JP2000006729A

JP2000006729A - 自動車用天井材

Info

Publication number: JP2000006729A
Application number: JP17356298A
Authority: JP
Inventors: Akira Tabuchi; 明田淵; Hiroshi Shibuya; 博渋谷
Original assignee: Otsuka Chemical Co Ltd
Current assignee: Otsuka Chemical Co Ltd
Priority date: 1998-06-19
Filing date: 1998-06-19
Publication date: 2000-01-11

Abstract

(57)【要約】【課題】剛性、耐熱性に優れるだけでなく、加工時の
作業環境を改善できる自動車用天井材を提供することを
課題とする。【解決手段】本発明の自動車用天井材は、チタン酸カ
リウム繊維又はワラストナイトの少なくとも何れか一方
の繊維で補強されてなる繊維強化樹脂シート層と、発泡
体シート層とを備えてなることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用天井材に
関し、特に耐熱性、剛性等に優れた自動車用天井材に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】熱可塑
性樹脂発泡シートは、優れた衝撃吸収性、クッション性
等を有しているため、自動車用天井材として好適に利用
されている。

【０００３】そして、この種の自動車用天井材として
は、例えば特公昭６１−５３２５７号公報に開示されて
いるように、熱可塑性樹脂発泡シートにポリエチレンな
どの熱可塑性樹脂シートが積層されて、シート全体とし
て剛性を向上させた自動車用天井材が知られている。

【０００４】しかしながら、このような従来の積層シー
トでは、耐熱性が十分でないため、自動車用天井材とし
て用いた場合には、高温時に前記天井材の一部が熱変形
により撓み、天井から垂れ下がるという欠点があった。

【０００５】かかる問題を解決するため、特公平７−２
３０７９号公報には、熱可塑性樹脂発泡シートの片面又
は両面に、ガラス繊維が混合され、シラン架橋法にて架
橋された架橋ポリプロピレンシートが積層されてなる自
動車用天井材が開示されている。かかる自動車用天井材
は、自動車用天井材として十分な剛性を有するだけでな
く、耐熱性にも優れているため、高温時においても天井
材の垂れ下りが防止されるという好適な効果を奏するも
のである。

【０００６】しかしながら、このようなガラス繊維が混
合された自動車用天井材は、樹脂に比して硬質のガラス
繊維が混合されてなるため、成形時や切断時に機械を傷
め易いという欠点があった。さらに、成形、切断等の加
工に際しては、ガラス繊維が樹脂から脱落し、飛散しや
すいので、作業環境を悪化させるという欠点を有するも
のであった。

【０００７】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たもので、剛性、耐熱性に優れるだけでなく、加工時の
作業環境を改善できる自動車用天井材を提供することを
課題とする。

【０００８】

【発明が解決しようとする手段】鋭意研究を重ねた結
果、チタン酸カリウム繊維又はワラストナイトの少なく
とも何れか一方で補強されてなる繊維強化樹脂シート層
と、発泡体シート層とを備えた自動車用天井材により上
記課題を解決するに至った（請求項１）。

【０００９】本発明で使用する発泡体シート層は、特に
限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン樹脂、
ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリカーボネート樹脂、硬質ポリ塩化ビニル樹脂、
ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂に発泡剤を加えて発
泡させて成形したシートを用いることができる。但し、
強度の面からポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂
が好ましい。

【００１０】また、発泡体シートには、必要に応じて、
チタン酸カリウム繊維、ワラストナイト等の無機繊維が
添加されていてもよい。

【００１１】さらに、本発明の繊維強化樹脂シート層に
使用される合成樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリ
オレフィン樹脂等を例示することができる。

【００１２】また、本発明のチタン酸カリウム繊維は、
高強度単結晶繊維であって、Ｋ₂Ｏ／ｎ（ＴｉＯ₂）又は
Ｋ₂Ｏ／ｎ（ＴｉＯ₂）・１／２Ｈ₂Ｏ（式中ｎは２〜８
の整数）なる化学組成を持つ針状結晶である。

【００１３】本発明においては、各種のチタン酸カリウ
ム繊維のうち、平均繊維径０．０１〜２．０μｍ、平均
繊維長５〜１００μｍで、且つ平均繊維長／平均繊維径
（アスペクト比）が１０以上のものが好ましい。

