。
【0054】<成膜装置50> a.真空チャンバ52 真空排気手段66として、排気速度が1500L(リッ
トル)/分のロータリーポンプ、同12000L/分の
メカニカルブースタポンプ、および同3000L/秒の
ターボポンプを、各1台ずつ有する、SUS304製で
容積が0.5m 3 の真空チャンバ52を用いた。ターボ
ポンプの吸引部にオリフィスバルブを配置して、開口度
を10%〜100%まで調整できる。
【0055】b.ガス導入部54 最大流量50[sccm]〜500[sccm]のマスフローコント
ローラと、直径6ミリのステンレス製パイプを用いて、
プラズマ発生ガス用と反応ガス用の2つのガス導入管5
4aおよび104bを形成した。
【0056】c.第1スパッタリング手段56および第
2スパッタリング手段58 永久磁石68aおよび76aとしてSm-Co 磁石を配置し
た、幅600mm×高さ200mmの矩形のカソード6
8および76を用いた。バッキングプレート82および
84として、矩形状に加工した無酸素銅を、カソード6
8および76にIn系ハンダで張り付けた。また、カソ
ード68および76内部を水冷することにより、磁石6
8aおよび76a、カソード68および76、ならびに
バッキングプレート82および84の裏面を冷却した。
なお、RF電源74としては、13.56MHzで最大
出力10kWのRF電源を、直流電源80としては最大
出力10kWの負電位の直流電源を、それぞれ用いた。
また、直流電源80には、変調器を組み合わせ、2kH
z〜100kHzの範囲でパルス状に変調可能とした。
【0057】d.プラズマ発生手段60 発振周波数2.45GHz、最大出力1.5kWのマイ
クロ波電源86を用いた。マイクロ波は、マイクロ波導
波管90で真空チャンバ52近傍まで導き、同軸変調器
92で変換後、真空チャンバ52内の放射状アンテナ9
6に導入した。プラズマ発生部は、幅600mm×高さ
200mmの矩形のものを用いた。さらに、ECR用磁
場は、磁石88としてSm-Co 磁石を複数個、誘電体板9
4の形状に合わせて配置することで形成した。
【0058】e.基板ホルダ64 回転部98の作用により、保持した基板(すなわち、サ
ーマルヘッド10)を第1スパッタリング手段56およ
び第2スパッタリング手段58に配置されたターゲット
材70、ならびにプラズマ発生手段60の放射状アンテ
ナ96に対向して保持する。以下に示す、スパッタリン
グによる中間層22およびカーボン保護膜24の生成時
には、基板とターゲット材70の距離は100mmとし
た。さらに、エッチング用の高周波電圧が印加できるよ
うに、サーマルヘッドの保持部分を浮遊電位にした。さ
らには、基板ホルダ64表面にはヒータを設け、加熱し
ながら成膜を行えるようにした。
【0059】f.バイアス電源62 基板ホルダ64に、マッチングボックスを介して高周波
電源を接続した。高周波電源は、周波数13.56MH
zで、最大出力は3kWである。また、この高周波電源
は、自己バイアス電圧をモニタすることにより、負の1
00V〜500Vの範囲で高周波出力が調整可能に構成
されている。なお、このバイアス電源62は、エッチン
グ手段を兼ねている。
【0060】<中間層22およびカーボン保護膜24の
作製>このような成膜装置50において、発熱素子(下
層保護膜20)が第1スパッタリング手段56のターゲ
ット材70の保持位置に対向するように、基板ホルダ6
4に前記基となるサーマルヘッドを固定した。なお、サ
ーマルヘッドの中間層22の形成部分以外にはマスキン
グを施しておいた。真空排気を継続しながら、ガス導入
部54によってアルゴンガスを導入し、ターボポンプに
設置したオリフィスバルブによって、真空チャンバ52
内の圧力が5.0×10-3Torrになるように調整した。
次いで、基板に高周波電圧を印加し、自己バイアス電圧
−300Vで10分間、下層保護膜20(窒化珪素膜)
のエッチングを行った。
【0061】エッチング終了後、ターゲット材70とし
てSi単結晶を第1スパッタリング手段56のバッキン
グプレート82に、また、焼結グラファイト材を第2ス
パッタリング手段58のバッキングプレート84に、そ
れぞれ固定(In系ハンダで張り付け)した。その後、
真空チャンバ52内の圧力が5×10-6Torrになるまで
真空排気した後、圧力が5×10-3Torrとなるようにア
ルゴンガス流量およびオリフィスバルブを調整し、シャ
ッタ72を閉じた状態でターゲット材70に高周波電力