【００１４】このチタン酸カリウム繊維は、そのままで
も使用することができるが、樹脂との界面接着性を持た
せるために、アミノシラン、エポキシシラン、アクリル
シランなどのシラン系カップリング剤又はチタネート系
カップリング剤などの目的に応じた表面処理剤で表面処
理されているのが好ましい。

【００１５】本発明に使用されるワラストナイトは、焼
成物又は未焼成物のいずれの形態であってもよく、さら
に、無水物又は１分子以上の結晶性を有する水和物の何
れの形態であっても良く、又これらの混合物を用いるこ
ともできる。

【００１６】また、ワラストナイトは、天然に産出する
ものをそのまま、または粉砕・分級して用いることがで
きる。また、合成したワラストナイトも使用可能であ
る。かかるワラストナイトの中でも、平均繊維長２０〜
５０μｍ、平均繊維径０．０５〜５μm、アスペクト比
８〜１００のものが好ましい。

【００１７】本発明の繊維強化樹脂シート層と、発泡体
シート層とは通常接着されてなるが、接着の方法は特に
限定されるものではなく、接着剤により接着する方法、
加熱により溶融させて接着する方法、止め金具による固
着により接着する方法等、従来公知の種々の方法を適用
することができる。

【００１８】尚、本発明の繊維強化樹脂シート層は表面
平滑性が良いため、表面に装飾表皮材を積層せずに、前
記繊維強化樹脂シート層を表皮材として兼用することも
でき、また、表面に装飾表皮材を積層することもでき
る。

【００１９】

【実施例】製造例１アゾジカルボンアミドの発泡剤マスターバッチを製造す
るにあたり、低密度ポリエチレン（メルトインデックス
（ＭＩ）２．０）１００重量部、アゾジカルボンアミド
（商品名「ＡＺウルトラＳＮ」、大塚化学(株)製）５０
重量部とした組成物をロール温度１１０〜１１５℃で加
熱しながら混練した後、厚さ２．０ｍｍのシートとして
取り出して、シートペレタイザーにてペレット化した。

【００２０】次に、低密度ポリエチレン（メルトインデ
ックス２．０）１００重量部、ジグミルパーオキサイド
５．０重量部として、化学架橋剤のマスターバッチを上
記と同様の方法にてペレット化した。

【００２１】低密度ポリエチレン（メルトインデックス
２．０）１００重量部、上記の如くペレット化された発
泡剤マスターバッチ１００重量部、上記の如くペレット
化された化学架橋剤のマスターバッチ２７重量部を１６
０℃に設定したフルフライト型シート押し出し機にて２
ｍｍのシートとした。次に、１５０℃に加熱した熱風オ
ーブン炉にて予備架橋を行った。さらに、２２０℃に設
定した熱風オーブン炉にて発泡させ、発泡倍率１５倍、
厚さ５ｍｍ、長さ１７００ｍｍ、幅１３００ｍｍの発泡
体シート（以下、「シートＡ」という）を得た。

【００２２】製造例２ポリアミド６６樹脂（商品名「レオナ１５００」、旭化
成工業(株)製）７０重量部にチタン酸カリウム繊維（商
品名「ティスモＤ−１０２」大塚化学(株)製、平均繊維
径０．６μｍ、平均繊維長１５μｍ）３０重量部を配合
し、温度条件２６０〜２８０℃にて、混練押し出し機に
より押し出し成形して、厚さ１．２ｍｍ、長さ１７００
ｍｍ、幅１３００ｍｍの繊維強化樹脂シートを得た（以
下、「シートＢ」という）。

【００２３】製造例３製造例２のチタン酸カリウム繊維に替えてワラストナイ
ト（商品名「バイスタル」、大塚化学(株)製、平均繊維
径２．０μｍ、平均繊維長２５μｍ）を用いた以外は製
造例２と同様の方法で厚さ１．２ｍｍ、長さ１７００ｍ
ｍ、幅１３００ｍｍの繊維強化樹脂シートを得た（以
下、「シートＣ」という）。

【００２４】実施例１図１に示す如く、製造例１で得られたシートＡを製造例
２で得られたシートＢ２枚の間に挟み込み、シリコン系
接着剤で接着して、厚さ７．４ｍｍ、長さ１７００ｍ
ｍ、幅１３００ｍｍの積層シートとし、実施例１の自動
車用天井材を得た。

【００２５】実施例２図１に示す如く、製造例１で得られたシートＡを製造例
３で得られたシートＣ２枚の間に挟み込み、シリコン系
接着剤で接着して、厚さ７．４ｍｍ、長さ１７００ｍ
ｍ、幅１３００ｍｍの積層シートとし、実施例２の自動
車用天井材を得た。

【００２６】比較例シラン架橋型ポリプロピレン７０重量部にガラス繊維３
０重量部を配合し、温度条件２００〜２２０℃にて、混
練押し出し機により押し出し成形して、厚さ１．２ｍｍ
の繊維強化樹脂シートを得た。当該繊維強化樹脂シート
２枚の間に、製造例１で得られたシートＡを挟み込み、
シリコン系接着剤で接着して、厚さ７．４ｍｍ、長さ１
７００ｍｍ、幅１３００ｍｍの積層シートとし、その後
水分存在下で架橋させて比較例の自動車用天井材を得
た。

【００２７】線膨張性試験シートＡ、シートＢ、自動車天井鋼板（商品名「エクセ
ライト」(溶融亜鉛メッキ処理品)、新日本製鐵(株)製、
厚み０．８ｍｍ）、実施例１の自動車用天井材及び比較
例の自動車用天井材について、線膨張性試験を行った。
試験方法は、ＡＳＴＭ規格Ｄ６９６に準じて行った。
その結果を表１に示す。

【００２８】

【表１】

【００２９】熱変形温度測定試験シートＡ、シートＢ、実施例１の自動車用天井材及び比
較例の自動車用天井材について、熱変形温度を測定し
た。試験方法は、ＡＳＴＭ規格Ｄ６４８に準じて行っ
た。その結果を表２に示す。

【００３０】

【表２】

【００３１】表面平滑性試験実施例１の自動車用天井材、実施例２の自動車用天井材
及び比較例の自動車用天井材について、表面平滑性試験
を行った。表面平滑性は、測定器としてサーフコム３０
４Ｂ型（東洋精密(株)製）を用いて測定した。その結果
を表３に示す。

【００３２】

【表３】

【００３３】粉塵発生量試験実施例１の自動車用天井材、実施例２の自動車用天井材
及び比較例の自動車用天井材について、粉塵発生量を調
べた。試験方法は、シート上に、試料（自動車用天井
材）を載せ、該試料を図２（イ）のＡ−Ａ方向にトムソ
ン刃で切断し（切断面１７００ｍｍ）、試料を取り除い
た後、シート上に残った粉塵の量を測定した。その結果
を表４に示す。

【００３４】

【表４】

【００３５】ＳＥＭ写真による観察実施例１の自動車用天井材及び比較例の自動車用天井材
を図２（イ）のＡ−Ａ方向にトムソン刃で切断し、その
切断面Ｓをそれぞれ図２（ロ）の矢印に示す方向から撮
影した。実施例１は、同一箇所を３００倍（図３）、９
００倍（図４）、３０００倍（図５）の倍率で撮影し、
比較例は、３００倍（図６）で撮影した箇所のうち、ガ
ラス繊維が抜けている箇所（図７）と、ガラス繊維が残
っている箇所（図８）とをそれぞれ９００倍に拡大して
撮影した。その写真の写しを図３〜図８に示す。

【００３６】表１より、実施例１の自動車用天井材は、
比較例の自動車用天井材と比較して、線膨張係数が減少
している。また、表２より、実施例１の自動車用天井材
は、比較例の自動車用天井材と比較して、熱変形温度が
上昇している。従って、チタン酸カリウム繊維が配合さ
れた自動車用天井材は、ガラス繊維が配合された自動車
用天井材よりもより確実に垂れ下がりの発生を防止でき
る。

【００３７】また、実施例１（発泡体シートとしてポリ
エチレンを使用）の自動車用天井材は比較例（発泡シー
トとしてポリプロピレンを使用）の自動車用天井材よ
り、線膨張係数が減少しており、チタン酸カリウム繊維
を使用することにより、従来、使用されていたポリプロ
ピレンの発泡体に代えて、ポリエチレンを使用しても性
能が向上することが理解される。従って、ポリプロピレ
ンより安価な材料であるポリエチレンを使用することが
できる。