0.5kWを5分間印加した。次いで、真空チャンバ5
2内の圧力を保ったまま、供給電力を2kWの高周波電
力としてシャッタ72を開いてスパッタリングを行い、
厚さ0.2μmのSi膜を中間層22として形成した。
なお、Si膜の膜厚は、あらかじめ成膜速度を求めてお
き、所定の膜厚となる成膜時間を算出して、成膜時間で
制御した。
【0062】中間層22の成膜後、回転部98によって
発熱素子を第2スパッタリング手段58のターゲット材
70(焼結グラファイト材)に向け、真空チャンバ52
内の圧力が2.5×10-3Torrとなるようにアルゴンガ
ス流量およびオリフィスバルブを調整し、シャッタ78
を閉じた状態でターゲット材70に直流電力0.5kW
を5分間印加した。次いで、真空チャンバ52内の圧力
を保ったまま、直流電力を5kWとしてシャッタ78を
開いてスパッタリングを行って、厚さ2μmのカーボン
保護膜24を形成し、下層保護膜20、中間層22およ
びカーボン保護膜24の3層構成の保護膜を有する本発
明のサーマルヘッド10を作製した。なお、カーボン保
護膜24の膜厚は、あらかじめ成膜速度を求めておき、
所定の膜厚となる成膜時間を算出して、成膜時間で制御
した。
【0063】<性能評価>このようにして作製した3種
のサーマルヘッド10(発明例1および2、比較例)
に、110mJ/mm2 の記録エネルギで、10kmの
ベタ画像記録に相当する加熱テストを行った。その結
果、下層保護膜20の酸素量が1atm%の発明例1お
よび下層保護膜20の酸素量が5atm%の発明例2で
は、保護膜には何ら損傷は認められなかったが、下層保
護膜の酸素量が8atm%の比較例では、保護膜の剥離
が認められた。以上の結果より、本発明の効果は明らか
である。
【0064】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、保護膜の腐食や摩耗が極めて少ない十分な耐久
性および信頼性を有し、長期に渡って高画質の感熱記録
を安定して行うことが可能な長寿命のサーマルヘッドを
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のサーマルヘッドの発熱素子の構成を
示す概略図である。
【図2】 本発明のサーマルヘッドの製造に利用される
成膜装置の一例の概念図である。
【符号の説明】
10 サーマルヘッド 12 基板 14 グレーズ層 16 発熱(抵抗)体 18 電極 20 下層保護膜 22 中間層 24 カーボン保護膜 50 成膜装置 52 真空チャンバ 54 ガス導入部 56 第1スパッタリング手段 58 第2スパッタリング手段 60 プラズマ発生手段 62 バイアス電源 64 基板ホルダ 66 真空排気手段 68,76 カソード 70 ターゲット材 72,78 シャッタ 74 RF電源 80 直流電源 82,84 バッキングプレート 86 マイクロ波電源 88 磁石 90 マイクロ波導波管 92 同軸変換器 94 誘電体板 96 放射状アンテナ 98 回転部 A 感熱材料
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年8月25日(1998.8.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発熱素子を保護する保護膜として、炭素を
    主成分とするカーボン保護膜と、前記カーボン保護膜よ
    りも下に少なくとも1層形成される絶縁性の下層保護膜
    とを有し、かつ、前記下層保護膜の少なくとも1層の酸
    素含有率が、5原子%以下であることを特徴とするサー
    マルヘッド。
  2. 【請求項2】前記下層保護膜のうち、最上層の酸素含有
    率が5原子%以下である請求項1に記載のサーマルヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】前記カーボン保護膜と下層保護膜との間
    に、4A族の金属、5A族の金属、6A族の金属、珪素
    およびゲルマニウムからなる群より選択される少なくと
    も1種を主成分とする中間層保護膜を少なくとも1層有
    する請求項1または2に記載のサーマルヘッド。
  4. 【請求項4】前記中間層保護膜の酸素含有率が5原子%
    以下である請求項3に記載のサーマルヘッド。
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