【００３８】さらに、表１では、線膨張係数の高いシー
トＡを線膨張係数の低いシートＢで挟み込むことによ
り、シートＡの膨張は抑制され、自動車用天井材全体の
膨張が抑制されることが理解される。

【００３９】さらに、実施例１の自動車用天井材は、中
央に発泡シート層を有するため、断熱効果があり、自動
車の天井外部からの熱を抑制し、室内の温度上昇を抑え
ることができる。また、天井材の車内側表面の温度も低
下するため、天井材の垂れ下がり解消にも効果がある。

【００４０】表３より、チタン酸カリウム繊維を含有し
た繊維強化樹脂シート及びワラストナイトを含有した繊
維強化樹脂シートは、ガラス繊維を含有したものよりも
表面平滑性に優れることが理解される。従って、表面加
工が必ずしも必要でなく、表面加工を省略することによ
り、より安価に自動車用天井材を製造することができ
る。

【００４１】表４より、本発明の自動車用天井材は、ガ
ラス繊維を使用したものに比べて、切断による粉塵の発
生量が著しく少ないことが理解される。

【００４２】図４と図７及び図８を比較観察すると、図
４に示されるものは図７、図８に示されるものよりも表
面が平滑であり、表面から裸出したチタン酸カリウム繊
維の存在は認められない。これに対して、図８では、表
面から裸出するガラス繊維の存在が認められ表面が粗面
である。さらに、図７では、ガラス繊維が抜けて空洞に
なっている部分が存在する。このことからもガラス繊維
は、切断面から抜け出して粉塵の原因となることが理解
される。

【００４３】尚、図５に示すように、実施例１の自動車
用天井材の断面を３０００倍で撮影しても、表面から裸
出したチタン酸カリウム繊維の存在は認められない。

【００４４】

【発明の効果】以上のように、本発明の自動車用天井材
は、耐熱性に優れているため、撓みや垂れ下がりが極め
て発生しにくく、しかも、成形、切断時における粉塵の
発生量が少ないため、作業環境が改善されるという効果
を奏する。さらに、表面平滑性に優れるので、表面に装
飾表皮材を積層せず、繊維強化樹脂シート層を表皮材と
して使用することもできるという効果を奏する。

【００４５】

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１及び実施例２の自動車用天井材の断面
図。

【図２】（イ）は、粉塵発生量試験及びＳＥＭ写真の観
察において、自動車用天井材の切断方向を示す斜視図
で、（ロ）は、ＳＥＭ写真の撮影方向を示す側面図。

【図３】実施例１の自動車用天井材の切断面を３００倍
で撮影した写真。

【図４】実施例１の自動車用天井材の切断面を９００倍
で撮影した写真。

【図５】実施例１の自動車用天井材の切断面を３０００
倍で撮影した写真。

【図６】比較例の自動車用天井材の切断面を３００倍で
撮影した写真。

【図７】比較例の自動車用天井材の切断面を９００倍で
撮影した写真。

【図８】比較例の自動車用天井材の切断面を９００倍で
撮影した写真。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 3D023 BA01 BB03 BC01 BD01 BE04 BE06 BE09 BE10 BE31 4F100 AA34A AA36A AK01A AK01C AK04 AK07 AK52G BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C CB00 DG01A DG01C DH01A DH01C DJ01B GB33 JA20A JJ03 JK15 JL00 JL04 YY00A

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】チタン酸カリウム繊維又はワラストナイ
トの少なくとも何れか一方の繊維で補強されてなる繊維
強化樹脂シート層と、発泡体シート層とを備えてなるこ
とを特徴とする自動車用天井材。
【請求項２】前記発泡体シート層の両面に、繊維強化
樹脂シート層が積層されてなる請求項１記載の自動車用
天井材。
【請求項３】前記チタン酸カリウム繊維は、平均繊維
径が０．０１〜２．０μｍで、平均繊維長が５〜１００
μｍである請求項１又は２記載の自動車用天井材。
【請求項４】前記ワラストナイトは、平均繊維径が
０．０５〜５μｍで、平均繊維長が２０〜３０μｍであ
る請求項１又は２記載の自動車用天井材。